街の雰囲気や雑踏を感じさせる曲を入れることで
より作品に寄り添えたら
──1クール目で印象に残っているシーンはありましたか?
畠中 第7話で鈴木達央さんが演じるエンダースが死んじゃうシーンは、「すげえ死にっぷりだな!」と驚きました。
──「ノアティック号事件」ですね。鈴木さんはご自身のサイト(参照:Tatsuhisa Suzuki Official Website)で熱演の裏側を綴られていました。R・O・Nさんは1クール目でお好きなシーンはありますか?
R・O・N 僕は第1話の「タバコ一本分しか待てませんよ」というシーンの雰囲気がすごく好きだったんです。そこから「ALPHA」のカップリング曲としてタバコをイメージした「cig」という曲を作らせてもらいました。
──「cig」はインストですが、音だけで作品の世界を感じられます。
R・O・N STEREO DIVE FOUNDATIONのシングルではインスト曲が入ることが多いのですが、「ALPHA」では作品の街の雰囲気や雑踏を感じさせる「cig」という曲を入れることで、より作品に寄り添えたらいいなと思って作りました。あと、あわよくば劇伴で使ってもらえたらいいなという思いもあって。
──アニメスタッフがこのインタビューを読んで、2クール目に使われることを期待しましょう。
R・O・N たぶん間に合わないでしょうから大丈夫です(笑)。
──畠中さんの1クール目オープニングテーマ「DYING WISH」のカップリング曲「pray」「Brand New Day」も「憂国のモリアーティ」を意識した曲だと音楽ナタリーのインタビュー(参照:畠中祐「DYING WISH」「Promise for the future」インタビュー)でも話されていましたね。
畠中 はい。特に「pray」はピアノ1本を伴奏にして歌う、難しい曲だったので強く印象に残っています。すごく繊細な歌い方が求められて、少しでも力んだりしたら伴奏とミスマッチだから、かなり丁寧に録らせてもらいました。
──いつかライブで聴いてみたいです。
畠中 いやー、ピアノも聴かせたいから繊細に寄り添わなきゃいけないですよね。少しでも歌い方を変えると台無しになりそうなので、ライブで歌うのを想像するだけで鳥肌が立ちます。
──1クール目の楽曲の話になったので、自身の楽曲に付いたオープニングとエンディングのアニメ映像の印象もそれぞれ教えてください。
畠中 オープニングに関しては、先行上映会の時には映像がまだできていなくて「どうなっちゃうんだろう」と思った記憶があります(笑)。でも蓋を開けてみたらすごく動くしみんな戦っているし、あんなカッコいい映像を作ってもらえてすごくうれしかったです。興奮しました。
R・O・N 僕は初めてエンディングの映像を観たとき、ALPHAの曲調とはミスマッチかもと思ったんですよ。でも話が進むごとに清涼感というか見終わったあとの読了感を感じられるようになって。実際、そういう声もちらほら聞きました。結果的には、ミスマッチだからこその気持ちいいハマり感がありました。
畠中 「ALPHA」の歌詞を読むと結束やそこから生まれる強さみたいなことが書かれた力強い歌詞だと思ったんです。でもエンディングで流れる映像は楽しそうに絵を描いている少年時代のモリアーティ3兄弟で、彼らが愛おしくなってしまう。そのギャップがよかったです。
ウィリアムとシャーロック、
どちらの視点か考えてほしい「TWISTED HEARTS」
──続いて2クール目の主題歌について伺います。担当することはいつ頃決まったんでしょうか。
畠中 僕は年末くらいでした。アニメチームから再度オファーがあったと聞いてうれしかったです。でも正直1クール目の「DYING WISH」で今まで自分がやってきたダンスミュージックではない引き出しを随分と開けたので、たぶんスタッフさんも悩んだでしょうし、僕も次はどうしようという不安もあって……。
R・O・N 僕も同じくらいのタイミングで話をいただきました。スケジュールのこともあって「早く作らなきゃ」という意識が強かったですね。年内には曲を提出して、作業を進めた覚えがあります。もともと「モリアーティ」は2クール放送する予定だと聞いたので「『ALPHA』の続きを書きたい」という思いもありました。「OMEGA」という曲で一区切り付ける機会をいただけて感謝しています。
──ちなみに「BETA」というタイトルにする考えはなかったでしょうか?
R・O・N なかったです。そうすると「GAMMA」とか「EPSILON」も作るのか、となってしまうので(笑)。
──ではできあがった楽曲について、まずオープニングテーマ「TWISTED HEARTS」ですが、R・O・Nさんはどう聴かれましたか?
R・O・N やっぱり声が素敵ですよね。最初はバラードっぽく始まる曲ですが、ああいうバラード的な気持ちを入れて少しセクシーに歌える人ってあまりいない。畠中さんは乾いた感じの声質だと思うんですけど、僕には出せない声質なので素直に羨ましいです。
畠中 恐縮です! 必死に歌ったので、すごくうれしいです。
──今回はどんなことを考えて歌われたのでしょうか?
畠中 特にサビに関しては、前回よりパワフルに歌いたいと思っていました。2クール目では「よりよい社会を」という同じ信念を持っている、でも絶対に相容れないウィリアムとシャーロックの戦いがより激しくなってくるので、バトル感をマシマシにしたかったんです。
──お気に入りのポイントは?
畠中 サビの「目が覚めるような希望(ゆめ)を見せてよ」と「目が覚めるたび虚像(きみ)は崩れる」という部分です。「これは一体どっちの視点なんだろう」と考えながら歌うのがすごく楽しかったです。
──ウィリアムとシャーロック、どちらの視点とも解釈できるような歌詞が多いですよね。
畠中 そうなんですよ。ほかにも、フルサイズ版にある「羽ばたけるように空(きみ)を見つめる」はどこから見ているのか、とかいろいろ想像の余地があって。ぜひ、皆さんも考えながら聴いてもらえるとうれしいです。
──「TWISTED HEARTS」というタイトルも素敵です。2クール目で起こるであろう事件における2人の絡み合いをこう表現するかと。
畠中 かなりストレートなタイトルですよね。本編を観てから聴いてくれたら、これは2人の歌だと感じてもらえると思います。
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丸ごと作り直して作り上げた今のベスト「OMEGA」