コミックナタリー Power Push - 「ルパン三世大解剖」
誕生から50周年! 世代を超えて愛されるルパン三世の魅力に迫るムック
「ルパン三世」誕生のきっかけとは?
編集部(以下編):まずは『ルパン三世』連載50周年おめでとうございます。ルパン三世というキャラクターがこの世に登場してから、もう50年も経つと考えると驚きなんですが、その誕生のきっかけというのはどんなことだったんでしょうか?
モンキー・パンチ(以下モ):はじめは「双葉社で新しい雑誌を出すからお前も加われ」と言われたんですよね。それで「お前は何が描きたいんだ?」と聞かれて、当時自分もまだ新人だったんで、即答しないと仕事をもらえないじゃないですか。それで一生懸命考えて浮かんだのが、昔読んだ小説のタイトルで「怪人二十面相」や「アルセーヌ・ルパン」、それに「シャーロック・ホームズ」や「西遊記」だったんです。その中で自分にあってるんじゃないかと咄嗟に思いついて答えたのが〝ルパン〟だった。それがきっかけだったですね。
編:それじゃあ、なんのストーリーのイメージがあったわけではなく、最初はルパンという名前があっただけなんですか?
モ:そうそう、なんのイメージもない(笑)。でも、ルパンっていうのは強烈に印象にありましたからね。子どもの頃に読んだ中で一番面白かったっていう。それに遊び心もあったし、ルパンのようなキャラクターを描いたら面白いだろう、そう思ったんですよ。でも、出版社のほうは「それは古いだろう? もっと新しいのを考えてくれよ」と言うんですよね。でも、一度ルパンという主人公でと言ったもんだから、何とか通そうと思って、ちょうどその頃の『007』という映画があったんですけど、そのイメージを加えたら面白いと思ったんですよ。『007』というのは、大人のお色気があったり、遊びがあったりと僕らが観ても面白かったんですよ。それを話したら出版社のほうも渋々通してくれて、取りあえず3か月連載をして様子を見て、読者の評判が悪かったらその時は編集部の企画をやる…ということで決まりました。
編:『007』といえば、当時はさいとう・たかをさんなど、そういったハードボイルドな作品がいくつもあった気がしますね。
モ:そうですね。とにかく僕は『ルパン三世』を描く前は貸本屋の漫画を描いていましたし、その時もハードボイルドでお色気あり、アクションあり、バイオレンスありといった青年向けばかり描いていましたから。これが少年誌だったら描けなかったと思いますよ。
編:なるほど。そうやって『ルパン三世』のイメージが固まって、連載を開始するんですね。
モ:いや、それがそれからしばらく『ルパン』の話は途切れちゃうんですよ。特に催促もないし、自分も忙しかったんで流れちゃったのかなと思ってたんですよね。ところが、半年くらい経ってから編集長から電話がかかって来て「お前、あのルパンの話どうなったんだ?」って聞かれて、「えっ、あの話、生きてたんですか?」って言ったら「当たり前だろ!」って怒られて(笑)。それで何もやってないから慌てて表紙を描いて、巻頭でしかもカラーですからとにかく出さなきゃいけないって、何ページだけ先に描いたけど、ストーリーなんて何も出来てない。とにかく原稿を入れてからストーリーを考えりゃいいやって。
(「ルパン三世大解剖」より抜粋)
不二子や次元、五ェ門のキャラクター創出秘話も飛び出す、気になる続きはムックで!
1967年、週刊漫画アクションに登場してからすでに50年。1971年にアニメ化されて以降、常にテレビシリーズや劇場版アニメとなってファンを楽しませてくれる「ルパン三世」。
2015年には30年ぶりに新作テレビシリーズ放映、また今年は新作アニメ「LUPIN THE ⅢRD 血煙の石川五ェ門」の公開と今もなお不動の人気を誇る作品だ。本書では時代を超えて、世代を超えて愛される「ルパン三世」の魅力のすべてに迫りたい!
収録内容
- 「ルパン三世」ポスターギャラリー
- 「LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門」最新情報
- 小池健インタビュー
- 栗田貫一×浪川大輔対談
- 「ルパン三世」TV SERIES紹介
- 「ルパン三世」劇場版、OVA、テレビスペシャル紹介
- 「ルパン三世」男たちの名言
- 「ルパン三世」を彩った女性たち
- 「ルパン三世」テレビシリーズタイトルリスト
- 「ルパン三世」イラストギャラリー
- 「ルパン三世」原作名エピソード ほか
モンキー・パンチ
1937年、北海道生まれ。1957年に上京、貸本誌でデビューしたのち、1965年にメジャー誌に進出。1967年より週刊漫画アクション(双葉社)に「ルパン三世」を連載し、テレビアニメ化、映画化など多方面で世代を越えて愛されるヒット作となった。
©︎モンキー・パンチ/TMS・NTV