マンガPark特集|現代ホストの帝王ROLAND、女子マンガ研究家に薦められた作品を読破する

「ど根性ガエルの娘」で考える父親のこと

小田 「ど根性ガエルの娘」は、1970年代に週刊少年ジャンプ(集英社)で一世を風靡した「ど根性ガエル」の作者・吉沢やすみさんの娘である大月悠祐子さんの作品です。大月さんが、父親や家族との関係の中でさまざまな葛藤があったことを赤裸々に描いています。

ROLAND これ、実話ですよね?

小田 そうです。

ROLAND 最初に読んだとき「フィクションかな」って思ったんですよ。まともな人が全然いなくて。でも実体験じゃなければ描けないような描写ばっかりだから……。

小田 家族の再生物語かと思いきやまったく違ったり、夫と仲睦まじい様子を描きながら実は大月さんがDVをしていたり、でもまた別の事実が浮かび上がったりと、何回か話がガラッと変わるすごい展開のマンガなんです。

「ど根性ガエルの娘」より。

ROLAND 読んでいくと、何が正義かわからなくなりますよね。共感できたのは、父親が集英社のパーティに作者を連れて行って、高橋陽一先生にサインをもらえるシーン。僕も父親の出演しているライブに行って、そこで歌っていた影山ヒロノブさんが世界的にヒットしてる歌手だと知り、父親がすごいことをしているって認識しました。

小田 お父さんのこと、尊敬していますか?

ROLAND してます。女関係で結構遊んでて、子どもの頃家に帰ったら銀座の飲み屋の女の子と両親が“三者面談”してたこともあったりして、普通の家庭じゃなかったかもしれませんが(笑)。14歳くらいのときに、父親に「男に生まれた最高の幸せって何かわかるか?」って言われたんですよ。14歳にそんなのわかるわけないじゃないですか。そしたら「それは好きな女に、いい女に振り回されることだよ」って。

小田 中学生にそんなことを?

ROLAND はい。大人になってその言葉の意味が本当にわかりましたね。いい女に振り回されても、それに対応できる財力がないとダメだし、時間に余裕がないとダメだし、時間に余裕を作るためには管理職だったり上に行かないとダメ。それに仕事をがんばらないと本当のいい女に出会えないわけで、そういう意味で言ったのかなって。父親にはそういう、自分のモットーとなる言葉をいくつかもらっていますね。だから自分を振り返っても、「ど根性ガエルの娘」のゆうこを見ても、人間形成に保護者がすごく関わるのは実感してます。

小田 ゆうこは父親から虐待を受けていて、自分もそれを繰り返してしまうという構図も見えてきます。その連鎖をどうやって断ち切っていくかというのは今後のテーマにもなってくるかと。

ROLAND

ROLAND ホストクラブで働いている子って家庭環境に問題があることも多くて、そういう子ってふとしたときに寂しい表情をしたり愛情に飢えてたりするんですよ。僕も「もっとこうしてあげたらよかったな」と思うこともあり、先月も小児科や保育園でチャリティをやりました。このマンガを読んで、家庭環境が人間を構築していくうえで大事なんだと再認識しましたね。

たぶん主人公と同じことをする「虐殺ハッピーエンド」

小田 「虐殺ハッピーエンド」は、人を殺さないと同じ日を繰り返すループに入ってしまった主人公が、同じくループに巻き込まれ日に日に病状が悪化していく重病の妹のために殺人を犯していくサスペンスです。

ROLAND これも面白かったです、先が全然読めなくて。僕、主人公が妹を殺しちゃう可能性もあるなって思ってます。幼なじみの姉ちゃんは100パーセント死ぬ。

小田 それはありそうですね。この作品は病に冒されている妹がそもそもの始まりなんですが、ROLANDさんにも妹がいらっしゃると伺いまして。

ROLAND やっぱり。「俺に妹がいるからこれをオススメしてくれたんだろうな」って思いました。妹のためになんでもやってしまう主人公の気持ち、わかりますよ。僕、いかんせん妹にあまり好かれていないというか、片思いに近いところがあって。

小田 そうなんですか?

左から小田真琴、ROLAND。

ROLAND はい。妹に彼氏ができたときに、「俺に1回会わせろ」と。「俺が会って、ROLANDよりいい男だったら付き合ってもいい」って言ったんですよ。「そもそもお前も俺が幸せにしてやるから、ほかの男いらなくねえ?」「俺がお兄ちゃんなんだよ?」「ROLANDがお兄ちゃん、お前最高に幸せじゃん」って伝えたら、妹に「本当にそういうのマジでうざいんだけど」って言われてすごくへこんで……。妹が進路ですごく悩んでたときも、LINEでめっちゃ長文のアドバイスを送ったんですよ。30分くらいかけて打って。そしたら一瞬で既読ついて、スタンプで「了解!」みたいな。

小田 あはははは(笑)。

ROLAND 本当に片思いです。でも妹ってかなり特殊なカテゴリーですよね。もちろん恋愛対象じゃないし、両親に対しての愛情とも違うし、自分には弟もいるんですが、弟は年下でも男だからという思いがあって。弟に彼女ができてもなんにも思わないけど、なんか妹は違うので、恋人じゃないけどちょっと独占欲があるんですよ。だから主人公と同じ立場だったら、同じことをすると思います。最初の1人目を殺す勇気があれば、たぶんそこからもいけるなと。

小田 主人公、いつの間にか殺しに手慣れてきますよね。

ROLAND はい、しかも殺人犯の心理描写がリアル。この先どう展開していくのかわからなくて、すごくワクワクしますね。

マンガラボ!で日本全体のマンガ作品のレベルが上がる?

小田 ここからは人の教育や育成に熱心なROLANDさんに、白泉社が2019年早春にスタートさせる白泉社全誌合同マンガ投稿サイト・マンガラボ!をご紹介して、ご意見を伺えればと思っています。では白泉社のラボ!担当・西山さん、説明をお願いします。

ROLAND

ROLAND よろしくお願いします。

西山 お願いします。マンガラボ!は出版社も作品の持ち込みや賞への投稿を待ってるだけではなく、Webで簡単にマンガを投稿できる仕組みを作ったほうがいいということで生まれたサイトです。ベテランでもアマチュアでも、誰でもマンガを投稿できます。

ROLAND 僕でも投稿できるんですか?

西山 もちろんです! 特徴の1つとして、マンガラボ!に投稿しますと作品はマンガParkにて公開され、白泉社の編集者がコメントをします。作家と編集者がお互い「この人と作品を作りたい」となったら、その場でデビューが決まることもあるんです。

ROLAND

ROLAND いい制度ですね。履歴書を送って、MARCH以下は足切りで……みたいなのよりは、水商売もそうですけど学歴不問で夢をつかめるという世界にはすごく魅力を感じます。いいものを作るのには、競争が一番だと思うんです。だから投稿の間口を広げたのは理にかなってるし、日本全体のマンガ作品のレベルが上がるな、と。

西山 編集者だけでなく、ユーザーも読めるので多くの人の目に触れることになりますしね。また投稿者の方には、自分の作品をどんな層に楽しんでもらったのか、評価されたのかがわかる仕組みになっています。評価したユーザーの年代、男女比などがフィードバックされるので、投稿者は自己分析しながらさらにいい作品を作っていけます。

ROLAND

ROLAND 僕も、ホスト業界では異質かもしれませんが、テレビとかに出るようになって意外と男性のファンが多いことに気付いて。それで発信する内容を変えてみたり、自分の仕事のスタンスを少し軌道修正したりしたんです。だから自己分析ができるのはいいですね。あとサポートも重要ですが、夢を見させてあげるのも大事だと思っています。例えば僕の店は、年間1位のホストに1000万円の賞金をあげるんですよ。それは僕がM-1グランプリを見ていて、目標に向かってがんばるって面白いなと思って作った制度なんですけど。そういう特典とかをつけて、マンガ家の登竜門みたいな位置づけまでブラッシュアップできたらよりいいだろうなと思います。

西山 ありがとうございます、さすがです! より投稿者と本気で向き合えるサイトになるようがんばります。

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マンガラボ!

2019年早春に始動する、白泉社全誌合同マンガ投稿サイト。投稿者のマンガはマンガParkに掲載。そしてマンガParkでの読者データが投稿者に公開される。
誰に、どれくらい読まれている? どうしたらもっと読まれる?
データを分析して、あなたのマンガを白泉社全誌の編集者と一緒に磨き上げよう。

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ROLAND(ローランド)
1992年、東京生まれ。高校卒業後、すぐに大学を中退して18歳でホストデビュー。1年間の下積み時代を経た後、歌舞伎町の数々の最年少記録を更新し、20歳にして当時所属していた店舗の代表取締役に就任。2013年にはKG-produceに、現役ホストとしては史上最高額の移籍金で移籍。その後、テレビ番組に出演するなどタレントとしても活躍。2017年度に4200万円を売り上げ店舗最高記録を樹立するとともに年間売り上げも1億7000万を超え、2018年には月間6000万を売り上げて、グループの個人最高売り上げ記録を樹立。2018年12月に現役ホストを引退し、2019年1月より独立して新たにホストクラブをオープンさせる。
小田真琴(オダマコト)
1977年生まれ。少女マンガとお菓子をこよなく愛する女子マンガ研究家。自宅の6畳間にはIKEAで購入した本棚14棹が所狭しと並び、その8割が少女マンガで埋め尽くされている。