ニート保護法は2人が結婚するためのこじつけ

──「ニート保護法」が施行されて公務員とニートが結婚する、というアイデアにまず驚きました。

ありえないですよね（笑）。

──現実には難しいかと……。

ニート保護法は「施行に先立っての試験的な実施」ということで、主人公の秋保と陽茉梨に関しては適用させましたけど、ポンポンと簡単に成立するような法律としては描きたくないんです。

──確かに1話目の1ページ目でこの法律についてどーんと描いていらっしゃったので、ニート保護法を中心に物語が展開されるのかと思っていたんですが、読み進めていくとそうではないとわかってきました。

はい。実は一番何も考えていないところです（笑）。両極端の2人が結婚して生活を営んでいる、という話を描きたかったんですよ。正反対のキャラをひとつの物語に入れると面白くなるので。

──ではニート保護法は……。

2人が結婚するためのこじつけ、という意味合いが強いです。

──なるほど。両極端と言ってもいろいろ考えられると思うんですが、なぜニートと公務員になったんでしょう？

私自身、生活がニートに近い部分があって。

──えっ。

私のマンガ家生活は起伏が激しくて、ニートみたいな生活もたくさんしてたんです……だから感覚が近いかなって。

“かわいい”を全部詰め込んだキャラ・陽茉梨

──ニートのヒロイン・陽茉梨のお相手は、公務員の秋保ですね。

陽茉梨の相手はニートの反対、いわゆるリア充にしたくて……。仕事をしたり遊んだりするのが当たり前の人たち。

──公務員はリア充……でしょうか？

私みたいな仕事からすると、毎日外に出てるだけでもう……。ただ、そのなかでも公務員を選んだのは、作品の中に法律を組み込んだので、結果的にそうなったという側面もあります。

──秋保は国家公務員だから、リア充なだけではなくエリートですしね。夕希先生はニート保護法が現実になったらどうしますか？ 私だったら絶対働かなくなりますが……。

あ、そっか！ その考えがありますね。ただ、私はニート保護法とは関係ないところで生きていくと思います。保護したくないし、されたくないので。

──保護されることになった陽茉梨ですが、世間知らずなところも含めて応援したくなる、すごくかわいい子ですね。

ありがとうございます！ 陽茉梨に関しては、もう現実離れしてもいいから私が思う“かわいい”を全部詰め込みました。素直なところとか、あんまり深く考えず自分の感情を出せるところとか。

──8話のスマホ事件で号泣したシーンはすごくかわいかったです。

そこは山場だと思って描きました！ 陽茉梨が秋保に感情をぶつけるシーンは、ここが初めてじゃないかな。

──陽茉梨はすごくしっかりしていますが、自分のための生き方を知らないアンバランスさも魅力ですね。作中では出ていませんが、何歳ですか？

20～23歳くらいです。最初は担当さんから「18歳でどう」って話があったんですが、未成年だけはダメ！ って（笑）。

──あはは。理由をお伺いしても？

秋保が28歳の公務員なので、相手が成人してないのはちょっと……。一応、彼が28歳なのも理由があるんですよ。読者さん的に、自分の年齢より若すぎても歳がいきすぎても感覚がずれて嫌なんじゃないかと思って。28歳だったら幅広い読者層に対応できるかなって思ったんですが……LINEマンガは思ったより読者が若かったです（笑）。