コミックナタリー Power Push - 少年マガジンR
2015年の新創刊マンガ誌が放つ、今が“読みどき”の新作 城平京×片瀬茶柴による本格ミステリ「虚構推理」に迫る
九郎と琴子はマンガで読むとしっくりくるような見た目に
──3人の主要キャラクターについてもいろいろとお伺いできればと思います。まずは怪異たちの頼れる知恵の神になった琴子について。小説に登場した表現から想像を膨らませていったのだと思うのですが……。
琴子は陶磁器製の人形のような見た目ということで、最初は無機質でクールな人物を想像してたんです。でも原作小説での琴子の言動を読んでいくうちに、いろんな表情をしてほしくなり、人形よりももう少し血が通っていそうな感じになりました。
──琴子は左足が義肢、右目も義眼、しかも知恵の神という一風変わったキャラクターです。描くときに心がけていることを教えてください。
かわいらしくて中学生のような見た目なのに、したたかで大胆な言動のギャップが琴子の魅力のひとつなので、絵でよりその魅力が増すといいと思っています。でも作画を安定させるのは難しいですね。幼く描きすぎて、本物の幼女のようになってしまいます。
──17歳なのに、意中の九郎からは中学生だと思われていましたね(笑)。では見た目は普通なのに、実は怪異にさえ恐れられる九郎のビジュアルはどうやって決まったのでしょう?
九郎もギャップを生かすために、見た目はとにかく素朴な青年にしました。
──小説からはもう少し繊細な見た目をしていそうな印象を受けます。
はい、私もそう思います。琴子と並んだときの凸凹感が欲しかったのと、マンガの都合上少しばかりアクションできそうな体型になっています。九郎も琴子も小説とは少しイメージが違うけれど、マンガで読むとしっくりくるような見た目になっているといいなと思います。
──琴子との凹凸感は萌えます! 九郎は何を考えているかわからないところも魅力的ですし、琴子との関係もどうなっていくのか気になります。
九郎の内面はあまり出てこないので、その部分のもやもや感を感じていただけるようにしたいと思っていました。ただ、九郎のビジュアルもやっぱり安定させるのが難しいです。時々、老けます(笑)。琴子と九郎の関係もミステリだと思っているので、2人の関係の独特さを追っていただけるとうれしいです。
──主要人物の3人目は、九郎の元カノ・紗季ですね。
すごく魅力的なキャラだと思っています! 実はコミカライズのお話をいただいた当初、「虚構推理」をまったく知らなかったので、ネットであらすじを調べてみたんです。そこに「カッパと遭遇したことで別れることになった彼氏のことを未だ引きずる女性警官の弓原紗季」 という文章があって、心を掴まれてしまい……。私には無理だろうなあと思っていたコミカライズをやってみるきっかけになりました。
──そうだったんですね! その紗季を描くときに心がけていることはありますか?
琴子の魅力とはまた違った魅力を持つ女性、そして九郎の好きなタイプの女性、一般人視点のキャラである、ということを主に意識しています。
タイトルの「虚構推理」ってなんだ?
──紗季も長身でスタイル抜群、大人っぽいのに怖がり、というギャップがチャーミングですよね。琴子、九郎、紗季の関係が進展して、ほのめかされた謎が明かされていくのが楽しみです。
城平先生の作品は、登場人物が一見奇妙な会話や行動をしていても徐々にその理由や理屈が明かされて、納得させられるのが特徴であり面白い世界観だと思っています。その会話が引き立つマンガにしたいですね。
──城平先生の小説は「名探偵に薔薇を」や「虚構推理 鋼人七瀬」など、読み終わってみるとタイトルにハッとさせられますね。
そうなんです。現時点ではまだ序章なので、「タイトルの『虚構推理』ってなんだ?」と思われるかもしれませんが、全体を通すとタイトルそのものの意味に辿り着きます。その要素が見えてくると序章とはまた違った面白さが現れるかと。
──楽しみです。では最後に読者の方や、まだ「虚構推理」に出会っていない方に、メッセージをお願いします。
応援してくださっているみなさま、本当にありがとうございます。まだ出会っていない方はマガジンR公式サイトでマンガ版の第1話が読めるので、ぜひ! あとマンガ版「虚構推理」の番外編読み切りが発売中の月刊少年マガジン12月号に載っています。なぜ城平先生の書き下ろし原作の読み切りマンガではないのかと、1ファンとして嘆きつつ……せっかくなので城平先生っぽくできないだろうか、と試みたけれど特に何も取り入れられずに終わってしまいました(笑)。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
次のページ » 読みどきマンガ2~5