コミックナタリー PowerPush - アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」
ついに第3部のアニメ始動! スタッフが明かす奇妙な映像化の秘密
第2部から1週も休まず第3部の連載が始まった、あのライブ感を大事に
──スタンドは少し透けているような描写なんでしょうか。
鈴木 透けてる場合もありますし、そうでない場合もあります。僕らは、精神性の強さがスタンドに表れるという解釈をしておりまして。気合の入っているときは100%見えているけど、やられたりするとちょっと薄くなってきたりとか。そういう表現を取り入れているので、年がら年中透けているわけでもないし、ずっとハッキリ出ているわけでもないという。
津田 原作では、最初は呼吸が荒くなったらスタンドの力が弱まったりしてましたよね。波紋の呼吸法的な意味で。スタンドは最初は「幽波紋」と表記されてましたから。でも途中から、別に海の中でも全く問題なく出せるようになっていたりもして。
鈴木 そうそう。
津田 原作でも、序盤はスタンドの設定が固まってなかったですからね。それをまんまやるのか、それともいまのスタンドの定義に全部当てはめてやり直すのか、というのは結構悩みましたね。
──結局、いまある定義に落とし込むことになったんですか?
津田 いや、落とし込んだり、落とし込んでなかったり(笑)。原作の印象的なコマだったり、セリフと絡んでいたりするような描写はまんまやってますし。
鈴木 そうですね。あんまり「これジョジョじゃないじゃん」って思われちゃうのはマズイので。大きな「ジョジョ」の世界観の中でこっちに行ったりあっちに行ったりっていうのは、毎回取捨選択している感じですね。
津田 今回も週刊連載のライブ感みたいなものも残したいですしね。だって第2部が終わってから、1週も休まずそのまま第3部が続いてるんですよ? その時点で驚愕ですよ。
鈴木 さすが荒木先生はすごいですよ……。
津田 そんな時期の、設定が定まってない時期のライブ感みたいなのはうまく出せればいいですね。まあ第2部の放送が終わってから、1年経ってしまったわけですが……(笑)。
スタンドの登場方法にも一定の法則がない
──スタンドの表現で大変なところは、ほかにはどんなところでしょうか。
津田 スタンドによって違う表現をしないといけないのも大変ですね。出現の仕方も、一定の法則を作ってないので微調整が大変だったりしますし。
鈴木 同じスタンドでも多少なりとも変えてますからね。
津田 1話と2話ですでに違いますもんね。たとえば原作の第1話では出現するときに煙が出てたんですよ。撃鉄を起こすようなイメージだったんでしょうね。なので1話ではそれを拾ってますが、2話では普通に出したり。
鈴木 テンポ感もありますからね。毎回毎回段取り踏めないというのもあるし。
津田 そうなんですよ。「モリモリモリモリ」って出ないといけないところや、「ドキュゥゥゥゥン」って出ないといけないところもあったりするし。一定の法則を作ることがもはや無理だな、と。
──荒木先生の原作にその法則がないからということですね。ちなみに、スタンドの発音って……。
鈴木 ふたつありますよね。スタンドって平坦に言うのと、「タ」にアクセントがあるのと。
津田 スタンド(平坦)で行きたいんですけど、って集英社さんに言ったら「それでいいですよ」って許可をいただいたので、今回はスタンド(平坦)です。……これ、僕がスタンド(「タ」にアクセント)で行きたいって言ったらそうなったのかな?
鈴木 それはわかんない(笑)。でもアフレコ現場でも満場一致でスタンド(平坦)でいいんじゃないかなって話で落ち着いてましたからね。
第3部のOPはジャンプ黄金期アニメのイメージ
──主題歌についてもお聞きしたいのですが、やはりこれも部によってガラリと雰囲気が変わっています。
津田 そうですね。第1部は王道アニソン、第2部は「キャッツアイ」みたいなイメージで、おしゃれげな感じ。もちろん、第3部もまた違った感じになりますよ。当時の、ジャンプ黄金期のアニメのオープニングみたいな感じ、とでも言いましょうか。
鈴木 最初は洋楽とか、女性ボーカルとかいろいろ考えてましたよね。
──では最後に、第3部の見どころをお願いします。
津田 僕はカッコいい承太郎を見てほしいです。
鈴木 うーん、じゃあ俺はカッコいいDIOを、カッコいい敵を見てほしいかな。
──第4部の制作については決まっているんでしょうか。
鈴木 まったく決まってないです(笑)。
津田 第3部次第ですね。好評だったらあるかもしれないです。これ第4部までやると中々大変ですね(笑)。いや、挑戦はしたいですけどッ!
鈴木 もし全部続いて第8部まで行っちゃったら、津田くんは還暦迎えちゃうんじゃない(笑)。
- TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」
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TOKYO MXにて、2014年4月4日(金)より毎週24:30スタート
その他放送局:毎日放送、中部日本放送、東北放送、RKB毎日放送、BS11、アニマックス
- Blu-ray Disc / DVD「『ジョジョの奇妙な冒険』総集編」 / 2014年3月26日発売 / ワーナー・ホーム・ビデオ
- Vol.1(初回生産限定版)ジャケット
- Vol.1(初回生産限定版)Blu-ray Disc 5940円
- Vol.1(初回生産限定版)DVD 4860円
- Vol.2(初回生産限定版)ジャケット
- Vol.2(初回生産限定版)Blu-ray Disc 5940円
- Vol.2(初回生産限定版)DVD 4860円
- Vol.3(初回生産限定版)ジャケット
- Vol.3(初回生産限定版)Blu-ray Disc 5940円
- Vol.3(初回生産限定版)DVD 4860円
津田尚克(つだなおかつ)
アニメーション監督・演出家。「戦う司書」や「侵略!イカ娘」「ベン・トー」など、各話の絵コンテや演出を担当。2012年に「妖狐×僕SS」で監督デビューを果たし、前シリーズの「ジョジョの奇妙な冒険」に続いて、「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」が監督3作目となる。
鈴木健一(すずきけんいち)
アニメーション監督・演出家。「HELLSING OVA」や「SD ガンダム三国伝 Brave Battle Warrious」では監督を務め、前シリーズの「ジョジョの奇妙な冒険」に続いて、「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」でもシリーズディレクターを務める。
荒木飛呂彦(あらきひろひこ)
1960年6月7日宮城県生まれ。1980年、週刊少年ジャンプ(集英社)にて「武装ポーカー」でデビュー。その後「バオー来訪者」を経て、1987年「ジョジョの奇妙な冒険」を連載開始。ほかに類を見ない異質なビジュアル、独特のキャラクターやセリフ回し、特徴的な擬音やキャラのポージングが熱狂的なファンを生み、同誌で15年以上続く長期連載として人気を博した。2005年よりウルトラジャンプ(集英社)に活動の場を移し、ジョジョシリーズ第7部に相当する「スティール・ボール・ラン」を、2011年には第8部に相当する「ジョジョリオン」を連載。