コミックナタリー PowerPush - 映画「寄生獣 完結編」

島﨑信長インタビュー

アニメ版主演の島﨑信長は、染谷将太演じる新一をどう見たか?

染谷さんの新一は、黒く光ってる

──それだけ泉新一は演技の幅が必要とされる役ということだと思うんですが、実写版での染谷将太さんが演じる新一は、島﨑さんにはどう映りましたか?

映画「寄生獣」より。

技術的な話にもなっちゃうんですけど、まずすごいなと思ったのは、ミギーとのやり取りですね。僕はアフレコのときは平野(綾)さんと会話できてたけど、染谷さんは自分の右手に向かって一人で話すしかないわけです。でもちゃんとミギーと一緒にその場に存在して会話して、なんの違和感もなかった。僕は声優だから身体の表現のことはよくわからないけど、右手が自分の右手じゃないっていう表現をしっかりしているように見えたので、とてつもないなと思いました。あとは……より、ダークヒーロー感があるなって。

──ダークヒーロー?

「寄生獣」って実は王道のヒーロー要素というか、悪を倒していく爽快感みたいなところもある作品だと思うんです。原作やアニメだと。でも実写は、いい意味でずっとジメっとしてる印象を受けました。母を殺されて、異常事態に巻き込まれていく人間の堕ちていく感じをより一層感じて。復讐をしてもやるせなくて悲しいだけ、でもせずにはいられないっていう。切なくなりましたね。ミギーと混ざってからは特に、染谷さんの新一は、より黒く光ってた。

島﨑信長

──映画の新一は背負っているものが多いのかもしれないですね。原作やアニメでは出てくる仲間の宇田さんや、父親がいないですし。

ああ……そうか。僕の演じさせてもらってる新一は、ひどい境遇でもお父さんや仲間がいるけど、映画の新一は、ひとりぼっちなんですね。だからより寂しかったし、悲痛だったし、悲壮感が漂ってた。うん。そう……より孤独だったんだと思います。アニメはストーリーの流れや到達点が原作とほぼ一緒だけど、実写は新一が経験する出来事や境遇の細かいところが違うので、実写版の新一が完結編でどこに到達するのか楽しみです。

あの内容をよくこの尺にまとめたなって

──そう、アニメは原作に沿った流れでしたが、映画では新一が母子家庭になっているなど、変更点がいくつかありましたね。

映画「寄生獣」より。

アニメはアニメ、実写は実写だと思ってるので、鑑賞者目線で観ていたんですけど、純粋にすごく面白い映画だと思いました。あの内容をよくこの時間にまとめたなって。お父さんや加奈が出てこないけど、映画の限られた尺の中で新一の喪失感をより大きなものにするためには、お母さんの存在の比重を上げなきゃいけなかったと思うので、勝手ながらうまい変更だなと。あとは小さな伏線も面白かったですね。冒頭でミギーが学校内を回るときに、剣道部や弓道部から戦いのノウハウを学んでた、とか。

──その観察眼が中盤の戦闘で活かされる、と。

すごく細かいところまで作り込まれていて面白かったです。アニメは原作ファンに胸を張って薦められるものだと思って作ってきましたが、実写もそうなってるなって。畑は違うけど、同じ時期に一緒に「寄生獣」の世界を盛り上げていく作品が良い作品で、うれしく思いました。

広川がお気に入りです

──映画の前編をご覧になって、登場キャラクターの中で誰が印象に残っていますか。

浅野忠信演じる後藤(左)と、北村一輝演じる広川。

うーん。最後の後藤には持っていかれましたね。「この人、怖い!」って。

──あはは(笑)。

アニメでも強すぎて化け物でしたけど、実写もこれは絶対強いぞ、完結編の新一大変だろうなーって(笑)。広川もハマってましたね。僕、実写版では彼がすごくお気に入りなんです。

──北村一輝さんが演じていましたね。

顔が綺麗に整ってるし、いい意味ですごくねちっこくて濃くて、なんかね、めちゃくちゃ印象に残ってて。ハマってましたね。インテリ臭がするんだけど、何かが決定的にズレてるっていうのが出てた。

──完結編では広川の演説が印象的な、市役所での一戦が描かれます。

前編の島田のシーンも相当でしたけど、市役所戦もパニックかつショッキングなシーンですよね。アニメであのシーンを録るとき、戦闘が新一のいないところで起こるから、アフレコ中僕は皆さんが演じてるのを後ろで座って見ているわけですよ。何もできないはがゆさを感じて……。でもそのお陰で、新一の気持ちに入り込めてよかったのかもしれない。広川役の水島裕さんも、ものすごく熱演……怪演なさってたんで、映画の広川はどうなってるか期待しています。

──新一と橋本愛さん演じる里美との関係も大きく動きますが、映画版の里美はいかがでしたか。

実写の村野はアニメ以上に今時というか、すごく普通にいそうな子になってると思いました。雰囲気や喋り方が、いい意味でヒロインっぽくないなって。

──映画では幼馴染みという設定になることで、より新一に近い存在になっていますしね。

映画「寄生獣」より。

うん。原作やアニメだともう少し2人の距離感があるんですよ。でもそれもまた実写版の楽しいところというか。ミギーのせいで胸触っちゃって里美に「またやったら殺す」って言われるとか、青春な距離感だなって思いました。「こんないい感じなら早く付き合えよ!」って、ラブコメ的な感想が出てきちゃうくらい(笑)。

映画「寄生獣 完結編」特集 | TOP
アニメ版主演 島﨑信長インタビュー
村野里美役 橋本愛インタビュー
主題歌 BUMP OF CHICKEN インタビュー
映画「寄生獣 完結編」2015年4月25日 / 全国東宝系にてロードショー
映画「寄生獣 完結編」
キャスト

染谷将太 / 深津絵里 / 阿部サダヲ / 橋本愛 / 新井浩文 / 岩井秀人 / 山中崇 / ピエール瀧 / 豊原功補 / 大森南朋 / 北村一輝 / 國村隼 / 浅野忠信

監督・VFX:山崎貴
脚本:古沢良太、山崎貴
原作:岩明均「寄生獣」(講談社刊)
音楽:佐藤直紀
主題歌:BUMP OF CHICKEN「コロニー」

「寄生獣」映画Blu-ray & DVD / 2015年4月29日発売 / 東宝
Blu-ray 豪華盤 / [Blu-ray Disc2枚組] 7236円
DVD 豪華盤 / [DVD2枚組] 6264円
Blu-ray 通常盤 / [Blu-ray Disc] 5076円
DVD 通常盤 / [DVD] 4104円
豪華盤 共通特典

アウタースリーブ+デジパック仕様

豪華盤 特典ディスク
  • 映画「寄生獣」メイキング映像1 撮影編
  • 映画「寄生獣」メイキング映像2 VFX 編
  • スピンオフショートムービー「ミギーの世界を教えて」
  • 東京国際映画祭 密着映像集
  • 監督インタビュー(山崎貴監督)
  • キャストインタビュー(染谷将太・橋本愛)
本編ディスク
  • 予告編集(特報、予告、TV スポット)
  • 本編オーディオコメンタリー(山崎貴監督ほか製作スタッフ)
  • 寄生獣 完結編 スペシャル映像 冒頭7分
封入特典
  • ブックレット
島﨑信長(シマザキノブナガ)

青二塾東京校第29期卒業の声優。宮城県出身、12月6日生まれ。主な出演作品に「Free!」(七瀬遙役)、「ダイヤのA」(降谷暁役)、「俺物語!!」(砂川誠役)、「ミカグラ学園組曲」(二宮シグレ役)など。

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2015年3月30日更新