「君が死ぬまであと100日」は好きなものの詰め合わせ
しろまんた さっきもちょっと話したけど、キャラクターは「天使の話」に出てきた2人だよね。
右腹 そう。女の子は余命100日という設定になるから、明るい人間がいいと思って。ギャップというか、自分の余命を知ってしまっても元気で明るくて「平気だよ!」ってタイプがいいなって。むしろその子のことを好きな男の子が泣いているみたいな。そういう正反対の2人の組み合わせが好きなんです。初連載だから、自分の好きなものを詰めこんでみようと思って。幼なじみという関係性も好きです。あと、創作を始めてから私は元気な女の子が好きなことに気が付きましたね。勝手に元気よくどこかに行ってしまうくらいの子のほうが動かしやすいです。
──実際、そういう元気なタイプが好きだったりしますか?
右腹 それもちょっとあります。思い返すと、保育園の先生がそういう人でしたね。めっちゃ元気な人で、私が絵を描いたら「ひゃーー!!! すごいねーーー!!!」って褒めてくれて。子供ながらに「お世辞かもしれないけど……もうそんなのどうでもよくなるくらいのテンションだな」って思ってました(笑)。母は今も交流があって、単行本が出るときに先生に連絡したらしいんですが、「すごく泣いていた」って言っていました。
しろまんた 子供を褒めて伸ばすタイプって感じじゃなくて、素でそういう性格なんだね。
右腹 すごい元気なかわいらしい人だった。あと、母が「美少女戦士セーラームーン」が好きでよく一緒にアニメを観ていたんですが、うさぎちゃんがすごく好きで。そういうところからも元気な人が好きっていうのが来ているのかも。女の子は明るければ明るいほど好き!
「天気の子」を見て1週間歌舞伎町のビジネスホテルに泊まった
──「先輩がうざい後輩の話」はどのように着想したんでしょう?
しろまんた ラブコメを描こうと思ったきっかけは「君の名は。」を観たことですね。あれがすごく刺さって、「ボーイミーツガール最高!」ってなったんです。
右腹 私は「天気の子」好き。
しろまんた 最高だよね。僕、「天気の子」を見てから、舞台になった歌舞伎町に行ってビジネスホテルに連泊して、1週間くらいずっと歌舞伎町を歩いていたんですよ! 作品みたいにラブホテルに泊まれればよかったんですけど、1人で泊まる勇気がなくて。
右腹 影響受けすぎでしょ!(笑)
しろまんた 「天気の子」で、ホテルに泊まって朝起きるとヒロインの陽菜ちゃんがいなくなっちゃうシーンがあるんですけど、ビジネスホテルであれを1人で再現したりしていました。ホテルに備え付けられている部屋着を隣に置いて寝て、朝起きたときに部屋着を見て1人で「陽菜さん! どこ?」ってふざけてました。
全員 (笑)。
しろまんた 一迅社が新宿にあって、その頃は毎日通って作業をさせていただいていたので、ちょっと疲れてたのかもしれませんね……。「先輩がうざい後輩の話」に話を戻すと、発想としては社会人だけど中学生みたいな恋愛をしていたらかわいいなって思って描き始めた気がします。武田先輩は僕が今までお世話になった人たちの集大成みたいなイメージですね。僕、小学校低学年のときに高学年の男の子たちにいじめられたことがあるんですけど、そのときに助けてくれた高学年の女の子がそのうちの1人です。
──武田先輩は男性キャラですけど、女の人がモデルの1人なんですね。
しろまんた はい。その人が空手をやっていたのが、武田先輩が格闘技をやっているという設定に反映されてます。ちなみに、その先輩とは中学に入ってからたまたま道で再会しました。卒業のときは泣いてしまってお礼も言えなかったので、ちゃんとお礼を言おうって思っていたんですが。そしたら先輩に僕の頭をポンポンしながら「身長、私より高くなっちゃったね」って言われて……。それで泣いちゃいそうだったんですけど、先に鼻水が出ちゃって……。
右腹 カッコつかないね(笑)。
しろまんた 武田っていう名前の部分は、別の先輩です。僕は高校時代バスケ部に入っていたんです。先輩方は厳しいときもあったけどすごく優しくて、「武田」という名字はその中の先輩の名字で、僕のオタク趣味も理解してくれる先輩だったんです。武田先輩は僕の尊敬するそういった先輩方のイメージを集めたキャラクターなので、「実際こんなことしてもらったな」とか「こういうときにこういう先輩がいてくれたらいいな」って思いながら描いています。
普段はこっそり描いているキャラクターイラストを交換!
──ちなみにお互いの作品で好きなキャラクターは誰ですか?
右腹 五十嵐ちゃんの先輩の風間くんですね。もっと描いてほしい! 一途で不器用に優しくてときめきます。リュックを緩めないで上めに背負ってるところもダサくてかわいい……。あと、五十嵐ちゃんの親友の夏美さん。夏美さんのことを考えると、いつもエモーショナルな気持ちになります。
しろまんた 読んでない人に先入観を与えたくないからどこまで話すべきか悩むけど、夏美ちゃんは裏の主人公だと思って描いています。僕は、右腹さんの作品だとさっきも言った「天使の話」の天使ちゃんがすごく好きだけど、「君が死ぬまであと100日」でいうと誰だろう。もちろん、うみちゃんや太郎も好きなんだけど……。
右腹 うみはとにかく描いていて楽しいですね。
しろまんた あ、僕うみを階段から突き落とした子好きです。
右腹 病んでる子好きだよね(笑)。
しろまんた いやいやいや、どうなんだろ。好きなのかな?
──では最後に今回の対談の記念として、お互いの作品のイラストを描いていただけますか。ちなみに今までにこういう経験は?
しろまんた あんまりないかも。描いてもこっそり。
右腹 私はけっこう描くことありますね。恥ずかしいので描いても本人に言いませんが(笑)。
しろまんた めっちゃありがてえ。何を描いてもらおうかな……。じゃあ、夏美さんと五十嵐ちゃんの学生時代をお願いします……。
右腹 学生時代の2人大好き! 私はどうしよう? うみと太郎……いや、うみとみのりちゃんで!
しろまんた 了解! 僕、みのりちゃんも好き。
──お互いへのメッセージも添えて交換ということで、よろしくお願いします!