スクールカースト最底辺の高校生・志村光太が、不良に噛み付く動画の配信で成り上がっていくさまを描く「喧嘩独学」。原作は「外見至上主義」のT.Junが手がけるwebtoonで、4月よりTVアニメが放送中だ。
コミックナタリーでは“バズレシピ”で知られる料理研究家・リュウジが、「喧嘩独学」の原作ファンだという情報をキャッチ。ガチなオタクとして、そしてYouTubeで活躍する動画配信者としての視点から、TVアニメ「喧嘩独学」をどう観たのか忖度なしで語ってもらった。またケンカに勝つ方法を動画で教えてくれるキャラクター・闘鶏にちなみ、“食べたらケンカに勝てそうな鶏肉料理”のレシピ開発を依頼。ガツンとパンチのある、体づくりのお供に最適な一品が完成したので、ぜひアニメを見ながら食べてみてほしい。
取材・文 / はるのおとヘアメイク / 原みさとインタビュー撮影 / 小川遼調理・料理撮影 / コミックナタリー編集部
体づくりのお供に最適すぎる「鶏むねハンバーグ」
リュウジ's コメント
体づくりには、タンパク質を多く摂取できる鶏むね肉がいいとよく言われますよね。「喧嘩独学」でもミキサーにかけて食べるという描写がありましたし。ただ鶏むね肉は火を通し過ぎるとパサついちゃうので、少し粗めのミンチにしてハンバーグにすることで、柔らかくいただけるようにしました。鶏もも肉などより鶏むね肉のほうが安いのも、継続的なトレーニングのお供にピッタリじゃないでしょうか。
材料
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ハンバーグ
- 鶏むね肉…175g
- 塩…小さじ1/3
- マヨネーズ…小さじ2
- パン粉…大さじ2
- 片栗粉…小さじ1と1/2
- うま味調味料…5振り
- ナツメグ…5振り
- 水…小さじ2
タレ
- 醤油…大さじ1
- 砂糖…1つまみ
- みりん…小さじ1
- うま味調味料…3振り
- おろしにんにく…1/2片
- 黒胡椒…適量
手順
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① 鶏むね肉を包丁でたたき、少し大きめのミンチにする。
<リュウジ's ポイント>
粗めのミンチにするからこその食感もいいんですけど、鶏むねのひき肉があればそれで代用しても大丈夫。肉を切る工程が減って楽ですし。残念ながら、うちの近所のスーパーには鶏むね肉のひき肉が置いてないんです(笑)。
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② 1に塩、マヨネーズ、パン粉、片栗粉、うま味調味料、ナツメグ、水を混ぜ、タネを作る。
<リュウジ's ポイント>
ナツメグは味に高級感を出すためのものなので、なくても大丈夫。
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③ フライパンに少量の油を入れて熱し、2を焼く。蓋をしながら片面3分程度ずつ焼いて、火が通ったら取り出す。
<リュウジ's ポイント>
パサつかないように焼き過ぎには気を付けて!
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④ 3のフライパンに醤油、砂糖、みりん、うま味調味料、おろしにんにく、黒胡椒を入れ煮立たせたら、ハンバーグにかけて完成。
<リュウジ's ポイント>
ハンバーグ用の基本的な和風のタレですが、鶏むね肉って淡白で味気なくなりがちなので、少しパンチが効いたステーキソースみたいにしました。もし味変を楽しみたいなら、ワサビとかは合うでしょうね。脇にちょっと添えてもらって、付けながら食べてもらえると。
韓国のマンガってやたらとジャージャー麺が出てきません?
──リュウジさんは2021年8月とかなり前に「広告に釣られて喧嘩独学って漫画呼んだけど今年一面白い」とX(旧Twitter)で投稿されていましたね。
普段、広告を見てマンガに手を出すってことはあまりないんですけど、「喧嘩独学」の広告はちょっと気になって、読んでみたらハマりました。弱い主人公が強くなって敵を倒していく、という話自体は王道なんですけど勝ち方が多彩で面白い。すぐにその時点の最新話まで一気に読んでしまいました。その後も、ある程度未読の話が溜まり次第、読み進めていましたね。
──「喧嘩独学」の原作は縦スクロール・フルカラーのマンガ、通称webtoonですが、そういったマンガは普段から読まれますか?
読みますよ。「喧嘩独学」が面白かったから同じ作者の「外見至上主義」とかも読みましたし。あれも面白かったなあ、スルスルと読めてしまうんですよね。そう言えば、韓国のマンガってやたらとジャージャー麺が出てきません?
──言われてみれば……。麺料理と言えば、「喧嘩独学」にも辛そうなラーメンが出てきてましたね。「喧嘩独学」や「外見至上主義」は日本での連載にあたってローカライズされていますが、それでもそういった韓国らしさが残っています。
だから、読んでいて「韓国の作品だろうな」とすぐわかりますね。あとチャミスルも出てきがち。日本だとビールを飲むような場面でチャミスルが出てくるので「おお、向こうではこれで乾杯するのか!」というのがわかったりして。
──「喧嘩独学」だと主人公の志村がイジメっ子のカネゴンとケンカする際に、白菜のキムチで殴るのが印象的です。
あれは、日本では絶対にない描写ですよね(笑)。たくあんで殴り合うわけないですし。ああいうのって、韓国ではあり得るんですかね?
解像度が高い“YouTuberあるある”
──先ほど「喧嘩独学」は王道なストーリーという話がありましたが、主人公たちがYouTubeに似た動画サイトのニューチューブでの動画配信を利用して成り上がっていくという点は珍しいですよね。最近はいろんな作品で動画配信の描写を見かけますが、これは2020年にLINEマンガで連載が始まっているので。
当時だと新しい要素ですね。しかも動画配信のやり方や戦略といった話も出てくるけど、すごく的を射ているんですよ。「わかるわかる!」となるような話がちりばめられていて。
──どういったところにそう感じましたか?
まず、1再生=0.1円というお金の換算が割とリアル(笑)。あと広告が入るタイミングの話もありましたよね。8分以上の動画にはミッドロール広告というのが付くから、1本当たりの単価が高くなるんです。だからYouTuberはみんな8分以下の動画を作らず、そのミッドロール広告をいっぱい挿入できるよう動画を長くするんですけど。そんな“YouTuberあるある”が解像度高く描かれています。
──料理系YouTuber界の第一人者であるリュウジさんでもそう感じますか。
連載開始時にYouTuberさんに取材とかされているんじゃないですか。それくらい「わかるわかる!」ってことばかりですよ。最初の志村がカネゴンとキムチでケンカする動画が1000万再生とかいっていましたよね。あんなハプニング動画が上手く拡散されて世界中で話題になれば、確かに1日で1000万再生もなくはないかな……と感じるし。ただ1000万再生ってけっこうヤバい数字なんですよ。僕のチャンネルだと「至高の炒飯」をはじめ1000万再生を超えている動画はいくつかあるので、それで手に入るお金の大きさも知っているんです。だから志村が稼いだ金額とか見ると「お、なかなか勉強されていますね」となりました。