コミックナタリー Power Push - アミュー「この音とまれ!」
燃やし続ける箏(こと)マンガへの情熱
1話の中に3ついいシーンを
──少女マンガ誌のりぼんから少年マンガ誌であるジャンプスクエアに活動の場を移して、描き方に変化はありましたか?
読み切りのときに、自分では変えたつもりでも雑誌を通して見るとやっぱり私の作品は誌面から浮いていると思ったので、連載の初めのほうではアミとグラデ以外はトーンを使わないようにしました。効果やキラキラも最低限に。例えば少女マンガ時代は、建物の影となる部分はトーンで表現することが多かったですが、この連載ではトーンと線で表すとか。そういった少年誌ならではの背景の描き方やパースの取り方は、「月華美刃」の遠藤達哉先生のアシスタントで勉強させていただきました。
──人物の描き方も変えていますか。
髪のツヤベタは、少女マンガ時代は1本1本しっかり入れていたんですが、今はまとめてツヤを出しています。いまだに模索中ですが……。あと少女マンガでは「男の子をとにかくカッコよく」ということを意識していたんですが、今はカッコつけすぎないようにしようとか、カッコいいことを言わせたとしても後でちょっと抜けたシーンを入れてキメ過ぎないようにしようと思っています。逆に女の子をいかにかわいく描くかっていうのも重要ですね。昔は女の子の胸なんて気にして絵を描いたことはなくて、真っ平らだったんですけど、今は意識して柔らかさが出るようにしています。巨乳を描いたのもさとわが初めてですね(笑)。
──少女マンガと少年マンガだとコマ割りも違いますよね。
変形ゴマの使用をなるべく控えるようにはなりました。それと1巻の頃はコマを詰めすぎていたので、最近はなるべく大きめにしています。スマホで読む方も増えているので。あとは、ほかの作品目当てで雑誌を買った方がパラパラめくっている時に目に留めて欲しいのと、文字を読まなくてもざっくりとした流れがわかるように。じっくり読まないとわからないものだと、読んでいて疲れてきてしまうでしょうし、雑誌で物語の途中からでも入ってきてもらうためには読者の目を留めるようなページやコマを1話の中でいくつかは入れなきゃいけないと思っています。以前、林さんには「1話の中にいいシーンが3つあると読者に読んでもらえる」と言われたりもしたので。
──特徴的だなと思ったのが、顔を上げる動作などひとつの動きをいくつかのコマを使って見せているところ。
空間や間、動きを細かく描くのが好きなんです。そのせいでコマが多めになってしまうので、迷うところですね……。
少女マンガ要素も作品に融合させていきたい
──最近は恋愛要素も絡んできて、少女マンガっぽさも出てきたと感じます。
せっかく少女マンガを描いていた経験があるので、そこで培ったものを作品に融合させたいとは思っていて。私は出会ってすぐに恋に落ちる物語より、長いスパンの中で少しずつ距離が縮まっていくのが好きだったので、「この音」で言えば7巻まで世界観やキャラクターを土台として積み上げて、そこから物語を動かしたんです。恋愛面を描いたときの皆さんの反応は一番心配だったんですが、肌感覚としては馴染んでもらえているんじゃないかな。Twitterで男性読者から「色恋沙汰は好きじゃないけど『この音』のは楽しんで読めた」と言葉をいただいたときはすごくうれしかったですね。ただ自分の中では少年もの少女ものって区切っているつもりではないので、男女問わずに読んでもらえる作品にできたらいいなと思っています。
12巻購入者の中から抽選で100名に描き下ろし複製色紙をプレゼント!
応募締め切り2016年8月3日(水)当日消印有効
応募には12巻単行本帯の応募券が必要。帯に記載された応募要項をよく読み、ハガキに住所、氏名、年齢などの必要事項を明記して投函しよう。
- アミュー「この音とまれ!(12)」 / 2016年7月4日発売 / 集英社
- 473円
- Kindle版 / 400円
全国大会神奈川予選。参加する14の高校の内、全国へ進めるのは、たったの1校のみ。絶対に勝つと意気込む愛達だが、姫坂をはじめとする他校の生徒達もそれぞれの思いを胸に、大会に臨んでいるのだった。これまで積み重ねてきたものをぶつけ合う、熱い戦いの幕が開く!!
アミュー
2006年、桜アミュー名義で執筆した「龍星群」が、りぼんオリジナル(集英社)に掲載されデビュー。以降りぼん(集英社)および、同誌の増刊で読み切りを発表。2010年よりペンネームをアミューに改め、ジャンプスクエア(集英社)へと活動の場を移す。ジャンプSQ.19(集英社)で「ミリオンスマイルズ」、ジャンプスクエアで「5×100」を読み切りとして発表した後、2012年よりジャンプスクエアにて「この音とまれ!」を連載中。
©アミュー/集英社