ライブでは火憐と月火をいかに表現できるか

──そして「〈物語〉フェス」のもう一本の柱となるキャラクターソングライブですが、生演奏を担当するスペシャルバンドにはベース兼バンマスのミトさんをはじめ、豪華メンバーが揃っています。

井口　これはうれしいですね！ こんなに心強いメンバーで歌えるライブなんてなかなかないですよ。いつかご一緒できたらと思っていた方たちばかりです。

喜多村　もう、歌わずに聴いていたいくらい（笑）。

井口　そうそう（笑）。「それではどうぞ！」ってね。

──火憐ちゃん、月火ちゃんとしてキャラクターソングを歌う機会は滅多にないと思いますが、心構えのようなものは何かありますか？

井口　私、月火ちゃんのことすごく好きなんです。

喜多村　大丈夫、みんな嫌ってないよ。好きだよ。

井口　ありがとう（笑）。たぶん性格が月火ちゃんと少し似てるんですよね。だから特別なことはしなくても、月火ちゃんは私の中にいる気がしているので、キャラ作りで戸惑うことはたぶんないと思います。バンドの皆さんと息を合わせて歌うことを意識して、あとは衣装も今回すごく素敵なものを作っていただけるので、見た目と声はがんばって寄せてね。

喜多村　寄せてくよー！

井口　一夜限りだと思うと、自分自身も浮ついちゃうからね。

喜多村　浮ついちゃうね。

井口　すべてが無事に終わってこそフェスの成功だと思うので、やっている最中は「楽しい」って気持ちに任せ過ぎないように気を付けたいです。

──喜多村さんはどうですか？

喜多村　曲をレコーディングした当時から私の時間も流れているし、火憐ちゃんも火憐ちゃんの時間軸が流れていて、さらに自分ではなくキャラクターの声で届ける……っていうのは、プレッシャーではありますね。

井口　レコーディングスタジオで歌うのと、ライブはまた違うしね。

喜多村　そうそう。やっぱり曲を支えてくださってる、作品や楽曲のファンの皆さんの期待を大きく裏切らないように努めたいですね。役者として火憐ちゃんのキャラクター、人の心をガッと掴むパワーを、精一杯表現できれば。

井口　そうだね。キャラクターを楽しんでいただきたいです。

喜多村　あとファイヤーシスターズの1人としては、どんな演出と映像でゆかちが歌うのかも気になります。当日、自分の出番の準備をしていて誰かのライブを観れないのが嫌だなっていうぐらい、ほかの人のライブもすごく楽しみにしてますね。

井口　確かにそうだね。自分の出番の直前の人は観れないもんね。

喜多村　そう。だからちっちゃいモニター置いといてほしいな（笑）。

──ちなみに、おふたりはフェス当日もやっぱり一緒に過ごされるんでしょうか？

井口　そうですね。楽屋一緒だといいなあ。英梨ちゃんがどんなに逃げようが、私は英梨ちゃんの隣に座ろうと思います。

喜多村　いや、意外とこの子は1人で大丈夫ですよ。

井口　まあ、月火ちゃんなんでね。

喜多村　でも、撫子ちゃんの最高の親友なんでしょ？（笑）

井口　そうだね。撫子ちゃんは私がいないとダメだから（笑）。

〈物語〉シリーズの次の展開は……？

──さて、今回ここまでスペシャルなイベントが実現されて、果たしてこの後〈物語〉シリーズはどうなっていくのか？というのも気になるところです。

井口　そうですね！ 燃え尽きないのかなって。でも、燃え尽きないでしょうね。

喜多村　「終物語」が出たときに先生も「終わらせる」って言ってたけど、周りの人が「終わらせない!!」ってがっしり腕を掴んで（笑）。先生は物語をしっかり着地させたいのかもしれないけど、その先を欲している人がいっぱいいるからね。

井口　先生もまだ書きたい気がする。気のせいかな？

喜多村　いや、あると思うよ。こういうイベントだったりアプリゲームの「〈物語〉シリーズ ぷくぷく」だったり、作品がいろんな形で動くと、先生もモチベーションが上がるんだろうなって思うんです。その雰囲気が、今回の朗読のシナリオにも反映されている気がしていて。いつもの“西尾維新節”でホッとできるんだけど、のらりくらりと答えは出さず、でもいろんなキーワードがちりばめられていて、私たちの妄想を掻き立てさせるようなシナリオになっている。自分が出ていないシーンも、音として会場で聞けるのをとっても楽しみにしてます。

──では、さらにこの先〈物語〉シリーズにやってほしいことは何かありますか？

井口　TVアニメシリーズですね。〈物語〉シリーズはオンエアの仕方も特殊で、本当に新しいアニメの見せ方を作ってきたと思うんですけど、初心に戻って毎週観られるTVシリーズとか、あったらいいなあ。

喜多村　でも、続編になると私は月火ちゃんと離れちゃうのかな？

井口　そっか、ファイヤーシスターズは解散しちゃったもんね。

喜多村　僕はひとりぼっちですよ。

井口　あっ、対戦ゲームは!? 「ストリートファイター」みたいな。それぞれ特殊能力がすごいし。

喜多村　でもそしたら、忍が一番強くなっちゃうんじゃない？

井口　チートだね（笑）。そこはうまいことバランスを取ってもらって。

喜多村　私、ステータスの振りで文句言いそう（笑）。火憐ちゃん、蜂に刺されて熱出しちゃうくらい弱いんだけど、大丈夫かな？

井口　いや、強いよ！ 蜂を逆に使えばいいんだよ！

──格ゲー、面白そうですね（笑）。

喜多村　あとはせっかく原作が小説だから、マルチエンディング型のノベルゲームとかもいいね。読み進めて怪異の謎を解いていくようなやつ。

井口　楽しそう！ アプリもいいけど、家でやるタイプのゲームもいいね。

喜多村　オンライン対戦したりとかね。じゃあやっぱり格ゲーかな（笑）。

──まだまだ夢が膨らみますね。

井口　こうやってご褒美みたいな一夜限りのイベントがあって、バーンと打ち上がったと思いきや、暦たちの物語はまだまだ終わらずに続けていってほしいと、私自身も思いますし、きっとそう思っているキャストやスタッフの皆さん、ファンの方たちばかりだと思うので。

喜多村　いっぱいいるよね。だって「終物語」で「終わるよ」っていう雰囲気を出してたのに、突然「ぷくぷく」始めちゃったんだから（笑）。まだ何かあるよ、きっと。