ナタリー PowerPush - マンけん。
漫研×熱血、作者はヘタレ?期待のルーキーに編集長が喝
「キャノン先生」と「G戦場」に触発されて
──加瀬さんは成年誌での作品を除けば、同人時代から一貫してマンガ家マンガばかりを描いてきましたよね。そこには何かこだわりみたいなのがあるんでしょうか。
加瀬 自分のことしか描けないってだけかも(笑)。まあでも、それを読者さんが読みたいと思ってくれるかどうかは、また別の問題ですし。
──そもそもマンガ家マンガを描こうと思い立ったきっかけは。
加瀬 影響ですね。「G戦場ヘヴンズドア」ってありますよね、日本橋ヨヲコさんの。あれにガツンとやられて。「マンけん。」がダブルヒロインっぽくなってしまったのは、「G戦場」がダブル主人公なせいもあるかもしれない。それくらい。
──「G戦場」がきっかけだったんですね。
加瀬 あ、でも最初は福満しげゆきさんの「僕の小規模な失敗」を読んだほうが先だった。「小規模」で「マンガ家マンガってあるんだ」って知った感じですね。それで「G戦場」を読んで自分も描きたいって思って。あと、エロマンガなんですが……。
──はい。
加瀬 「キャノン先生トばしすぎ」という、マンガ家を主人公にしたマンガがありまして、その作品に触発されたのがマンガ家マンガを始めたいちばんの理由ですね。ほんとのところ、あれが目標です。
小室 あらら~、こりゃまた大きく出ましたね!
加瀬 目標ですよ、あくまで。や、でも大傑作ですね。あれに影響受けた人は多いと思います。
マンガ家マンガにシフトしたら思いのほかウケた
──加瀬さんもキャリアのスタートは成年誌でしたね。
加瀬 ええ、エロならすぐデビューさせてくれるかな、という甘い考えで。3年ほどお世話になったのかな、とても良くしていただきました。仕事だと思ったことないし、みんなすごい褒めてくれるし。
小室 初対面で話をしてみたら、まっさきに「褒めて伸ばしてください!」「僕、褒められて伸びるタイプなんです」だもんね。どれだけ叱られたくないのかと(笑)。
加瀬 みんなとにかく優しい人ばかりなんですよ。あとかわいい子を描くトレーニングにもなったし。成人向け、良かったな……(笑)。ただ、同人でエロを出したんですよ、COMITIA初参戦のとき。それがぜんっぜん売れなかったんですね。
──エロのほうが売れるのかと思っていました。
加瀬 僕もそう思っていたんですけど。それで次にマンガ家マンガを持っていったら、思いのほかウケて。マンガ家マンガにシフトしたら一気に売れたので、ちょっと盛り上がっちゃったというか。
小室 そのCOMITIAでうちのスタッフが声を掛けたんですが、うち以外にもずいぶんいろんな編集さんからお声が掛かったようで。
加瀬 いやー、そんなことないですよ。
小室 モテモテだったじゃないですか。その当時は私が担当していなかったんですが、あの雑誌でも担当が付いた、あの雑誌でも、あそこでも、という報告は受けていました。
加瀬 そうですね……。ただ、打ち合わせのたびにゴハンおごってもらっていたのに、どことも具体的な話までは至らず、タダ飯の罪悪感が、どんどん……。
小室 そのネガティブな思いをぶつけたマンガ家マンガを同人誌に描いて、またそこそこ売れるという(笑)。GXでも前の担当者と1年以上よくゴハン食べて付き合ってたよね。期待してたのに、なかなかリテイクが上がってこなくて……何度か催促しているうちに、じゃ、私が担当したほうがいいじゃないかということになって、結果的に引き継いだんだよね。
全てが完璧美少女の倖。実はマンガ大好きで雑誌の新人賞も受賞!……したものの 、伸び悩む倖が同級生のアリスに誘い込まれた高校の漫研は、変人揃いの魔窟で……!! ほとばしる情熱の、マンガ青春グラフィティ!!
加瀬大輝(かせだいき)
1985年5月15日生まれ。千葉県出身。2007年に竹書房の新人賞で奨励賞を受賞し、同年に成年誌・快楽天ビースト(ワニマガジン社)にてデビューを飾る。2010年に初単行本「むにゅっ娘ハイスクール」を刊行。2011年、月刊サンデーGX(小学館)にて「マンけん。」をスタートし現在も連載中。