コミックナタリー Power Push - マキヒロチ「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」
マキヒロチの蔵前取材に密着!物語を生み出す“取材の極意”とは
「いつかティファニーで朝食を」で知られるマキヒロチが、新作「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」1巻を上梓した。不動産屋の双子が訪問客に物件を紹介するついでに、街をぶらぶらする異色の不動産マンガだ。
コミックナタリーでは、マキヒロチの街取材に密着。ひとつのエピソードを描くのに何度も同じ街の取材に行くというマキが、1回目の街歩きで何を考えているのか、どのように話作りを進めるのか歩きながら語ってもらった。
取材・文・撮影 / 三木美波
「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」
住みたい街ランキング10年連続1位の吉祥寺で不動産屋を営む双子・都子と富子。吉祥寺に憧れを抱いてやってくる客は彼女たちのフレンドリーな接客に戸惑いながら、吉祥寺以外の街にある本当に住みたい物件を見つけていく。
今まで双子がマッチングしてきたのは……
11月21日(土)発売のヤングマガジン52号に出張掲載される回で舞台となる街は……
1回目の取材は道具も特にない
──取材に同行させていただきありがとうございます! 結構メンバーが多いですね。私を含めて……5人ですか。
マキ 毎回ではないんですが、アドバイザーとして街にすごく詳しい編集者の川田(洋平)さんと一緒に取材をしています。あとは担当編集者2人ですね。
川田 僕は仕事柄、日々いろいろな場所を巡り歩いているんです。マキさんから舞台になる街について相談が来たら、一緒にその街を歩いて……いや本当にウロウロ歩いているだけなんですけど(笑)。
──聞くところによると、ひとつのエピソードを描くのに、その街に何度も取材に行くとか。
マキ そうですね。川田さんやほかの紹介者の方に「ここにこんな店がある」って一緒に歩きながら教えてもらって。2回目以降は1人で回ることが多いですね。
編集 1回目は何を見ているんですか?
マキ 川田さんの背中(笑)。1回目の取材は道具も特にないですね。2回目以降は、カメラとメモ帳を持っていきます。みんなと回っているときに「写真を撮るので待ってください」と言いづらくて。
川田 1回目は本当にプラプラするだけでいいと思います。街を取材するときは、最初の1回はただ歩いて体を街に馴染ませたほうがいいというのが持論で、地方に取材に行くときでも僕は前日から現地入りします。土地勘がない街でも1晩とか1日とか歩けば店や駅の位置関係もわかってくるし、取材の質も変わってくるんですよね。
マキ 確かに違いますね。ただ私は「いつかティファニーで朝食を」(以下、「ティファニー」)の地方取材のときは、時間がないのでぶっつけ本番の取材になります。行く前にネットで調べて、地図でお店を見て、口コミを聞いて……あ、カフェだ。
川田 蔵前はおしゃれなカフェ多いですよ。
マキ 隅田川沿いのカフェだから、スカイツリーが見えますね。
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雑司ヶ谷、五反田、錦糸町、駒沢大学、中野……あなたの“住みたい街”はここにあった! 吉祥寺で不動産を営む重田双子(ツインズ)は、どこにでもある街へと変わっていく吉祥寺に不満たらたら。「住みたい街No.1=吉祥寺」という幻想を抱いて部屋探しにやって来る女子たちに、重田ツインズは吉祥寺以外の街を紹介していく。マキヒロチが描く、街ぶらラブな不動産マンガ。
マキヒロチ
第46回小学館新人コミック大賞入選。週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)にてデビュー。ヤングマガジン サード(講談社)にて「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」、月刊コミック@バンチ(新潮社)にて「いつかティファニーで朝食を」、ゴーゴーバンチ(新潮社)にて「創太郎の出張ぼっちめし」を連載中。「いつかティファニーで朝食を」はトリンドル玲奈主演でドラマ化され、現在日本テレビにて毎週土曜日深夜に放映中。