コミックナタリー PowerPush - 映画「寄生獣 完結編」
橋本愛インタビュー
「ラブストーリーだったんだ」って最後に気がついた
取材・文/岸野恵加 撮影/笹森健一
「とにかく明るくいてくれればいい」と言われた
──原作マンガを初めて手に取ったのはいつですか?
映画の出演が決まってからです。アクションやSFっていう部分でのエンターテイメント性と、物語としての深み、重みが両立して描かれていて。すごい作品だとまず感じました。
──橋本さんが演じた里美は、映画では幼馴染みという設定でより新一に親密な存在に描かれていましたが、どのように役に入っていきましたか。
里美という人物のこの作品の中での役割は、希望とか、愛情とか、人間とか、そういうものの象徴だと思うんです。それは原作から引き継がなければいけない要素だし、明確に伝わるようにと意識していました。
──性格が原作より活発になっている印象も受けました。
監督から、とにかく明るくいてくれればいいというふうに言われていたんです。前編の冒頭で「相変わらずヘタレだねっ」って、里美が新一くんの頭をクシャクシャ撫でるシーンがあるんですけど、クランクインして最初に撮ったのがそこで。頭を撫でるのは監督がつけた動きなんですけど、上下まではいかないけどちょっと姉と弟っぽいというか、2人はそんな関係性なのかなっていうのがそこで見えてきました。日常を描くシーンがあまりにも少ない中、新一くんと里美がそれまで過ごしてきた年月を明確に感じさせる必要があったので、そのシーンの里美は特に活発になってるかもしれません。
──その後は彼女のキャラクターをスムーズに掴んでいけましたか?
うーん……。新一くんとの関係性は探り探りでしたね。何が正解なのかを見つけるのに、時間をかけました。
里美はすごく愛情が深い女の子
──染谷(将太)さんと相談しながら作りあげていった?
言葉で何かを交わしてっていうことはなくて、お芝居を通してですかね。ここをこう変えたら相手がどう出るか、またそれを受けてどうするか、みたいな。お互い探っていって、監督が「これでいこう」って言ったものを正解だと信じて、進めていった感じです。完結編のラストシーンを撮るときに染谷くんと話したのは、「あ、これってラブストーリーだったんだね」って。
──グロテスクな描写が前面に出がちな作品だけども。
そうそう、監督から「血がいっぱい出るラブコメだと思って」って言われたこともありました(笑)。 ジャンル分けすればいくらでもなんとでも言える作品だと思うけど、やっぱり壮大なラブストーリーだったんだねって。 “ラブストーリー”っていう言葉の情報量よりも、遥かに質の高い、多くの種類の愛を描いた作品だとは思いますけど。
──里美と新一は付かず離れずの関係ですよね。心配をかけまい、闘いに巻き込むまいと新一は里美と距離を置こうとしていきますが、あんなに突き放されたら、心が折れてしまっても無理はないよなあ、と正直思ってしまったり……。
ふふふ(笑)。そう、だからやっぱりね、里美はすごく強い女の子だと思います。
──橋本さん自身はどうですか? 里美みたいな扱いを受け続けても、新一を想えると思いますか?
どうでしょうね。里美の状況は特殊というか、危険すぎるので。里美も禍々しくて恐ろしい寄生生物を目にしたわけですけど、新一くんを守りたいという思いがあって。新一くんがあっち側に行ってしまう恐怖と、離れていってしまうことで自分が受ける傷を比べてみたら、離れてしまう恐怖のほうが遥かに大きいんだろうなって。やっぱり彼女の愛情はとても深いんだと思います。
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- 映画「寄生獣 完結編」2015年4月25日 / 全国東宝系にてロードショー
- 映画「寄生獣 完結編」
キャスト
染谷将太 / 深津絵里 / 阿部サダヲ / 橋本愛 / 新井浩文 / 岩井秀人 / 山中崇 / ピエール瀧 / 豊原功補 / 大森南朋 / 北村一輝 / 國村隼 / 浅野忠信
監督・VFX:山崎貴
脚本:古沢良太、山崎貴
原作:岩明均「寄生獣」(講談社刊)
音楽:佐藤直紀
主題歌:BUMP OF CHICKEN「コロニー」
- 「寄生獣」映画Blu-ray & DVD / 2015年4月29日発売 / 東宝
- Blu-ray 豪華盤 / [Blu-ray Disc2枚組] 7236円
- DVD 豪華盤 / [DVD2枚組] 6264円
- Blu-ray 通常盤 / [Blu-ray Disc] 5076円
- DVD 通常盤 / [DVD] 4104円
豪華盤 共通特典
アウタースリーブ+デジパック仕様
豪華盤 特典ディスク
- 映画「寄生獣」メイキング映像1 撮影編
- 映画「寄生獣」メイキング映像2 VFX 編
- スピンオフショートムービー「ミギーの世界を教えて」
- 東京国際映画祭 密着映像集
- 監督インタビュー(山崎貴監督)
- キャストインタビュー(染谷将太・橋本愛)
本編ディスク
- 予告編集(特報、予告、TV スポット)
- 本編オーディオコメンタリー(山崎貴監督ほか製作スタッフ)
- 寄生獣 完結編 スペシャル映像 冒頭7分
封入特典
- ブックレット
橋本愛(ハシモトアイ)
2008年、「HuAHuAオーディション」でグランプリを受賞。2009年、最年少でSeventeen(集英社)のミスセブンティーンのグランプリを獲得し専属モデルに。2010年、映画「告白」に出演し一躍脚光を浴びる。数々の映画・ドラマ・CMに出演し、2012年「ツナグ」「桐島、部活やめるってよ」などの演技を高く評価され、第86回キネマ旬報ベスト・テン 新人女優賞、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞など、数々の新人賞を獲得。2013年、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で主人公の親友・足立ユイ役として出演し、日本全国に「橋本愛」の名を知られることなり現在に至る。