コミックナタリー Power Push - 週刊少年マガジン編集部×ラブコメ

マンガ大好きアナウンサー・よっぴーこと吉田尚記と“次に来る少年ラブコメ”を探せ

週刊少年マガジン(講談社)の編集部が自信を持って勧める「寄宿学校のジュリエット」「徒然チルドレン」「星野、目をつぶって。」「恋と嘘」の4作品。いずれも恋愛をテーマにした少年マンガで、新鋭の作家たちが読者に夢と希望を与えている。

4作品は既刊が6巻までのニューフェイスばかり。コミックナタリーではマンガ好きとして知られ、年間500冊以上マンガを読破するという目利きにしてアナウンサーのよっぴーこと吉田尚記にインタビューを実施。マンガファンとしてチェックしておくべき4作品の見どころを、通ならではの視点で語ってもらった。

取材・文 / 三木美波 撮影 / 石橋雅人

吉田尚記インタビュー

「寄宿学校のジュリエット」編

この作品のヒロインはこちら

ジュリエット・ペルシア
ジュリエット・ペルシア

ウェスト公国貴族の一人娘。しかし、ウェスト公国では爵位や財産を継げるのは男性のみ。そんなルールを変えるため、力、賢さ、権力を手に入れるべく日夜努力している。敵対関係にある東和国の犬塚露壬雄が告白のときに叫んだ「こんな世界変えてやる!!」の一言に心を揺り動かされ、露壬雄と付き合うことに。ウェスト公国の寮と東和国の寮が両立する寄宿学校・ダリア学園で、ともに1年生リーダーを務めるペルシアと露壬雄の恋は秘密。

──今回のインタビューではマンガ好きが高じてマンガ大賞の実行委員も務めていらっしゃる吉田さんに、週刊少年マガジン編集部が携わっている少年ラブコメ4作品を読んだ感想を語っていただければと思っています。まずは金田陽介さんの「寄宿学校のジュリエット」です。

絵がめちゃくちゃ上手い!

──ヒロインのジュリエット・ペルシアをはじめ、主人公の露壬雄(ろみお)に思いを寄せる蓮季、ペルシアの親友のシャルと、女の子がみんなかわいいですよね。

「ペルシアの手作り弁当が食べたい」という露壬雄のリクエストに答えるため、料理が大の苦手なペルシアは奮闘する。

そうそう。それに女の子がかわいいだけじゃないっていうのが、この作品の強いところかなと。例えばこの8話目なんか、ベタ中のベタ。もう……こんなベタなシーンないですよ!

──熱が伝わってきます(笑)。ペルシアが露壬雄にクッキーを渡す場面ですね。

「寄宿学校のジュリエット」の女の子たちは戦うじゃないですか。普段は戦っている、ツンツンしたりキリッとした表情を見せたりする美少女が健気にクッキーを焼いてきてくれる。

──ベタですね。

「寄宿学校のジュリエット」は“大ゴマラブコメ”

なぜ男2人がこんな状態になってしまったのか、単行本2巻で確認しよう。

恋愛に関してはベタや王道の展開を読みたい人が多いと思うんですけど、それでもいろんなマンガで死ぬほど繰り返されちゃってる。見たことある展開って読者に思わせずに、かつ王道を味わわせるのが大切だと思うんですが、金田さんは画力の高さでそれを達成しています。それにラブの部分だけでなくコメディ部分のクオリティも高い。コメディは、絵が上手い人のほうが絶対面白くなるんですよ。

──そうなんですか?

はい、何をもって絵が上手いとするかという問題もありますけどね。ストレートに絵が上手なマンガ家が描いたほうがギャグはハネるんですよ。僕が一番好きなのがこの男たちの全裸シーン。最高に笑ったんですけど、金田さんの画力が高いから、この秀逸なギャグが生きてくるんです。あと「寄宿学校のジュリエット」は作者のやりたいことがすごくはっきりしているんですよ。

秘密の恋人であるペルシアと露壬雄は、デートをするにも一苦労。

──作者のやりたいこととは?

各話各話で、必ず女の子の決めカットがある。たぶん金田さんは、その決めカットを描きたいんじゃないかと。例えば3話はクライマックスとしてはペルシアが丸流を投げ飛ばすシーンだけど、たぶん金田さんはこの「またデートしようね」のコマを描きたい。決めの大ゴマが読みどころですよ、このマンガは。

──なるほど。

僕の想像ですけど、この作品は決めの大ゴマから構成してる気がする。金田さんは決めゴマまでにどうやってたどり着くかを考えるタイプの作者だと思うんです。「寄宿学校のジュリエット」を一言で表すとしたら、“大ゴマラブコメ”ですね。

熱弁する吉田尚記。

──そこに作者のパワーを感じると。

ええ、大ゴマが超カッコいい。もしアニメ化されたら、作画監督はすごく大変だと思いますよ。このクオリティの絵をみんな求めてしまうから。

金田陽介「寄宿学校のジュリエット」発売中 / 講談社
「寄宿学校のジュリエット」3巻
3巻 / 463円
3巻 Kindle版 / 432円
1巻 / 463円
1巻 Kindle版 / 432円

寄宿学校、ダリア学園。敵対する2つの国の生徒が通う、この名門校に、許されぬ恋に悩む学生がいた。東和国寮の1年生リーダー“犬塚露壬雄”。彼の想い人は、宿敵・ウエスト公国寮の1年生リーダー“ジュリエット・ペルシア”。すべては、犬塚の命がけの告白からはじまった!! 絶対にバレちゃいけない恋物語! 別冊少年マガジン(講談社)で連載中。

若林稔弥「徒然チルドレン」発売中 / 講談社
「徒然チルドレン」6巻
6巻 / 463円
6巻 Kindle版 / 432円
1巻 / 463円
1巻 Kindle版 / 432円

「君が好き」って言えない君へ。もどかしくて恥ずかしくて照れくさい思いがたっぷり詰まった、Webで大人気の学園ラブコメディ4コマが待望の単行本化!! その思い、きっと伝わる気がしてくる!! 週刊少年マガジン(講談社)で連載中。

永椎晃平「星野、目をつぶって。」発売中 / 講談社
「星野、目をつぶって。」3巻
3巻 / 2016年11月17日発売/ 463円
3巻 Kindle版 / 432円
1巻 / 発売中 / 463円
1巻 Kindle版 / 432円

俺は、彼女に、メイクをすることになった──。小早川はクラスの日陰者。休み時間は寝たフリ……。クラスメイトには名前も憶えられてない……。だが、ある夕暮れ、小早川はクラスの人気者・星野海咲の誰も知らない素顔を知ってしまう! そして、その日その時こそ、小早川の、星野の秘密を守る波乱の日々の幕開けだった! 秘密を抱えた少女×退屈に生きる少年──2人が紡ぐ“日常革命系ボーイ・ミーツ・ガール”!! 週刊少年マガジン(講談社)で連載中。

ムサヲ「恋と嘘」発売中 / 講談社
「恋と嘘」5巻
5巻 / 463円
5巻 Kindle版 / 432円
1巻 / 463円
1巻 Kindle版 / 432円

「誰かを好きになる」──人はいつの間にその罠に墜ちるのか。人生のパートナーを国が決める世界。それは希望であり、絶望であった。どこにでもいる古墳好きの少年・根島由佳吏は、そのちっぽけな胸に、燃えるような恋心を秘めていた。恋が許されない世界で、16歳の夜、少年は、禁じられた冒険へ走り出す!! マンガボックスで連載中。

吉田尚記(ヨシダヒサノリ)
吉田尚記

1975年12月12日東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、1999年ニッポン放送入社。入社以来、「オールナイトニッポン」などニッポン放送のヤングタイム番組を中心に担当。2011年度「第49回ギャラクシー賞」において「DJパーソナリティ賞」を受賞。現在は毎週月曜日から木曜日深夜24時から放送中のワイド番組「ミューコミ+プラス」を担当中。マンガ、アイドル、落語、デジタルガジェットなど多彩なジャンルに精通。愛称はよっぴー。

今夜もオトパラ!(ニッポン放送)

月~金 17:30~20:50

仕事帰りのひとときに“オトナを楽しむ”個性的なパーソナリティが、仕事・遊び・趣味など幅広い話題を繰り広げるオトナによるオトナのラジオ番組。月曜から木曜までは松本秀夫と渡辺一宏が、金曜日は吉田尚記と里崎智也がパーソナリティを務めている。