コミックナタリー Power Push - 週刊少年マガジン編集部×ラブコメ

マンガ大好きアナウンサー・よっぴーこと吉田尚記と“次に来る少年ラブコメ”を探せ

「星野、目をつぶって。」編

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星野海咲
星野海咲(ホシノミサキ)

クラスで人気者のリア充ギャルだが、素顔が超地味なことを友達に打ち明けられない。不器用なため自分でメイクができず、ひょんなことから星野の素顔を知ったクラスメイトの小早川を専属のメイク係にして、秘密の関係を育んでいく。困っている人や動物をさりげなく、ときには大胆に助ける正義感と抜群の運動神経を持つが、人助けはもっぱら素顔で行うため星野の行動だと知られていない。そのため校内で、素顔の星野は謎の「ジャージ女」として訝しがられている。

──キャラクターといえば、永椎晃平さんの「星野、目をつぶって。」の登場人物も斬新ですね。クラスで人気のギャル・星野海咲は素顔がとても地味で、主人公の小早川が彼女のためにメイクをしてあげるという。

「星野」すっげえ面白かった! 本当にめちゃくちゃ面白かった!

──あはは(笑)。どこが琴線に触れましたか?

ものすごく劇画村塾みたいな言い方になると思うんですけど、マンガってキャラクターなんです。

──小池一夫さんもおっしゃってますね。

素顔の星野。
メイク後の星野。

ええ(笑)。どういうことかというと、今までになかったスーパースターとかヒーローを生み出せると、そのマンガはだいたい“勝ち”なんです。例えば「機動警察パトレイバー」には後藤隊長と内海課長という2人のスターがいるんですが、内海課長というキャラクターは発明なんです。それまで悪役なのにコメディの雰囲気がある人って絶対雑魚っぽい感じだったのに、「パトレイバー」では主人公たちを打ち負かすことができた。ヘラヘラ笑ってるのにめちゃくちゃ強いし、隊長はともかく課長がカッコいいって今までなかった。「星野」でもそういうキャラクターの発明があったと思ってます。

──「星野」では星野海咲ですか?

圧倒的に星野ですね。すごい運動神経を発揮する化粧なしの姿、日常の作られたかわいらしいギャルの姿という2本立てのキャラクターって今までいなかったなと。あと小早川も新しいですね。少年マンガでメイクができる男子ってなかなか見ないですよ。職業がエンバーマーとかじゃないと。

──エンバーマーだとメイクというか、死化粧ですね(笑)。

星野が猫を助けるために川に飛び込もうとした1話のシーン。魚眼レンズで撮影したかのように背景や手前の手すりが歪んでいる。

そうそう。「星野」は本当にキャラクターがすごくよくできてて、マンガ通はこの複雑で面白いキャラを見てほしい。あと細かいことを言うと、画面構成が素晴らしいんです。

──と言いますと?

背景を見てください。例えば2巻の渡り廊下のシーンは、キャラクターの動きを表現するために、動きに沿って背景が歪んでる。ほかにも決めのシーンはいい意味でパースが歪んでいて、それ以外は背景をちゃんと描いてることが多いんです。だから歪んだときにスピード感が出る。あと同じ構図が全然ないのもすごい。

永椎さんはもう完成してる

──アクションやスポーツのシーンも躍動感がありますよね。

2巻に収録された、星野が友達を助けにいくシーン。「だから決めたの」の次に「あたしは絶対見て見ぬ振りはしない」のフキダシに読者の目線を誘導するため、星野の大ゴマに1本の線が引かれている。

ええ。バレーボールの回も目を見張る上手さです。それにほら、星野が友達の松方を助けに行くシーン。この量の言葉を順番通りに読ませるために、この縦の1本線が必要なんです。画面構成へのこだわりを感じますね。永椎晃平さんって新人さんですよね?

──「星野」以前に発表されているのは全3巻の「放課後ソードクラブ」だけです。

それなのにもう完成してる……。この人はすごいと思いますよ。タイトルも抜群にいい。

──メイクをするときに目をつぶるから「星野、目をつぶって。」。少し色っぽい、ドキドキ感もありますね。

読者は「目をつぶる? どういうこと?」ってなりますよね。しかもネタバレもしてない。そうだ、永椎さんは“目”にもこだわりがある方だと思います。タレ目とツリ目を使い分けてる。

──星野もメイク前はタレ目、メイク後はツリ目になりますね。

永椎晃平のフェチズムを推理する吉田尚記。

ほかのキャラクターもタレ目とツリ目が多くて、普通の目の子があんまりいない。たぶん、永椎さんはタレ目フェチです。

──あはは(笑)。三白眼フェチなんだろうなって作家さんもいますしね。フェチズムは滲み出ちゃうのかもしれません。

そういうツボは誰にでもありますからね。僕は気風のいい女の子が好きなんです。受け身ではなく、物事をガンガン動かしていける子のほうがいい。まさに星野がそうで、読んでいて気持ちいい。ただ星野はギャップ萌えの人や地味顏が好きな人にもウケるだろうし、受け皿が大きいんですよ。

──地味顏も犬っぽくてかわいいですしね。

そうなんですよ。受け皿が大きいという意味でも、キャラが秀逸です。

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俺は、彼女に、メイクをすることになった──。小早川はクラスの日陰者。休み時間は寝たフリ……。クラスメイトには名前も憶えられてない……。だが、ある夕暮れ、小早川はクラスの人気者・星野海咲の誰も知らない素顔を知ってしまう! そして、その日その時こそ、小早川の、星野の秘密を守る波乱の日々の幕開けだった! 秘密を抱えた少女×退屈に生きる少年──2人が紡ぐ“日常革命系ボーイ・ミーツ・ガール”!! 週刊少年マガジン(講談社)で連載中。

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吉田尚記(ヨシダヒサノリ)
吉田尚記

1975年12月12日東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、1999年ニッポン放送入社。入社以来、「オールナイトニッポン」などニッポン放送のヤングタイム番組を中心に担当。2011年度「第49回ギャラクシー賞」において「DJパーソナリティ賞」を受賞。現在は毎週月曜日から木曜日深夜24時から放送中のワイド番組「ミューコミ+プラス」を担当中。マンガ、アイドル、落語、デジタルガジェットなど多彩なジャンルに精通。愛称はよっぴー。

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