TVアニメ「禍つヴァールハイト -ZUERST-」イヌマエル役・阿部敦×レオカディオ役・小野友樹インタビュー|お互いの芝居を想像し、信じて臨む、2人の青年を巡る物語

謎に迫っていくさまを、一緒に見届けて

──では、監督からのディレクションで印象に残っているものはありますか?

小野 「静かにオラついて」というディレクションがありました。言葉だけを見ると「?」となるかもしれませんが、この言葉に至るまで、おそらく10テイクほど、あーでもないーこーでもないとトライを重ねた末の言葉だったので、僕的には「あー! そういうことかー!」と妙に納得したパワーワードでした。どの箇所なのかは、お楽しみに!

阿部 転ぶシーンで「あいたーっ!」というセリフがあるのですが、なかなか監督からOKが出ずに苦労した覚えがあります(笑)。次こそは一発OK出すぞー!

──どちらもオンエアで観るのが楽しみです(笑)。ところで、10月1日には阿部さん、小野さんとシャアケ役の花守ゆみりさんも出演した「Vフェス」が配信されましたね。小野さんはTwitterで「禍つメンバー、バランスが妙に面白いんです」と書かれていましたが、どういう雰囲気なのでしょうか?

小野 明確に「誰がどのポジション」というわけではないんですが、トークが多少ゴチャッとなっても、なんとなく丸く収まっている安心感があります。このメンバーでトークなどでご一緒できる機会が、またあるとうれしいですね!

花守ゆみり演じるシャアケ。

──放送はこれからなので、最後に、「禍つヴァールハイト」にアニメで初めて触れる方もたくさんいらっしゃると思いますが、楽しみにされている皆さんにメッセージをお願いできますでしょうか。

阿部 もうゲームをプレイしている方も、初めて「禍つヴァールハイト」を知った方も、同じく楽しめる作品です。骨太なアニメに仕上がっていると思いますので、ぜひ楽しんでください!

小野 アニメで初めて「禍つ」に触れる方も、大丈夫! 僕たち自身も、この作品を通して謎に迫っていく感覚ですので、一緒に見届けていただきたいと思います。ぜひ、お楽しみにッ!!

細田直人監督インタビュー

TVアニメ「禍つヴァールハイト -ZUERST-」公式サイトでは、細田直人監督をはじめスタッフ陣のインタビューを掲載中。ここでは、細かなこだわりや意気込みが感じられる監督のインタビューの一部を紹介しよう。

──まず細田監督がアニメ版「禍つヴァールハイト」に参加することになった経緯を教えてください。

以前から知り合いだったプロデューサーに「何か一緒に仕事しましょう。どんなアニメをやりたいですか?」と声をかけられたんです。そこで「自由に作れるものがいい」と答えたところ、KLabさんのゲーム「禍つヴァールハイト」をアニメ化するという話を紹介してもらい本作に関わることになりました。KLabさんとアニメの方向性を対話をしていく中、ひとつの道筋として、ゲーム側もあえて介入しすぎず、アニメの自由度とクオリティを高めるために一定の距離感を意識すれば、今まで見たことのない、ゲームとアニメのリンクが見いだせるのではないか、という話になり、ゲームとアニメの時間軸の差である、「20年」というのがアイデアとして出たのです。

──その段階では、アニメ版の大まかな内容は決まっていたのでしょうか?

いや、決まっていませんでした。だから自由に作っていい作品として紹介してくれたんでしょうけど。それでゲームをプレイさせてもらったところ、設定はしっかりとあるもののストーリーよりはゲームシステムを楽しませることを重視した作品だと感じました。そのためゲーム本編をそのままアニメ化するのではなく、そこに至るまでのオリジナルの物語にしたほうが、アニメ単体でも楽しめるし、ゲームのプレイヤーにも興味を持ってもらえる作品になるのではと提案させてもらいました。

──それでアニメ版の舞台が、ゲームでは“光”の落下によって帝都が大火に包まれるという設定のあった20年前になったんですね。

はい。その提案を快諾してくれたKLabさんから細かな設定や企画書をいただいて20年前の話を膨らませていきました。ちなみにそれらの資料にはゲームをプレイしていて気づかなかった設定や反映されていない設定もあったので、そうした要素もアニメ版のシナリオでは盛り込んでいます。

──ゲームとアニメでは媒体が異なりますが、どんなことに注意して制作されているでのしょうか?

僕は理屈っぽい性格なので、ゲームの世界観をアニメで描くにあたってのローカライズには気をつけています。例えば自分の身長より長いような大剣を背中にかついで街を歩いているキャラクターがいるとして、システム重視のゲームだと見栄えがよくて“アリ”かもしれませんが、きちんと社会が構成された世界を描くアニメだと不自然に映りますよね。だからアニメでは大剣ではなく中世で使われていたショートソードやバスタードソードを持たせるとか。

──確かに。「禍つヴァールハイト」の場合は何かありますか?

パッと思いつくのは車でしょうか。KLabさんからは古典的なT型フォードみたいなフォルムのイメージをいただいたのですが、時代背景的には合っていても、物語中でオフロードを走らせるには違和感がある。だからオフロードカーも参考にして設定したり。そんなふうにアニメで描くにあたって不自然さがなくなるよう心がけています。