コミックナタリー Power Push - マーガレットコミックス特集 あの頃も、これからも!一生少女マンガ宣言 番外編 マーガレット&別冊マーガレット編集長インタビュー
まだまだ少女マンガを卒業させない
カッコよすぎない、等身大が別マ男子
──少女マンガにおいては男性キャラクターも大事な要素かと思います。“別マ男子”という言葉も誌面で使われていましたが、男性キャラクターについて雑誌としてのこだわりはあるんでしょうか。
今井 カッコよすぎない、等身大にすることですかね。当然カッコよく描いてあげることは大事なんですけど。極端に俺様でワイルドな男子は、別マには少ないですね。
河野 少女マンガの男子キャラは当然、一番大事ですね。別マもそうだと思いますけど、マーガレットはなるべくいろんな男子が出てくるようにしてます。個人的にはドS男子に飽きてきちゃってるところもあって(笑)。魅力的ではあるけど、それ以外の男の子も出していけたらと思ってます。「日々蝶々」の川澄もあまりイマドキっぽくはない硬派男子でしたけど、しっかりキャラクターとストーリーを成立させて支持を得ましたから。だから「森のたくまさん」のぽっちゃり男子も……。
──ぽっちゃり男子、新しいタイプですよね(笑)。
河野 新しいでしょ?(笑) そして「椿町ロンリープラネット」では、やまもり先生に、年上の思い通りにならない男の人の話を描いてほしいってお願いしたんです。大人の男の人って、10代からしたら絶対憧れるんだけど、何考えてるかわからないじゃないですか。そのもどかしさとか、でもどうしようもなく憧れてしまう男子をやまもりさんで読みたいなと思って。どんな読者が読んでも、自分の好きな男の子が必ず見つかるようになればいいなって思ってます。
マンガは年齢ではなく、テイストで読む時代
──編集長になられてから、新しく始めたことなどはありますか?
河野 マーガレットは月2回発売ですけど、その2冊分を配信する「にこいちマーガレット」という電子版を始めたりもしましたね。
──「にこいちマーガレット」を始めて、変わってきたことはありますか?
河野 「にこマ」をやって一番よかったのは、紙の雑誌と全然読者層が被ってないことでしょうか。アンケートを取ったら、年齢の高い方が結構多かったんですよ。マーガレットは基本的に高校生が対象とは言ってますが、今はマンガって年齢じゃなくてテイストで読む時代だから、マーガレットを気に入ってくれたら一生読んでくださいと思っているので、それは本当によかったことです。
今井 別マはコミックスの電子版はたくさん出していますが、本誌の配信はまだなんです。バックナンバーから徐々にやってみようかなという思いはありますが。別マはアナログ感がいいところでもあるので、徹底してアナログなものを追求して、それをデジタルで生かす方法を見つけていくしかないのかなと思っていますね。
河野 最近は期間限定で1冊まるごと無料で読める施策とかもあったりするじゃないですか。無料で読んでみて気に入ったら紙で買うっていう高校生もいっぱいいますよね。
──試し読み感覚なんですね。ジャケ買いはちょっと怖いけど、っていう。
今井 そうそう。
河野 少ないお小遣いをそこにかけるわけだから、慎重に買いたいんですよね。
少女マンガにおいて、絵は最重要
──では最後に、今現在とこれからの2誌について教えてください。
河野 マーガレットで今すごく読者の支持を得て急成長してるのが、やまもり三香先生の「椿町ロンリープラネット」と森下suu先生の「ショートケーキケーキ」ですね。最初からロケットスタートでした。やまもり先生はとにかく男子がカッコいい。若い作家さんにも、やまもり先生の男子の描き方を見たほうがいいよって言ったりします。1コマ1コマすごく考えて描いていらっしゃると思うんですよ。骨格とか、服のサイズ感とか。男子は洋服のサイズ感と髪型が超大事だから。
──大事ですね!
河野 「ショートケーキケーキ」も、森下suu先生って2人組なんですけど、2人の天才の一番いいところが出てる作品なので、ぜひ読んでもらいたいですね。原作のマキロさんの独特なテンポは、ほかに類を見ない個性だと思います。作画のなちやんさんも絵のことをすごく考えてて、「日々蝶々」をよく読むとわかるんですけど、巻ごとに絵が変わってるんですよ。ちょっと画材を変えたりとか、目の描き方を変えたりとか。すごく研究熱心なんです。「ショートケーキケーキ」も、「日々蝶々」とは違う絵になってます。ちょっと男性読者も意識していると思いますね。森下先生の絵は、今の子にヒットしてるのかなと思います。
──絵柄のトレンドって、雑誌によってあるんでしょうか?
今井 森下さんとかやまもりさんの絵が好きっていう人、投稿者でも結構いますよ。新人の子たちって、自分の好きな作家の絵を模倣したり取り入れたりしてるから。
河野 模倣から始まるものですもんね。
今井 だからトレンドはやっぱりあると思う。別マだと咲坂伊緒さんの人気はやはり絶大ですし。
──看板作家が絵柄のトレンドを作っていくものなんですね。
今井 少女マンガって、絵が本当に重要なんですよ。男みたいにテーマやキャラクターで読むとかじゃなくて、まず好きな絵であるっていうのは強いですね。
河野 思ってた以上に大事ですね。特に若い雑誌は。あとマーガレットはほかにも新連載もいろいろ始まりました。これからコミックスが出る小村あゆみ先生の「森のたくまさん」、ななじ眺先生の「ふつうの恋子ちゃん」。佐藤ざくり先生や種村有菜先生もまた新連載を始めますので、注目していただきたいですね。
──では別マの今後はいかがでしょうか?
今井 河原和音先生の新連載「素敵な彼氏」も始まったばかりですし、「俺物語!!」はクライマックスに近づいてきています。また別マの新しい男性像を打ち出した安藤ゆきさんの「町田くんの世界」も、どうやって多くの皆さんに読んでいただこうか考えています。湯木のじんさんや目黒あむさん、川端志季さんも近日中に連載を開始の予定です。別マの場合はベテランの作家さん、中堅の作家さん、新人作家さんがバランスよくありつつ、その中に2~3本強い作品があるといいのかなと思いますね。それが咲坂さんの「思い、思われ、ふり、ふられ」なのか、椎名軽穂さんの「君に届け」なのか、河原さんの新作か、あるいは中堅・新人作家さんの作品か、そこはまだわからないですけど。でもどの作品も、読めば別マのカラーがあるものになっていると思います。
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- 第1回 河原和音
- 第2回 咲坂伊緒
- 第3回 神尾葉子
- 第4回 中原アヤ
- 第5回 森下suu
- 第6回 あいだ夏波
- 第7回 やまもり三香
- 第8回 水野美波
- 第9回 幸田もも子
- 第10回 宮城理子
- 第11回 佐藤ざくり
- 第12回 椎名軽穂
- 第13回 小村あゆみ
- 第14回 いくえみ綾
- 第15回 ななじ眺
- 第16回 八田鮎子
- 番外編 マーガレット&別冊マーガレット編集長インタビュー
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連載ラインナップ
ななじ眺「ふつうの恋子ちゃん」 / 宮城理子「メイちゃんの執事DX」 / やまもり三香「椿町ロンリープラネット」 / 森下suu「ショートケーキケーキ」 / あいだ夏波「圏外プリンセス」 / 小村あゆみ「森のたくまさん」 / 藍川さき「ケダモノ彼氏」 / 桃森ミヨシ×鉄骨サロ「菜の花の彼-ナノカノカレ-」 / 里中実華「雛鳥のワルツ」 / 小森みっこ「僕に花のメランコリー」 / 岩ちか「婚約生」 / 藤宮あゆ「てのひらシャーベット」 / ひろちひろ「年下の男の子」 / 森月あめ「叶恋どうぶつえん」
「別冊マーガレット」
連載ラインナップ
河原和音「素敵な彼氏」 / 咲坂伊緒「思い、思われ、ふり、ふられ」 / 河原和音原作、アルコ作画「俺物語!!」 / 椎名軽穂「君に届け」 / 幸田もも子「センセイ君主」 / 水野美波「虹色デイズ」 / 八田鮎子「オオカミ少女と黒王子」 / 南塔子「ReReハロ」 / 香魚子「きみとユリイカ」 / 安藤ゆき「町田くんの世界」 / 渡辺カナ「ハンキー・ドリー」 / オザキアキラ「ハル×キヨ」 / 山川あいじ「Stand Up!」 / 中河友里「それでも君が」 / 藤村真理「少女少年学級団」 / シタラマサコ「ギャルジャポン」 / 赤堀みゆき「暴走!保健室Dr.EX」 / シロヤギ「こっち向いて モブ宮くん!」