コミックナタリー Power Push - 週刊少年マガジン編集部×ラブコメ
マンガ大好きアナウンサー・よっぴーこと吉田尚記と“次に来る少年ラブコメ”を探せ
「星野、目をつぶって。」編
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──キャラクターといえば、永椎晃平さんの「星野、目をつぶって。」の登場人物も斬新ですね。クラスで人気のギャル・星野海咲は素顔がとても地味で、主人公の小早川が彼女のためにメイクをしてあげるという。
「星野」すっげえ面白かった! 本当にめちゃくちゃ面白かった!
──あはは(笑)。どこが琴線に触れましたか?
ものすごく劇画村塾みたいな言い方になると思うんですけど、マンガってキャラクターなんです。
──小池一夫さんもおっしゃってますね。
ええ(笑)。どういうことかというと、今までになかったスーパースターとかヒーローを生み出せると、そのマンガはだいたい“勝ち”なんです。例えば「機動警察パトレイバー」には後藤隊長と内海課長という2人のスターがいるんですが、内海課長というキャラクターは発明なんです。それまで悪役なのにコメディの雰囲気がある人って絶対雑魚っぽい感じだったのに、「パトレイバー」では主人公たちを打ち負かすことができた。ヘラヘラ笑ってるのにめちゃくちゃ強いし、隊長はともかく課長がカッコいいって今までなかった。「星野」でもそういうキャラクターの発明があったと思ってます。
──「星野」では星野海咲ですか?
圧倒的に星野ですね。すごい運動神経を発揮する化粧なしの姿、日常の作られたかわいらしいギャルの姿という2本立てのキャラクターって今までいなかったなと。あと小早川も新しいですね。少年マンガでメイクができる男子ってなかなか見ないですよ。職業がエンバーマーとかじゃないと。
──エンバーマーだとメイクというか、死化粧ですね(笑)。
そうそう。「星野」は本当にキャラクターがすごくよくできてて、マンガ通はこの複雑で面白いキャラを見てほしい。あと細かいことを言うと、画面構成が素晴らしいんです。
──と言いますと?
背景を見てください。例えば2巻の渡り廊下のシーンは、キャラクターの動きを表現するために、動きに沿って背景が歪んでる。ほかにも決めのシーンはいい意味でパースが歪んでいて、それ以外は背景をちゃんと描いてることが多いんです。だから歪んだときにスピード感が出る。あと同じ構図が全然ないのもすごい。
永椎さんはもう完成してる
──アクションやスポーツのシーンも躍動感がありますよね。
ええ。バレーボールの回も目を見張る上手さです。それにほら、星野が友達の松方を助けに行くシーン。この量の言葉を順番通りに読ませるために、この縦の1本線が必要なんです。画面構成へのこだわりを感じますね。永椎晃平さんって新人さんですよね?
──「星野」以前に発表されているのは全3巻の「放課後ソードクラブ」だけです。
それなのにもう完成してる……。この人はすごいと思いますよ。タイトルも抜群にいい。
──メイクをするときに目をつぶるから「星野、目をつぶって。」。少し色っぽい、ドキドキ感もありますね。
読者は「目をつぶる? どういうこと?」ってなりますよね。しかもネタバレもしてない。そうだ、永椎さんは“目”にもこだわりがある方だと思います。タレ目とツリ目を使い分けてる。
──星野もメイク前はタレ目、メイク後はツリ目になりますね。
ほかのキャラクターもタレ目とツリ目が多くて、普通の目の子があんまりいない。たぶん、永椎さんはタレ目フェチです。
──あはは(笑)。三白眼フェチなんだろうなって作家さんもいますしね。フェチズムは滲み出ちゃうのかもしれません。
そういうツボは誰にでもありますからね。僕は気風のいい女の子が好きなんです。受け身ではなく、物事をガンガン動かしていける子のほうがいい。まさに星野がそうで、読んでいて気持ちいい。ただ星野はギャップ萌えの人や地味顏が好きな人にもウケるだろうし、受け皿が大きいんですよ。
──地味顏も犬っぽくてかわいいですしね。
そうなんですよ。受け皿が大きいという意味でも、キャラが秀逸です。
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吉田尚記(ヨシダヒサノリ)
1975年12月12日東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、1999年ニッポン放送入社。入社以来、「オールナイトニッポン」などニッポン放送のヤングタイム番組を中心に担当。2011年度「第49回ギャラクシー賞」において「DJパーソナリティ賞」を受賞。現在は毎週月曜日から木曜日深夜24時から放送中のワイド番組「ミューコミ+プラス」を担当中。マンガ、アイドル、落語、デジタルガジェットなど多彩なジャンルに精通。愛称はよっぴー。
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