コミックナタリー Power Push - 空詠大智「競女!!!!!!!!」
「細かいことにツッコむな!」胸と尻だけを武器に戦う“尻女”たちの本気のスポ根
「乳首一本背負い」「真空烈尻」……必殺技は苦難の産物
──ちなみに髙橋監督は、原作を読んでの第一印象はいかがでしたか?
髙橋 週刊少年サンデー本誌をたまたま読む機会があって、そのときにやっていたのが、宮田と七瀬の戦いで「乳首一本背負い」をする回だったんですよ。最初に読んだときの感想は「これはアニメでは難しいだろう」でした。
空詠 そりゃそうですよね(笑)。
髙橋 でも「すごいことやってんな」「カッコいいな」とも思いましたよ。
空詠 どの技もそうですけど、「乳首一本背負い」は大変でしたね。乳首が水着に引っかかるわけがないんですけど、引っかかっているように、投げられているように見えて、しかもわかりやすく、迫力のあるように描くっていうのが大変でした。頭の中で「この位置か、あの位置か」と、ずっとカメラアングルを考えて。
──その「乳首一本背負い」をはじめ、「競女!!!!!!!!」と言えばインパクトの強い必殺技が魅力です。ほかにも尻や胸に関する言葉が多数登場しますが、これらはどうやって考えられていますか?
空詠 だいたい1人で、頭を抱えて作っていますね。担当から「尻使って新しい柔道技してよ」みたいな無茶振りをされて、「なんだそれは!?」と思いながら考えて、ネームにして提出したら「この技はできないんじゃない?」とか言われて。「どの技もできねえよ!!」っていう(笑)。何を基準にできる、できないを言っているんだろう……と、そんな格闘の日々です(笑)。
髙橋 僕は「真空烈尻」のところで、すごいきらめきを感じたというか。「この無限の世界はどうなるんだ」っていうぐらいのワクワク感がありました。
空詠 「真空烈尻」を出した時は担当から「これがもう、この世界でできることの限界だから」みたいな電話かかってきました(笑)。でも、そこでOKが出た時点でシメシメ感はあって、だったらそのちょっと手前だったらいいよね、そのちょっと外だったら……って試していって。
──ストライクゾーンがどんどん広がっていくみたいな。
空詠 そういうことです。
髙橋 「ケルベロス」とか、足の裏でランドの揺れを感じるという理屈付けがきちんとあって「なるほど」って思わされますもんね。あの世界だと「パイ・パイル・パイパー」もできると思っちゃう。
空詠 突拍子もない技を出すと、担当の性格的に「ねーよ!」と断られちゃうので、理屈を付けて「イケますよ、ねえ……?」みたいにするとわりと通るのかなと思っています。ただ、最近はもう、新技を描いてるときにがんばって理屈を考えても、「こんなに説明なくても原理はわかるから」とか担当に言われて。2人ともネジが若干外れてきている気がしますね(笑)。
必殺技のストックはまだまだある!(空詠)
──最近では雑魚的なキャラクターが、大した説明もなしに乳から衝撃波を放つ「ソニック・チーチ」を繰り出していて、「もう、ここまで世界観が成長したんだ!」とすごく感激しました。
空詠 雑魚キャラクターの技は悩まずに描いていますね。メインキャラクターの技は、わりと真面目にあれこれ考えないといけないので。アイデア自体はメモ用紙にいろいろとストックしてあって、「いつでも出せるぜ」という状態にしています。その中でメインキャラクターにはそれぞれ個性があるので、こういったふうに技を派生させようとか考えています。
髙橋 なるほど。そういった下準備と理屈付けがしっかりあるから、藤崎の「ケルベロス」が進化して、犬の顔から男性の顔になったのも受け入れられたのか。
空詠 あれもどんなふうにするかだいぶ悩みましたが……。担当が「『スターウォーズ』のハン・ソロが石版化されたところあるでしょ。尻があんなふうになるイメージで」と言ってきて、「この人は何を言っているんだろう……」って思いましたよ(笑)。
──読者から反響が大きかった必殺技は?
空詠 やはり河合の脳震盪を起こす技と、あと宮田ちゃんの「K-acceleration」ですね。「乳首一本背負い」もそうですし、「尻の財宝(ヒップ・オブ・バビロン)」も「ふざけんなよ! 名前そのまんまじゃねーか!」と言われて(笑)。
髙橋 「K-acceleration」とか、最近はもう水着を破るのが前提ですもんね。
空詠 「それなら最初から破って出てこいよ!」って、作者がそんなこと言ってちゃ駄目なんですけど。
髙橋 破るっていうあの行為が素晴らしいんですよ。
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- テレビアニメ「競女!!!!!!!!」
- 「競女」とは、水着の女性選手同士がお尻や胸を使って闘う水上競技。主人公の神無のぞみは、瀬戸内競女養成学校に入学し、そこで出会うライバルたちとともにプロを目指す!
放送情報
- TOKYO MX
2016年10月6日(木)23:30~予定 - BS11
2016年10月6日(木)24:30~予定 - AT-X
2016年10月6日(木)24:00~予定
※リピート放送:毎週土曜日16:00~、毎週日曜日21:30~、毎週水曜日8:00~ - そのほかインターネット配信も随時スタート予定
スタッフ
- 原作:空詠大智(小学館「週刊少年サンデー」連載中)
- 監督:髙橋秀弥
- シリーズ構成:加戸誉夫
- キャラクターデザイン:中野圭哉
- プロップデザイン:原由知
- 美術デザイン:米川信悟
- 美術監督:坂上裕文、加藤浩
- 色彩設定:北林千明
- 撮影監督:師岡拓磨
- 編集:松村正宏
- 音響監督:濱野高年
- 音楽:松尾早人
- アニメーション制作:XEBEC
キャスト
- 神無のぞみ:Lynn
- 宮田さやか:M・A・O
- 青葉風音:本渡楓
- 豊口のん:大西沙織
- 河合花火:前田玲奈
- 日下生美桜:山村響
- 六堂鈴:高橋李依
©空詠大智・小学館 / 日本競女振興会
- 空詠大智「競女!!!!!!!!(12)」 / 小学館
- 2016年9月16日発売 / コミック 463円
- 2016年10月14日発売 / Kindle版 432円
空詠大智(ソラヨミダイチ)
兵庫県出身。10月4日生まれ。「ダロン」で第59回新人コミック大賞佳作を受賞。「それいけヒーロウジョウ」でデビュー。代表作は「揉み払い師」。
髙橋秀弥(タカハシヒデヤ)
「魔法先生ネギま!」「武装錬金」などのアニメで演出助手を経て、「PandoraHearts」「蒼穹のファフナーEXODUS」「夏目友人帳 参」「ソードアート・オンライン」「イクシオンサーガDT」などの作品に演出として参加。 オムニバス作品「ポケットモンスター THE ORIGIN」で監督を務める。テレビシリーズの監督は「競女!!!!!!!!」が初となる。
2016年10月5日更新