「恋と呼ぶには気持ち悪い」豊永利行×「ヲタクに恋は難しい」伊東健人|メインキャスト2人が萌えポイントをプレゼン!2作品の共通点を軸に、恋愛観やオタク道にも迫る

伊東くんは粒子が細かいタイプのオタクなんだなって

──「恋きも」は主にゲームとラノベ、「ヲタ恋」にはさらに、マンガ、コスプレ、アイドル、腐女子といった、さまざまなオタク要素が登場します。おふたりがオタク道を極めるとしたら、どのジャンルになりますか?

左から豊永利行、伊東健人。

伊東 やっぱり極めるとしたら、声優の道ですかね。この仕事って、感覚に頼ってしまうところがたくさんあるんですよ。以前、ボイトレの先生に「アンタ、声の仕事をしようとしているくせに喉の断面図が描けないの?」って言われたことがあって。自分の喉がどう震えて声が出るのかを理論的に説明できないとダメだって、教えられたんですよ。そういうところを、プレイヤーとして突き詰めだすとまた面白いかもなあと思って。これって、何オタクっていうんでしょうね。

豊永 喉オタクじゃない?

伊東 (笑)。オタク道というか、職業病かもしれないですね。収録で「まずい、今狙ってた声よりも半音下がった!」みたいなときってあるじゃないですか。

豊永 うん(笑)。そういう意味でいうと、芝居に携わってるプレイヤー側の人たちって、みんな演技オタクなんじゃないかって思いますね。役者・声優として、“芝居で何かを表現をする”ということをずっと突き詰め続けているので。そう考えると伊東くんの言うように、声優の道を極めるのも、オタク道のひとつに該当するんじゃないかな。

──芸の道を極めるというのは、これが正解という答えがあるものでもないですし、ゴールの見えない感じがしますね。

伊東 どのジャンルのオタクも結局はそうなんでしょうけど。だから面白いんですよね。例えば僕は音楽も好きで、インタビュー前の撮影中にも豊永さんと音楽の雑談をさせていただいて。音楽ではコードの話をするのが好きなんですけど、「ここはマイナーセブンじゃなくて、セブンスのほうがいいですね」とか、ずっと話していても飽きない気がします。正解やゴールは見えなくても極めることに対して苦にならないのが、向いてるオタク道なんでしょうね。

豊永 僕はコードの話をされると「ああ、なるほど!」くらいのことしか言えなくなっちゃうんですけど(笑)、伊東くんはこだわりが深い、粒子が細かいタイプのオタクなんだなって感じました。僕、割と大雑把で粒が大きいオタクなんで(笑)。

左から豊永利行、伊東健人。

アニメではどう結末を迎えるのか、見守ってもらえたら

──オタクといえば、どちらの作品でもマンガやアニメのオタクであることにコンプレックスを持ち、表向きにはひた隠しにしている女性キャラが描かれます。ネガティブなイメージで見られていた時代があったことなどから、完全にオープンにはできないという心情が働く人はまだ多いんじゃないかと思います。おふたりは生きにくそうにしているオタクの人が周囲にいたら、どんな声をかけますか?

豊永利行

豊永 「君、オタクなんだって?」って、いきなり声をかけるわけにもいかないしねぇ(笑)。

伊東 (笑)。難しいですよね。でも僕は基本的にオープンでいいんじゃないかって思うんです。自分の趣味って隠してるのしんどいじゃないですか。共通の趣味を持っている人を見つけたほうが楽しいと思うので。まずはさらけ出してもいい相手を見つけたらって言いたいかな。ただ同じジャンルのオタクの人であっても、全然そのジャンルについて理解のない人であっても、距離感を間違えてはいけないんでしょうね。

豊永 距離感は大切だよね。1人で没頭したいオタクもいるだろうし、興味のないことをまくしたてられてもって思う人もいるだろうから。僕が思うのは、結局は誰しもが何かしらのオタクなんじゃないかってことなんですよね。例えば今日この取材現場に来ているライターの方やカメラマンの方、スタッフの方もみんな何かしらに対して情熱を持っていると思うんです。そう考えたら、オタクであることはもう大前提に、まわりにいい影響を与えるオタクになっていくことのほうが大事だと思いますね。

伊東 あとは他人の世界にも興味を持つことですかね。「誰かにさらけ出すかわりに、ほかの人の話も聞くんだぞ」みたいな。

豊永 それって僕らは職業柄、他人の世界に興味を持ってないとやっていけないところがあるから、余計にそう思うのかもしれない。

伊東健人

伊東 受け入れてもらう努力じゃないですけど、そのほうがまわりも自分も楽しいと思うんですよね。

豊永 結局はコミュニケーションをうまく取れさえすれば、どんなオタクであったって隠す必要はないってことだよね。話しかけるなオーラがすごい人はそっとしておくし、聞いてほしいタイプの人だったら、僕も興味を持って声をかけたり、一緒に面白がりたいですね。

──では最後にアニメ「恋と呼ぶには気持ち悪い」、アニメ「ヲタクに恋は難しい」のファンに、それぞれ一言ずつお願いします。

伊東 「ヲタ恋」はテレビでのアニメは終わっているんですが、原作単行本の特装版に付属するOADやボイスドラマという形で、アニメ側も展開が続いておりまして、僕と同じくけっこう長い付き合いになっている方も多いんじゃないかなと思います。原作ではやっと、友達以上恋人未満から踏み出せた2人もいれば、結婚した2人もいる。まわりが目まぐるしく変化するなか、さて宏嵩と成海はどうなるのか。今後の展開がとても気になるというところで、これからも末永く応援していただければと思います。

豊永 「恋きも」は今ちょうどクライマックス直前の、9、10話がオンエアされる頃でしょうか。アリエッティや多丸くんといった、まわりの登場人物たちと互いに影響し合いながら、一花さんと亮さんの関係性が一皮も二皮も剥けていきます。いろんな経験を経て、ちょっとした変化を積みあげてきた2人が、アニメではどう結末を迎えるのか。ぜひ最後まで応援していただけるとありがたいです。彼らの行く先を見守ってあげてください!