コミックナタリー PowerPush - 特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」

でんぱ組.incの夢眠ねむ、成瀬瑛美が徹底ナビゲート!

第2部 爆発するマンガ 時代への挑戦 激動の昭和に拡がるマンガの可能性

現代のマンガやアニメ、戦隊特撮作品の原型ともなる代表的キャラクターが勢ぞろい。手塚の代表作「鉄腕アトム」「ブラック・ジャック」「リボンの騎士」や、石ノ森の代表作「サイボーグ009」「仮面ライダー」「おかしなあの子 さるとびエッちゃん」など、ふたりの名作の原稿が一堂に会する。

成瀬 「(鉄腕)アトム」に「ジャングル大帝」、すごい、知ってる作品の原画がいっぱい並んでるー!

「ブラック・ジャック」のピノコを真似て「アッチョンブリケ」ポーズを決める夢眠ねむ(写真左)。

夢眠 「サイボーグ009」だ! こういうバラバラ感、アイドルグループとしても憧れる。

成瀬 うんうん。あと連帯感がいいよね。こっちは「リボンの騎士」、「男の子みたいな女の子」「女の子みたいな男の子」っていう主人公っていまもめちゃくちゃウケてると思うんですけど、この時代にもうそれをやってたってことがすごいなあ。

第2部では代表作の原画が年代順に並べられている。
手塚治虫「火の鳥」黎明編より。

夢眠 あっ! あったよ、えいたそが好きな「火の鳥」。

成瀬 わー、しかも黎明編の、涙の場面! 家族で深い穴に落ちちゃってね、「ガッガッガッ」って骨で壁を登るんだよ。「火の鳥」を読むと、“生きる”ってことをすごく考えさせられるよね。

夢眠 うんうん。でも子供の頃読むと、結構怖くなかった?

成瀬 怖かった! 世界が終わっちゃった後の話とか、地球が始まる前の話とか……。でも私、それまでは少女マンガばっかり読んでたから、SFってこれで初めて触れてすごく夢中になった。読んでる友達が周りに全然いなかったから、ひとりで「火の鳥」ごっこをしてたけど(笑)。

1971年に発売され、300万個を超える売り上げを記録した変身ベルト。

夢眠 あはは(笑)。次は「仮面ライダー」に「(がんばれ)ロボコン」かあ。特撮はあんまり詳しくなくて……。あ、でも仮面ライダーの変身ポーズって、でんぱ組の曲の振りに入ってない!?

仮面ライダーの変身ポーズを決める成瀬瑛美、夢眠ねむ。

成瀬 そう言われてみればそうかも。偶然なのかな? ねえねえこの「仮面ライダー」の原稿、よく見るとスクリーントーン使ってる! ここまで使われてなかったよね!? 1971年……トーンが出てきたのってこのあたりなのかなあ。やっぱり生原稿だと細かいところまで見れてうれしいな。ホワイトを入れて修正してるのとか「間違って描いちゃったのかなー」って、舞台裏を想像しちゃうね。

夢眠 えいたそ、(原稿に顔が)近い近い(笑)。「(秘密戦隊)ゴレンジャー」も石ノ森先生なんだね、知らなかった。テレビ番組とマンガが同時にスタートするって、いまで言うメディアミックスみたいなもの? 勝手なイメージだけど、当時の作家さんって頑なところがあってなかなかそういうことにチャレンジできなさそう。石ノ森先生って先進的な存在だったのかなあ。

第3部 “ちから”の本質対決

“マンガのちから”の源となるメッセージをそれぞれのテーマごとに抽出して対比展示。13個のテーマ(いのち、ふるさと、あきらめない、死、ヒト、科学、愛、戦争と平和、自然の脅威、女性像、音、映像的表現、時間)が用意されている。

成瀬 どれが一番気になる? 私、「戦争と平和」かなあ。

夢眠 私は「時間」が気になるな。

第3部の展示風景。
石ノ森章太郎「章太郎のファンタジー・ワールド ジュン」より。

成瀬 手塚先生の「時間」、コマの運びが迫力あるなあ。集中線でスピード感がすごく出てる。石ノ森先生の「時間」は、なんだか不思議。セリフもモノローグもないよ。この女の子はひたすら男の子を待ってて、でも来なくて季節が過ぎ去って……?

夢眠 たぶんこの子、死ぬよね……。

成瀬 わーん! でも最後のコマに男の人がいないから、男が死んだようにも見えない?

夢眠 女の子は脚が治らなくて、男が「助ける」って言ってくれたんだけど、全然その人は帰ってこなかったんだ、って感じ?

成瀬 考えだすと止まらないね。

成瀬瑛美

──この「ジュン」という作品、発表された当初はその詩的な作風に「難解すぎてわからない」っていう声も上がったそうです。でも石ノ森先生は「読者にもっと想像してほしい」という思いで描いていたらしいので、そういうふうに読んでもらえるのはうれしいと思いますよ。

夢眠 そうなんだ。読者も読み解く努力をしないとダメですよね。そんなね、一般層に合わせる必要なんてないんですよ!

成瀬 あははは(笑)。

特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」
特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」

会期:2013年6月29日(土)~9月8日(日)

会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F

休館日:月曜日(ただし7/15は開館)、7月16日

時間:10:00~18:00 ※ただし7/19、26、8/2、9、16、23、30、9/6は10:00~21:00(入場は閉館の30分前まで)

料金:一般1200円、大学生・65歳以上900円、中高生700円、小学生以下無料 ※小学生以下は保護者の同伴が必要

でんぱ組.inc(でんぱぐみいんく)

でんぱ組.inc

古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音の6人組ユニットで、TOY'S FACTORY×もふくちゃんのレーベルMEME TOKYO所属。メンバーはもともとアニメ・漫画・ゲームなど、自分の趣味に特化したコアなオタクでもある。近年は東京コレクションへの参加、ミキオサカベをはじめとするさまざまなクリエイターとのコラボレーションなどを活発に展開。国内のみならず海外からも注目を集め、ジャカルタでのファッションイベント出演や台北での単独公演も成功させた。2013年1月には「W.W.D / 冬へと走りだすお!」で、オリコン10位を獲得。同年5月には各メンバーをフィーチャーした“メンバー盤”を含む計9種類でシングル「でんでんぱっしょん」をリリースし、6位を獲得した。7月からはテレビアニメ「にゅるにゅる!!KAKUSENくん」のオープニングテーマを担当。さらに9月21日には主演映画「白魔女学園」の劇場公開が決定している。

でんぱ組.inc 配信限定シングル「ノットボッチ…夏」2013年7月16日発売 / 250円 / TOY'S FACTORY / MEME TOKYO
「ノットボッチ…夏」