「きみがローファーをはいたら」は女子高生と積極的な年下男子の初恋ラブコメ。月刊プリンセス(秋田書店)にて連載中で、単行本は3巻が発売されたばかりだ。これを記念し、大の少女マンガ好きで知られるニッチェに本作を読んでもらうことに。これまで数々の少女マンガを読んできた2人だが、この歳の差設定はあまり見てこなかったそうで「新鮮!」と驚く。さらに、まだ幼いながらも欠点が見当たらない年下男子については「この世には存在しない」とまで大絶賛。いったい彼のどんなところがニッチェを感心させたのか、この記事とマンガを読んで確かめてほしい。
取材・文 / ちゃんめいスタイリング / 程嶋由美撮影 / 武田真和
作品紹介
「きみがローファーをはいたら」
作者:大島永遠
高校1年生の三木凜音は、オシャレが大好きで友達思いの女の子。世話好きの性格もあって、異性とは友達にはなっても恋愛に至ることはなく、恋心とは無縁に生きてきた。そんな彼女だが、文化祭の日に少し不思議な雰囲気の少年・冬馬と出会い……。グイグイくる年下男子に戸惑いながらも、だんだんと凜音も冬馬のことが気になっていく。
入り口も好きなタイプも違う、それぞれの少女マンガ遍歴
──まずは、それぞれの少女マンガ遍歴を教えてください。
近藤くみこ 初めて読んだ少女マンガはたぶん「ちびまる子ちゃん」なんですが、恋愛系だと「花より男子」かな? 小学6年生の頃に塾の友達に借りて読んで、少女マンガ面白い!って感激した記憶があります。子供の頃は、兄の影響で少年マンガばかり読んでいたので、少女マンガとの出会いは少し遅いかもしれないですね。
江上敬子 もともとはヤンキーマンガ育ちだもんね。私は3つ上の姉がいたので、姉が買ったりぼん(集英社)と私が買ったなかよし(講談社)を交換して読み合ったり、たまに姉のマンガを盗み読んだりしていました(笑)。中でも、なかよしで連載されていた「ミラクル☆ガールズ」や「ミンミン!」が大好きで。恋愛系というより、キラキラしていて、強い女の子が活躍する系の作品が好きだったなあ。
──いわゆる“ガチ恋”するほど夢中になったキャラクターはいますか?
江上 それで言うと少女マンガより少年マンガのほうが多いかもしれないです。「幽☆遊☆白書」の蔵馬とか。少女マンガの男の子だと誰かいたかな。
近藤 「ママレード・ボーイ」とかはどう?
江上 あー、いいね! でも私は遊より銀太派。サブキャラというか当て馬が好きなんです。恋が叶わないキャラのほうに思い入れが強くなっちゃうタイプ。
近藤 吉住渉先生の描く男の子ってカッコよすぎるんだよね。遊みたいな人って現実に絶対いないからあまりピンとこないけど、銀太はいそう。
江上 そう、それがいいのよ! 銀太みたいに人当たりがよさそうな子のほうが私は好き。「天使なんかじゃない」だと晃でも瀧川くんでもなく、ケンちゃん派みたいな。
近藤 ケンちゃん好きそうだなあ(笑)。私の場合は、男の子より女の子に夢中になっていたかも。「天使なんかじゃない」だったらマミリンが大好きで、かわいい!健気!って思いながら読んでいました。
江上 マミリンと瀧川くんと志乃の三角関係もよかったよね。少女マンガは主人公ではないサブキャラたちの恋愛模様もけっこう見てしまうというか、応援したくなる!
歳の差恋愛マンガの魅力は、止められない恋心への共感
──ここからは「きみがローファーをはいたら」についてお伺いします。本作は主人公の女子高生が年下男子と出会うことから始まりますが、おふたりから見て“歳の差恋愛マンガ”の魅力はどんなところにあると思いますか?
近藤 歳の差恋愛で言うと、私は年下よりもオジ専なんです。西炯子先生の「娚の一生」とか、女性が年上の男性に恋をするマンガが大好きでよく読んできました。
江上 年上男性との恋だと、河原和音先生の「先生!」とかもあったよね。教師と生徒の恋愛ということで、知られてはいけないと言いますか、大手を振って言える恋ではない。そうだとわかりつつも、やっぱり抑えられないほどの恋する気持ちがあるわけで……。歳の差恋愛マンガって読んでいてつらいこともあるんですけど、その止められない恋心に共感したり、つい応援したくなるところが魅力なんじゃないかな。
近藤 年齢差ってどうしても縮まらないですし、人によっては大きな壁ですよね。「きみがローファーをはいたら」の凜音と冬馬だって、4歳の差で思い悩んで葛藤していますし。
江上 正直、大人になってからの4歳差って何も変わらないけどね。学生の頃と成人してからでは年齢の感覚ってまた違うから。私なんて夫が8歳上だけど、もう何も感じない(笑)。
親の顔が見てみたい?謙虚さを見習いたい年下男子
──主人公の凜音は世話好きな性格もあって、これまで異性とは恋愛に至ることはなく、恋心とは無縁に生きてきたというキャラクターです。彼女にはどのような印象を持ちましたか?
近藤 自分の考えをちゃんと言語化できる、とてもしっかりした子ですよね。周りからも「おかん」呼ばわりされていますけど、そんな子が今まで見せなかった顔を見せるという……。
江上 冬馬くんの存在によってね。凜音が「しっかりしなきゃ」と自分に課していたものを、年下男子の冬馬くんが剥がしてくれる。しかも剥がしていくと、精神年齢はほぼ一緒だったみたいなね。そんな幸せそうな2人の姿を見ていると、よかったね!という気持ちになりつつ、冬馬くん早く年取らないかな!?って思ってしまいます(笑)。やっぱり小学生と高校生の年齢差にハラハラしちゃうから、せめて早く中学生になってほしい!
近藤 本当に同意です。ただ予想だと冬馬が中学生になったら、女の子たちに人気が出ちゃって凜音が嫉妬しますね。
江上 あはは、ありそう!(笑) だって、今冬馬が同級生たちからそんなに騒がれていないのは心を閉ざしているからだもんね。これがね、中学デビューしたらもうヤバいですよ。イケメンなのはもちろんめちゃくちゃデキた子なので、絶対にモテます。
──冬馬を大絶賛されていますが、少女マンガに精通されているおふたりから見て、彼の一番の魅力はどんなところだと思いますか?
近藤 謙虚なところですかね。凜音と遊園地デートしたときも、冬馬は彼女のことをすごくリードしていて。その姿に凜音も「気遣いできてすごいね」って褒めるんですけど、冬馬は「頑張ってるだけ」って言うんです。この謙虚さがもうね、この世に存在しない男だなって思いました(笑)。どうかこの謙虚さを失わずに成長してほしい。
江上 素晴らしい。きっと冬馬の親御さんがそういう方なんだろうね。
近藤 本当、親御さんの顔を見てみたい。着ている洋服からして、親御さんの職業はバンドマンかデザイナーだと予想します。
江上 あと美容師ね。
近藤 うんうん、オシャレすぎる。
江上 小学生で黒マスクってなかなかいないよ? でも、そんな冬馬からたまに出る子供っぽい部分というか、アンバランスさも魅力だと思います。例えば、話すときの距離が近くて凜音は常にドキドキしちゃうけど、それは彼が小学生だからこその無邪気さからくるものかな?って。でも、やっぱり確信犯かもと感じるときもあって、どこかミステリアスな印象を受けます。……そういえば冬馬って、凜音が初めての彼女なのかしら?
近藤 えっ、まさかその前にも恋愛経験があるの!? ちょっと大島先生ー!(笑)