コミックナタリー Power Push - 「劇場版 黒子のバスケ LAST GAME」
“映画化するならこういう話“と描いた後日譚
藤巻忠俊原作によるアニメ映画「劇場版 黒子のバスケ LAST GAME」が3月18日に公開される。少年ジャンプNEXT!!(集英社)に「黒子のバスケ」の後日譚として連載された「黒子のバスケ EXTRA GAME」を原作とする同映画では、黒子や火神、「キセキの世代」によって結成されたドリームチーム・VORPAL SWORDS(ヴォーパルソーズ)とアメリカのストリートバスケットボールチーム・Jabberwock(ジャバウォック)の戦いが描かれる。
コミックナタリーでは映画の公開に合わせ藤巻にインタビューを実施。「EXTRA GAME」執筆の経緯にはじまり、映画への関わり方、キャラクターへの思い、今後の「黒子のバスケ」の展開などについて尋ねたほか、映画の公開と同日に発売される週刊少年ジャンプ16号(集英社)で藤巻がスタートさせる新連載「ROBOT×LASERBEAM」についても語ってもらった。
取材・文 / 平松梨沙
藤巻忠俊インタビュー
「映画化するならこういう話」と思って描いた
──このたびは「劇場版 黒子のバスケ LAST GAME」公開おめでとうございます。原作の「黒子のバスケ EXTRA GAME」が単行本2巻分のエピソードだったので、映画化を見越した連載だったのでは?と思っていたのですが、もともと映画化のお話があったのでしょうか?
「EXTRA GAME」を描き出した時点では、映画化の話はまったくなかったんです。でも、自分では勝手に「映画化するならこういう話がいい!」という願望をこめて描いていたので、うれしいですね。
──そういう思いで描かれていたんですね。
めちゃくちゃ強い奴と1試合限りの死闘を繰り広げるというストーリーも、本編のようなトーナメント制ではなく1試合で見せやすくするために、ストリートバスケを戦いの場にしたのも、つまりは「映画化するなら…」という願望からです、正直。
──今回の「LAST GAME」では藤巻先生が総監修を務めています。これは、具体的にどういった役割なんでしょうか?
アニメを実際に動かすのはスタッフの皆さんなのでそこはお任せしつつ、ストーリー面を固めて脚本を作る段階で、最大限協力させていただきました。「EXTRA GAME」の内容だけでも十分楽しんでいただけるとは思いますが、さらにプラスアルファをと考え、いろいろとエピソードを追加しています。
──追加エピソードはどのような内容になるのでしょう。
追加エピソードといっても、あってもなくてもいいような内容じゃ嫌だったので。むしろかなり重い話かも。「え、こんなの入れちゃうの」と驚くかもしれません。
──脚本制作以降は、スタッフの方々にお任せする形だったのでしょうか?
「こいつはこういう奴です」「マンガでのここの演出はこういう意図です」ということは、最初の時点で全部スタッフの皆さんにお伝えしているので、それ以降は大船に乗ったつもりでいるんです。「あの内容が動いたらどれだけカッコいいか」というところにもぜひ注目していただければ。
“キセキ”を「どうやって追い詰めるか」を考えるのも楽しい
──まだ「黒子のバスケ」本編が連載されていたときに、ファンブックのインタビューで冨樫義博さんと対談なさっていましたよね。冨樫さんが「黒子たちに海外の悪い奴らと戦ってほしい」と発言していたのが印象に残っているんですが、あの対談の時点で藤巻先生には「EXTRA GAME」の構想はあったんですか?
うっすらありましたね。ちょうど、ウインターカップ編をだいぶ描き進めて、このマンガを最後まで描ききれるなという手応えが確実なものになっていた頃で、連載が終わったら「キセキの世代」でドリームチームを結成させたいと思っていました。
──読者としても「待ってました!」という思いが強かったです。それでも今回の敵であるJabberwockメンバーのパワーが圧倒的すぎて「えー、こんなの“キセキ”でも勝てるの!?」とハラハラしたんですけど……。
そうやって読んでいただけると大変うれしいです。本編のときからそうですけど、描いているこちらも、「こいつらはこう倒す」ということを最初から考えて描いているわけじゃなくて、「どうだ、こんなの出てきたら勝てないだろう」という敵を作ってから、どうやって倒すかを考えているんですよ。
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- 「劇場版 黒子のバスケ LAST GAME」2017年3月18日(土)ロードショー
- 誠凛高校バスケ部に入部した黒子テツヤと火神大我。抜群のセンスを持つ火神に対し、黒子は誰もが驚くほど影が薄い存在だった。だが、黒子は強豪・帝光中学で「キセキの世代」と呼ばれた5人の天才と共に戦う“幻の6人目(シックスマン)”として活躍していた。“影”と“光”の名コンビとなった2人が主戦力となり、誠凛バスケ部はウインターカップ出場を果たす。そして「キセキの世代」との激戦の末、ついに全国制覇を成し遂げた。 黒子たちは2年生となり、夏が終わるころ、アメリカから注目のストリートバスケットボールチーム「Jabberwock(ジャバウォック)」が来日した。しかし親善試合で彼らが見せたのは、圧倒的な実力で日本チームをねじ伏せ、日本のバスケを嘲笑う姿だった。その態度に激怒したリコの父・景虎は黒子と火神、そして「キセキの世代」を集め、Jabberwockにリベンジマッチを宣言する! 今回限りの最強ドリームチーム「VORPAL SWORDS(ヴォーパル・ソーズ)」、ここに集結!!
スタッフ
- 原作:藤巻忠俊(集英社 ジャンプ コミックス刊)
- 監督:多田俊介
- 脚本:高木登
- キャラクターデザイン:菊地洋子
- 総作画監督:後藤隆幸、菊地洋子
- 美術監督:鈴木路恵
- 色彩設計:竹田由香
- 撮影監督:荒井栄児
- CGIディレクター:磯部兼士
- 編集:植松淳一
- 音響監督:三間雅文
- 音楽:池頼広
- 主題歌「Glorious days」GRANRODEO
- アニメーション制作:プロダクションI.G
- 黒子テツヤ:小野賢章
- 火神大我:小野友樹
- 赤司征十郎:神谷浩史
- 青峰大輝:諏訪部順一
- 緑間真太郎:小野大輔
- 黄瀬涼太:木村良平
- 紫原敦:鈴村健一
- ナッシュ・ゴールド・Jr.:緑川光
- ジェイソン・シルバー:稲田徹
キャスト
- ©藤巻忠俊/集英社・劇場版「黒子のバスケ」製作委員会
- ©藤巻忠俊/集英社・黒子のバスケ製作委員会
藤巻忠俊(フジマキタダトシ)
東京都出身。2006年に投稿作「黒子のバスケ」が第36回ジャンプ十二傑新人漫画賞を受賞し、2007年に同作が赤マルジャンプ 2007SPRING(集英社)に掲載されデビュー。「黒子のバスケ」はその後、2009年から2014年まで週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載され、テレビアニメ化や小説化、舞台化、ゲーム化などさまざまなメディアミックス展開が行われるヒット作となる。2014年から2016年にかけて、「黒子のバスケ」の後日譚にあたる「黒子のバスケ EXTRA GAME」を少年ジャンプNEXT!!(集英社)にて連載。「黒子のバスケ EXTRA GAME」を原作とした「劇場版 黒子のバスケ LAST GAME」が3月18日より公開されるとともに、同日発売の週刊少年ジャンプ16号より新連載「ROBOT×LASERBEAM」をスタートさせる。