「MASKMEN」坂本裕次郎×サイコミ編集長葛西歩 対談|近未来に起こりうる人類の危機、それを救う正義とは何か──これは絵空事でなく、僕らが生きる世界と地続きのリアルだ!

「MASKMEN」をきっかけに「しゃべり場」のような議論をしてほしい

──最後に今後の展開についてお聞かせください。先ほど各作品が単行本3巻分はあるとおっしゃっていましたね。

「SHADOW NEWT 再生能力で目指すS級最強!」より。

坂本 イメージ的に今は「シャドウニュート」をはじめ、それぞれの作品ごとに、海外ドラマでよく言うところの「シーズン1」を作っている感覚です。同時に、ほかのクリエイターさんや編集さんに別の企画も進めていただいているので、いろいろなヒーローの物語をお届けしていきたいですね。

葛西 もちろん人気のある作品はシーズン2、シーズン3を作るし、「アベンジャーズ」的に各作品のヒーローが集結するストーリーもありえますね。

──数ある作品のうち、主軸をどこに定めるかは考えていないのでしょうか?

葛西 まだ始まったばかりですし、そこは柔軟に人気や作品の広がり次第で決まっていくと思います。そもそもマンガだけでやっていくとは限らないし、アニメのようなメディアミックスが主流になっていくかもしれない。

坂本 STUDIO SEEDはクリエイター集団なので、同時にいろいろなメディアで展開することが可能ですし、それぐらい作品の幅が広がってくれたらうれしいなと思います。まだまだ世に出していないヒーローやヴィランもたくさんいて、公式サイトでは図鑑を公開しているんですが、まだ3倍くらいの未公開のキャラクターが控えていて。

左から葛西歩編集長、坂本裕次郎。

──ヒーローの数だけ、もっともっと「MASKMEN」の世界観が広がっていくわけですね。

葛西 はい。とにかく多くの人たちに楽しんでいただけるように作っているので、肩肘張らずに読んでほしいなと思います。重いテーマを扱っているわりにはビックリするぐらいエンターテインメントとして完成度の高いものになっていますし、3作のうちどれも、サイコミでトップを獲れるぐらい面白いです。

坂本 Webtoonを読んだことがない人は最初は戸惑うかもしれませんが、5話分も読めば慣れるはずです。そこまでは完全無料で読めるので。

葛西 サイコミでは最初の5話は無料で、それが3作品。15話分が完全無料です。人類の未来のためにサイコミもひと肌脱ぎました(笑)。

──あとは読んでもらうだけと。

「SHADOW NEWT 再生能力で目指すS級最強!」より。

坂本 「MASKMEN」って、言ってみれば昔NHKで放送していた「真剣10代しゃべり場」みたいなものなんですよ。あの番組って、子供たちが抱えている問題をテーマに、「これっていいと思う? 悪いと思う?」と討論をするじゃないですか。そこで出たみんなの意見は、番組を通じてお茶の間にいる僕たちにも考えるきっかけを与えてくれる。そういうきっかけを、マンガで作れたらいいなと。

葛西 「MASKMEN」の打ち合わせをすると、基本的にひたすら正義論の話しかしないんですよ。打ち合わせの時間が2時間あったとしたら1時間45分は正義論を語り合い、残りの15分でマンガの話をするみたいな(笑)。

坂本 「MASKMEN」はクリエイターの思う「正義」が物語の軸になるので、お互いの思う正義って何かを確認し合う必要があるんです。たとえば大勢を助けるために1人を見捨てなきゃいけない状況があったとして「大きな正義よりも目の前の困っている人にちゃんと手を差し伸べることが正義じゃないのか!」って、マンガの主人公みたいな怒り方したりとか(笑)。

葛西 そうそう。それをSTUDIO SEEDのメンバーでひたすら話し合う。「こういうネームを描いたけど、皆さんどう思いますか?」とSlackに貼り付けて、みんなの意見を募る。この繰り返しです。

坂本 そうですね。四六時中、ずっと熱い議論をやってます(笑)。でも、そこが大事な部分なんですよね。「MASKMEN」を読んだ方々が、家庭で、学校や会社で、ネット上で、同じように問題を考え議論するきっかけになれたら、1人のクリエイターとしてこれ以上うれしいことはないなって思います。

左から葛西歩編集長、坂本裕次郎。

「MASKMEN」作品紹介

「SHADOW NEWT 再生能力で目指すS級最強!」より。

「SHADOW NEWT 再生能力で目指すS級最強!」

日本から新国家ノアにやってきた少年・ハヤテは、「イモリ」の進化者。その「再生能力」を武器に、最強のS級ヒーローを目指す! 少年は、誰よりも成長する──青春×成り上がりヒーローアクション。2020年3月2日に連載スタート。

大寺義史
大寺義史(オオテラヨシフミ)

週刊少年サンデー・裏サンデー(ともに小学館)で「マギ シンドバッドの冒険」を連載。MASKMENシリーズで「SHADOW NEWT 再生能力で目指すS級最強!」の作画を担当する。

「シャーリー 私を守る君を、守りたいから。」より。

「シャーリー 私を守る君を、守りたいから。」

普通の人間として過ごしていた少女・シャーリーの身体に、ある日不思議な変化が起きはじめる……! 「進化」がはじまり、暴走を止められない彼女の前に現れたのは、ヒーロー候補生の黒ヒョウ少年・ハルイチだった。私の心と体が進化(かわ)っていく──少女×少年のヒーロー成長ストーリー。2020年3月3日に連載スタート。

ほろばいさ子
ほろばいさ子(ホロバイサコ)

裏サンデー・マンガワン(ともに小学館)で「神つり」「ヴァニラエンダーマン」を連載。MASKMENシリーズでは「シャーリー 私を守る君を、守りたいから。」を執筆中。

「JACK FOX キツネ男と鋼鉄の女」より。

「JACK FOX キツネ男と鋼鉄の女」

ノア屈指の犯罪地区・エンジェルリバー。キツネのA級ヒーロー・ジャックフォックスと、腕を失い左遷された女警部ユウコが、街に潜む悪の組織と戦う! この男と女は、決して折れない──獣人×女刑事のハードボイルド・バディアクション。2020年3月4日に連載スタート。

ASIWIN
ASIWIN(アシウィン)

長年、さまざまな現場でアシスタントとして修行を積み、マンガ「グランブルーファンタジー」では作画チーフを務めた。「MASKMEN」シリーズで描く「JACK FOX キツネ男と鋼鉄の女」が連載デビュー作。


2020年3月2日更新