わからないなりに掴みに行こうとした“エリアス像”
──種﨑さん、竹内さんは2クールを通してチセとエリアスを演じてこられて、ドラマCD、OADの頃からより深く実感した部分、改めて気付かされたことはありますか?
竹内 最終回のアフレコが終わったところではあるんですが、しっかりとした“エリアス像”っていうものは、未だに自分の中でつかめないまま終わってしまったと思ってます。ヤマザキ先生がおっしゃったように、エリアス自身もいろいろな感情を持っていたとは思うんですけど、それは僕が想像しているものと同じものだったのか、それを出していいものか、毎回収録のたびに考えていて。だから1話から見返すと違うキャラクターなんじゃないかっていうくらい、別のエリアスがそこにいるなっていう感覚があるんです。
──なるほど。
竹内 でもファンの方だったり、WIT STUDIOの(プロデューサー・)和田(丈嗣)さんから「竹内さんがエリアスに見えてきた」っておっしゃっていただくことがあって。もし最初からガッチリとしたエリアスの設定を聞いて、それをもとに演じていたら、たぶんそうはならなかったんだろうなと思うんです。自分もエリアスのことはわからないけど、わからないなりに掴みに行こうとするようなお芝居が、結果的にエリアスに近づいて見えていたのかもしれない。そうだとしたらいいなと思いながら演じさせていただいてました。ただ最終話に関しても、「もっとこうやってできたんじゃないか」「もっとこうだったんじゃないか」っていう、ちょっとしたモヤモヤを抱えながら終わっちゃいましたね。
ヤマザキ エリアスはチセ以上に自分のことを把握してないから、本当に竹内さんは大変だったろうなと思います。作者でも「こいつさあ……(頭をかしげる)」って思うことがあるので(笑)。
竹内 今でもエリアスの心情を知りたい気持ちはあるんですけど、知ってしまったら、たぶんそこで初めてエリアスは一人立ちするんだろうなとも思っていて。
ヤマザキ エリアスはまだ一人立ちできていないですからね。
竹内 そういうことですよね。長沼(範裕)監督や音響監督のはた(しょう二)さんのディレクションには本当に助けられました。僕自身の感情や人間らしさが出すぎてしまったときは、おふたりが「そこは抑えて、こういう方向で」と道標を示してくれました。
モヤモヤしている気持ちも正解
ヤマザキ チセも難しいですよね。
種﨑 難しかったです。家で1人で練習していても、全然わからないんですよ。アフレコ現場に入って、掛け合いする相手の方の言葉を聞いて「あ、そうだったんだ」ってわかることも多くて。2クール目に入った最初の頃に「チセもちょっとずつ明るい感じで」っていうディレクションがあったんですが、そこの狭間のときは一番難しいなと思いました。でも私もやっぱりステラの存在には影響を受けましたね。ストレートにドーン!とぶつかってくるから、ステラとしゃべってるときが一番返しやすい感じがありました。チセも人と関わっていくことにより、自分自身のことが見えてきたように思います。
──実際にマイク前に立って、キャスト同士で掛け合うことでキャラクターがどういう心情だったのか気づくこともある?
種﨑 脚本があって、マンガで絵も見てるんですけど、それ以上に役者さんから気持ちが飛んでくるんですよね。それに返そうってなると、自然と出てくるものもあって。キャストの皆さんは本当にすごい方ばかりでした。
──種﨑さんのお話を聞いていると、チセが感じる苦しみや痛みを真摯に受け止めている印象があるのですが、演じられるときはチセに感情移入するほうですか?
種﨑 これは感情移入というものなんでしょうか……。先生のお話を聞いていて、キャラクターへの理解が自分の中にスッと入ってくるというか、その感覚もわかるなと思ったんですが、それは先生自身がその世界に入っているみたいなことなんですか?
ヤマザキ どうなんだろう……。実は私も感情移入ってよくわからなくて。
竹内 感情移入するというよりは、共感に近いんですかね。台本を読んで、チセのここはわかる、エリアスのここはわかる、わかるから表現しようとする自分。わからないなりにもやってみようとする自分……みたいなことは、結構「まほよめ」では多かったと思います。
種﨑 うんうん。
竹内 キャラクターになりきるというよりは、できるだけ共感しようとする。そして、僕自身はチセのことを理解できるけど、エリアス的にはチセの行動を理解できないんだろうなと、自分の中で割り振りみたいなものをしている感じ。……もっとスマートに説明できたらいいんですけどね。
ヤマザキ いや、でもすごくわかります。
種﨑 わかります。
ヤマザキ 私の場合はキャラクターと会話している感じですかね。キャラクターと話しながら「そっか、あなたはそう思うんだね」って描いていくんですよ。自分の中にそのキャラクターをダウンロードするわけじゃなく、キャラクターが言ってきたことに対して「そうだね」と対話しながら描いていく。作者自身がそんなスタンスです。
種﨑 だからどれだけ演じても正解がないことなのかなって思います。最終回を終えてもモヤモヤしているっていう気持ちがあるのはそれも理由なんですかね。
竹内 そういう感じだと思います。
ヤマザキ でもそのモヤモヤも正解なんですよ。「まほよめ」でも、そうやってスマートに自分の気持ちを言葉にできない人たちの物語を描いているので。
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みんな悪くてみんないい
- テレビアニメ「魔法使いの嫁」
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- 最終話先行放送
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- TOKYO MX:2018年3月23日(金)19:30~
- AT-X:2018年3月23日(金) 23:00~
- 最終話先行配信
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- AbemaTV:2018年3月23日(金)19:30~
※AbemaTVでは最終話の先行配信にあわせ、キャスト出演による最終回特別番組を放送。
- AbemaTV:2018年3月23日(金)19:30~
- 最終話放送情報
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- TOKYO MX:2018年3月24日(土)25:30~
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- ※放送日時は変更になる可能性がある。
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- ほか
- スタッフ
- 原作:ヤマザキコレ(マッグガーデン刊)
シリーズ構成・監督:長沼範裕
脚本:高羽彩
キャラクターデザイン:加藤寛崇
音楽:松本淳一
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:WIT STUDIO - キャスト
- 羽鳥チセ:種﨑敦美
エリアス:竹内良太
ルツ:内山昂輝
シルキー:遠藤綾
アンジェリカ:甲斐田裕子
サイモン:森川智之
セス:諏訪部順一
リンデル:浪川大輔
ミハイル・レンフレッド:日野聡
アリス:田村睦心
ティターニア:大原さやか
オベロン:山口勝平
カルタフィルス:村瀬歩
©2017ヤマザキコレ/マッグガーデン・魔法使いの嫁製作委員会
©ヤマザキコレ/マッグガーデン
- アニメ「魔法使いの嫁」Vol.1
- 2017年11月29日発売 / 松竹
-
[Blu-ray Disc2枚組]
19440円 / SHBR-0441 - アニメ「魔法使いの嫁」Vol.2
- 2018年3月21日発売 / 松竹
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- 2018年7月25日発売 / 松竹
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[Blu-ray Disc2枚組] 19440円 / SHBR-0444
- ヤマザキコレ「魔法使いの嫁⑨」
- 2018年3月24日発売 / マッグガーデン
- ヤマザキコレ
- 北海道生まれ。2013年に月刊コミックブレイド(マッグガーデン)にて「魔法使いの嫁」の連載をスタート。現在はマンガ配信サービス・マンガドアと月刊コミックガーデン(マッグガーデン)にて「魔法使いの嫁」を連載中。
- 種﨑敦美(タネザキアツミ)
- 大分県出身、9月27日生まれ。主な出演作に「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER」(西之園萌絵役)、「残響のテロル」(三島リサ役)、「宝石の国」(ネプチュナイト役)など。
- 竹内良太(タケウチリョウタ)
- 兵庫県出身、9月22日生まれ。主な出演作に「ハイキュー!!」シリーズ(牛島若利)、「ナースウィッチ小麦ちゃんR」(ねこP役)、「暗殺教室」(シロ役)など。