10月9日より放送中のオリジナルアニメ「川越ボーイズ・シング」は、埼玉にある高校・川越学園のボーイズ・クワイア部を舞台にした熱血青春コメディ。コミックナタリーでは放送前から特集を展開中だ。第3回は、放送されたばかりの第2話に登場した新たなボーイズ・クワイア部部員、ITこと
取材・文 / 柳川春香撮影 / 石橋雅人
オーディションの課題曲に「いや、歌えるか!!(笑)」
──おふたり、すごく仲がよさそうですね。今日も揃ってからずっとおしゃべりされていて。
金子誠 いえ、めちゃめちゃ火花散らしあっています!
中西南央 なんでそんなこと言うんですか!
金子 っていうやりとりができるぐらい仲よくなりました(笑)。この状況なので、なかなか全員揃っての収録はできなかったのですが、ITくんとオトメくんは一緒に出ることが多かったので、ほかのメンバーよりも比較的一緒に収録することが多かったですね。
──本作の現場で初対面だったそうですが、お互いに第一印象はどうでしたか?
中西 優しそうな人だなあって。
金子 もっと言って! もっと言って!(笑)
中西 すごく優しい人です! ただの優しい人ではないですけど……能ある鷹だから爪を隠している的な。
金子 何言ってるか全然わからないけど、ありがとう(笑)。私もすごく優しそうな印象だったのと、中西さんはアニメの仕事は経験がないっておっしゃっていたんですけど、実際始まってみたら「何を言ってんだ!(笑)」ってくらい素敵で。
中西 いや……うお……(感激で言葉にならない様子)。
金子 何か出して! 文字に起こせないから!(笑)
中西 本当にいつもすごく褒めてくれるんです。
金子 素直に思ったことを伝えているだけだよ。
中西 もう大好きです。
金子 両思いです(笑)。
──よく伝わりました(笑)。では、「川越ボーイズ・シング」の第一印象はどんなものでしたか?
中西 まず、オリジナルアニメっていうことが、僕はすごくうれしくて。原作がある作品でもうれしいのですが、より音楽とアニメーションとストーリーが、全部ぐっと1つの丸になるというか。宇多田ヒカルさんが昔、曲を作るときに球体を目指すっていうことをおっしゃってたんですが、そういう球体のような感じになるんじゃないかって、すごくワクワクしました。
金子 男声歌唱が題材の作品ということで、ありそうでなかったなと。今でこそアニメで題材になる音楽のジャンルも広がってきましたけど、意外とクワイア(choir)に焦点をあてているものはあまりなかったと思うので、楽しそうだなというのはありました。ただ、合唱は小学校とかではやってましたけど、実際に部活だとかコンクールだとか、そういう経験や知識が私にはまったくなかったので、今回の向き合い方にはすごく緊張しましたね。
──セリフを演じることに加えて、さらにクワイアの難しさが上乗せされるわけですからね。
金子 オリジナルということでオーディションのときは資料もほとんどなくて、さらに歌のオーディションもあったので、ワクワク感もあり不安もあり……。
中西 オーディションの曲、すごかったですもんね。
金子 課題曲でかなり難しい洋楽の曲を振っていただいて。事務所で資料をいただいたときに「いや、歌えるか!!(笑)」って言ったのが正直なところです。全員言ったんじゃない? (笑)
中西 ホントにそうかも。
金子 でも逆にそのぐらいのレベルを求められているんだなと、制作陣の皆さんが作品に懸ける思いなどは伝わってきました。セリフのオーディションのほうは、個人的にですけど、オトメくんにはなんとなく運命的な感じがあって。事務所で資料をいただいたときも、なんの確証もないのに「たぶんご縁があるよね」ってスタッフさんと言ってたくらいなんです。
──それだけ共感するものがあったということでしょうか。
金子 そうかもしれません。オーディションではセリフの原稿をいただいて15分程度で役と向き合わなければならなかったんですが、なんの迷いもなく「あ、たぶんこういう子だ」と感じられたので、それぐらい自分に近かったんだと思います。受ける役を選べたのですが、「この役しかない」っていう感覚でした。
──では、役が実際に決まったときも驚かなかった?
金子 それはやっぱり、驚きとうれしさとって感じでした。今後このキャラクターがどう物語に絡んでいくのか、すごくワクワクしましたね。あと、オーディション当初に、オトメは担当パートがバスと伺っていたので、自分の体格を変えてみたら響きがよくなるかな?と思って体重を増やしてみたんですけど。……実際に始まったらほとんどそういうことは関係なかったです(笑)。ただ体重を増やしただけ。
中西 1日何食食べてたんでしたっけ?
金子 6食食べてた(笑)。なんでも見切り発車はよくないということを学びましたね。
初めてのアフレコ現場でまさかの……
中西 僕は最初に音域的にだんぼっちを選んだんですよ。それでオーディションに行ったら、音響監督の菊田浩巳さんから「こっちをやってみて」ってITのセリフを渡されて。
金子 自分で選んだんじゃないんだ。
中西 そうなんです。でも、正直キャラクターの一覧表を見たときに一番面白そうだなって思ったのはITだったんですよね。そこで素直になってればよかったんですけど(笑)。確かに自分と通ずるものは感じていた気がします。
金子 ほかのキャストさんも通ずるところというか、一緒にいると「ああ、まんまだな」って思う方もいらっしゃって。
中西 小原さんとか、「トリちゃん(白鳥)だ!」って。
金子 「トリ……小原さん!」って呼びそうになるくらい(笑)。この作品はけっこうフレッシュな方々も参加しているので、収録の際は菊田さんがいろいろと配慮してくださいましたね。
中西 本当に、年末年始のご挨拶に伺いたいくらい。
金子 恵まれた優しい現場でしたね。
──中西さんはアニメ出演が初めてだったんですよね。
中西 いろんなことが初めてすぎたので、説明のためにブースの中に入れてもらって、作業してるのを見せていただいたりもして。そういうときも皆さん嫌な顔ひとつせず見せてくださって、本当にありがたい現場でした。
金子 でも中西さんはそれぐらいまっさらな状態で現場に入られたんですけど、マイク前でいざ演じるってなると堂々たるお芝居でびっくりしました。
中西 いやいや、僕なんてスタッフさんからしたら、「こいつ!」って思うこといっぱいあったと思います。
金子 そんなことないよ、大丈夫だよ!
──ちなみに、おふたりは音楽の経験は?
金子 私はまったくないですね。お仕事では少しありますけど、趣味でヒトカラ行く程度です。中西さんはすごくお上手ですよね。
中西 いやいや……中学校の時ときに吹奏楽部でコントラバスをやってて、ちょっと合唱もかじってました。音楽はかなり好きで、人生ですごく大事なもののひとつですね。
──じゃあ歌が題材のアニメに出られるのは……。
中西 かなりうれしかったです。もう、ボーナスがあるみたいな感じ。アフレコもできるし、レコーディングもできて、ボーナスステージだ!って。
金子 あれをボーナスと捉えてるの!? すごいね(笑)。
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“キャラクターが合唱をしている”ことを演じる難しさ