同じ役割を果たしている2人が戦うのも、すごくエモーショナル
──リュシアンに対して、上村さんがこれまで演じてきたキャラクターとは違うと感じたところはありますか?
がむしゃらに壁を乗り越えて、まっすぐ突き進んでいくような役が多い中で、リュシアンも自分が掲げる正義のために、現状を打開しようともがいている1人の主人公ではあるんですけど、彼は全然それを表に出さないんですよ。でも内側ではちゃんと悔しさを感じたり、自分なりにもがいたりしている。そこがまあ大人というか、先輩らしさでもあるし、ブレイズの筆頭だなって思う部分なんですけど。
──リュシアンの場合、筆頭というポジションも自主的にやっているわけではなく、周りがそういうふうに言うから、仕方なくその役回りにいるように感じました。
キャラPVのボイスでも「ブレイズ筆頭というのは、教官たちが決めた便宜上のもの」って言ってますしね。そんな自分さえも俯瞰していそうな、非常に冷静な面も持っているので。そう言ってもらえるうちは自分の務めを果たそうとするしっかり者でもあるし、行動に移せるだけの実力を伴っているのがまた素敵だなと思います。
──アニメ版のリュシアンを演じて、改めて感じた魅力だと。
そうですね。最初はカチッとした服の着こなしから、学校の頭髪・服装検査で絶対に引っかからないタイプの(笑)、すごく真面目な優等生かと思ったんですけど、目元がそこまで笑ってなくて。その眼の奥に何が見えてるのかなって思わせてくれるビジュアルだったので、演じるのが楽しそうだなというのが第一印象でした。でも実際はコミカルでカジュアルな部分もあったりして。よく“飄々としている”と言いますけど、その“飄々”という言葉が似合うというか。ストレートなキャラクターが多い中で、一番何を考えてるかわからないところが面白いなって思いますね。
──アニメでは今回8人のキャラクターが登場しますが、気になったキャラクターや、共感を覚えたキャラクターはいますか?
剣を交えたというのもあるんですけど、アレクサンドラは気になりましたね。休戦の合間、うつむいているユーゴに温かい飲み物を差し出して、アレクサンドラがユーゴの話を聞いてあげるシーンがあるじゃないですか。そういう先輩が後輩の面倒を見るといった関係性は、リュシアンにも当てはまっていて。アニメではリュシアンは後輩のセリアの護衛に回るわけですが、互いに立ち位置は違えど、先輩という、同じ役割を果たしている2人が戦うのも、すごくエモーショナルですよね。アニメでは2人が戦っている姿を見られたのもうれしかったですし、戦い以外の部分の、会話劇の中での何気ない一場面を見られたのもよかったです。
──アレクサンドラと戦うシーンは、アフレコ時もアレクサンドラ役の大西沙織さんと掛け合いをされたんですか?
掛け合いはできなかったんですよ。ただその分、剣を使ったりジャンプをしたりするアクションの部分は、適宜調整していただきながらいろんなパターンを録りました。僕は僕で、リュシアンは余裕があるのでアドリブはそこまで必要ないのかなと思い、必要以上に入れなかったり。実際の映像を観ると余裕もあるけど、必死さもあって、観ていて応援したくなるというか。すごく魅力的にしていただいたのでよかったです。
ひたすら“ティータイムにおける正義とは何か”について語らってもらいたい
──特集第1回(参照:「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful Crossroad」新井良平×竹田海渡が語る、敵対する幼なじみ同士が掲げる“譲れない正義”とは)、第2回(参照:「アニメ「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful Crossroad」梅原裕一郎がこれまでの役よりひと回り上の悪役に初挑戦)のインタビューでも皆さんに伺ったのですが、「ルミナリア」の主人公たちのように上村さんが信条としていることを聞かせてもらえませんか。
仕事もそうですし、プライベートもそうなんですが、何事も楽しむことを大事にしています。そのときの出会いや一緒に過ごす時間って、本当にその瞬間しかないので。例えば仕事の場合だと、経験が浅かった頃の自分は現場で緊張したり、縮こまったりしていましたが、経験値を積んで昔より周りを見ることができるようになってきてからは、仕事だと割り切らずにその時間を楽しまないともったいないなって思うようになったんです。どんな環境でも楽しいことを見つけて、それを存分に楽しむことができれば一番いいなって今は思えますね。
──リュシアンは日頃、紅茶や茶菓子を嗜むそうですが、上村さんは普段どんなリラックスタイムを過ごしていますか?
リュシアンの好みに似ているんですけど、僕の場合は紅茶と茶菓子じゃなくて、コーヒーとパンをいただいているときですね。早く起きれば美味しいパンとコーヒーにありつけるぞと、なるべく早寝早起きを心がけています。まあ朝に限らず、お昼や空き時間にカフェに行ったり、喫茶店に行ったりしてリラックスしているので、朝昼晩関係なく、ずっとリラックスしてますね(笑)。
──最後に改めて、皆さんに注目してほしいポイントをお願いします。
アニメは全貌が描かれなくとも1人ひとりのキャラクターがどういう人柄で、どういうことを考えているのか、もっと知りたいと思わせてくれるような描写がたくさんありますし、ゲームは21人分のエピソードが用意されていて、別のキャラクターとの会話や戦いも盛り込まれているので、よりキャラクターの背景を深掘りできると思います。ここまで多くのキャラクターに没入できる作品って、なかなかないんじゃないでしょうか。アニメではレオとユーゴ、そこにセリアも交えた思いのぶつかり合いが大きく描かれていますが、そのうちまた今回登場しなかったキャラクターでアニメを展開していただけたら、ファンの皆さんもうれしいんじゃないかなと。
──ほかに、アニメで観てみたいキャラクターはいますか?
名家の御曹司で、リュシアンを一方的にライバル視している同学年のマクシムかな。リュシアンにはあまり相手にされていないんですけど、とにかく一所懸命なマクシムと、そんな彼に余裕を持って接するリュシアンとの対極的な描かれ方が面白くて好きです。あとはリュシアンに迫る実力者で、深い関わりがあるヴァネッサもそうですね。真面目な彼女とリュシアンがお茶を飲んでいるだけでも十分面白いと思うので、2人の掛け合いもぜひアニメで観てみたいなと。リュシアンとヴァネッサがお茶をしているところに突然マクシムがやってきて、カオスな状態になるのもいいですね。そこでリュシアンが「落ち着きましょう」とマクシムをなだめる(笑)。
──もう脚本ができているじゃないですか。
そういう彼らのTHE・日常的な部分も覗いてみたいなって。日常パートでは誰とも戦わず、ひたすら「ティータイムにおける正義とは何か?」について語らってもらいたいですね(笑)。
プロフィール
上村祐翔(ウエムラユウト)
10月23日生まれ、埼玉県出身。劇団ひまわり所属。主な出演作は「文豪ストレイドッグス」(中島敦役)、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」(ヒロ役)、「ツルネ ―風舞高校弓道部―」(鳴宮湊役)、「RE-MAIN」(清水みなと役)、「僕のヒーローアカデミア」(天喰環役)、「シャドウバースF」(天竜ライト役)など。特技・資格はビリヤード、スキューバダイビング、剣道三段、普通自動車免許、中学校高等学校教諭一種免許(国語)。
アニメ「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful Crossroad」特集
- 「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful Crossroad」新井良平×竹田海渡が語る、敵対する幼なじみ同士が掲げる“譲れない正義”とは
- アニメ「テイルズ オブ ルミナリア The Fateful Crossroad」梅原裕一郎がこれまでの役よりひと回り上の悪役に初挑戦
※記事初出時、キャストのプロフィールに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。