コミックナタリー Power Push - 「アイドリッシュセブン」種村有菜インタビュー
アイドルである彼らの、いろんな表情を見せていきたい
立ち位置もローテーションで変えてあげたい
──センターの陸くんはどうですか? 去年のインタビューの際、最初は黒髪でデザインされていたというお話もありました。
センターということで、グループの軸となる“まっすぐな王道ヒーロー”をイメージしてデザインしていましたね。前回のインタビューでも少しお話ししたんですが、一織くんが黒髪なので陸くんのヘアカラーは本当に試行錯誤しました。陸くんの髪色は合計7回変えて……。バンナムさんの意見でテーマカラーの赤を髪色にも反映させ、最終的に赤に近い明るい茶色になりました。今後いろんな絵を描くときにどうしても赤を入れないといけなくなるのは、バリエーションに困るな……と最初は抵抗もあったんですけど、今はもうこの色じゃないと考えられないですね。赤が真ん中に入ることで、こんなにも全体がしっかりとまとまるんだなって、勉強にもなりました。陸くんのキャラクターに関しては……私が思っていたよりも、ずっとかわいい子だったんだなって思いました。
──ファンの方の間で「天使」と呼ばれているのをよく見かけます。
純粋というか無垢というか、そういったものを感じますよね。私、(陸役の)小野賢章さんの歌声って「アイドリッシュセブン」で初めて聴いたんですけど、本当に裏表のないまっすぐな歌い方で、陸くんそのものだなと思ったんです。デザインしたときはまだ声がついていなかったんですけど、歌を聴いてからはその純粋な歌声から得た印象も絵に反映できたらいいな、と意識するようになりましたね。
──声優さんの演技から絵にフィードバックする部分もあったと。リーダーの大和くんについてはいかがでしょう。
ナギくんもそうなんですけど、まだゲーム本編でキャラクターのバックボーンが見えていないのでなんとも言えない部分はあるんですが、CDのジャケットとかで大和くんを描くときは、IDOLiSH7を知らない人が見ても「この人がリーダーだ」ってわかるように描こう、というのは心がけてますね。
──メンバーの中で一番のお兄さんですしね。
そうですね。でも大和くんって、ジャケットのイラストを描いていても手前に配置しづらいキャラクターなんですよね。
──そうなんですか?
身長の関係で背の高い環くんとナギくんと大和くんは後ろのほうに行きがち、という理由もあるんですけど、大和くん自身が「俺いいわ」って一歩下がってしまう性格なので。だけど、なるべく手前に立つキャラはローテーションで変えてあげたいなという気持ちもあるんですよね。
──現実のアイドルグループでも、後列に立たされがちなメンバーのファンは「また後ろか……」ってガックリすることがあったりしますしね。
そう、そう。なので、できるだけ立ち位置は変えてあげたいなと考えるようにはしています。
1つひとつ丁寧に描いていきたい
──「アイドリッシュセブン」としては、先日の1周年を記念したニコニコ生放送でアニメ化が発表されました(参照:「アイドリッシュセブン」アニメ化プロジェクトが始動!ゲーム第3部も制作中)。
アニメのほうは私がお仕事として関わることはあまりないと思うので、純粋にいち視聴者として放送を楽しみにしています。私の作品のファンの方から、「持っているスマートフォンの機種が対応していないので『アイナナ』がプレイできないんです」っていう話を聞くことが結構あったので、アニメ化されることで今まで「アイナナ」に触れる機会がなかった方々にも観ていただくチャンスができたのはいいことだなと思いました。
──そういった意味では、サイドストーリーとはいえ、コミカライズもその役割を果たしているのかなと思います。
確かにそうかもしれないですね。でも、もちろん小説やコミカライズも楽しんでいただきたいんですが、やっぱりゲーム本編のお話こそ皆さんに観ていただきたいので。私も今からアニメの放送が楽しみです。私自身は当面はコミカライズに力を注いでいきたいなと思っています。
──今後も「流星に祈る」「クーラーとパンツ」と描かれていく予定なんですよね。
ええ、今回はスケジュールの都合で「紫青の霹靂」から描くことになったんです。というのも「流星に祈る」はストーリーも長めですし、一織くんと陸くんは髪の毛がベタなので、ほかのメンバーに比べて描くのに2倍くらいかかるんです。なので「流星に祈る」は、まとまった時間が取れるときにしっかり描いていきたいなと。「クーラーとパンツ」までファンの皆さんをお待たせすることになり申し訳ないのですが、1つひとつ丁寧に描いていきたいなと思っているので、少しだけ待っていてください。ちなみに「紫青の霹靂」は前後編になるので前編は壮五くん、後編は環くん目線で展開する予定です。
──今の段階で「流星に祈る」「クーラーとパンツ」の構想は練っているんですか?
「流星に祈る」は、一織くんと陸くんのファンの方が見ていられないぐらい、小説以上に緊迫した空気で描こうと思っているので、ファンの皆さんの胃を痛くさせてしまったらごめんなさい! 「クーラーとパンツ」は1つの部屋の中で展開されていく物語で……いわゆるシットコム(シチュエーションコメディ)ですよね。マンガとして描くのが楽しみでもあるし、セリフ劇でもあるので見せ方を工夫しないといけないので怖い気持ちもあります。都志見先生の原作があるのでお話の面白さは心配していないんですけど、私の腕が試されるところですね。「こういう手できたか!」と思ってもらえるように、がんばりたいと思います。あとはどこかで付録もつくと思うので、そちらもぜひ楽しみにしていただけたらと思います。
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- Contents Index
- 種村有菜インタビュー
- 新作「MEZZO”-紫青の霹靂-」ラフ公開
- 種村有菜お気に入りイラストBEST3
- CDジャケットのラフ公開
- キャラクター原案・マンガ:種村有菜 小説原作:都志見文太 原作:バンダイナムコオンライン「アイドリッシュセブンTRIGGER-before The Radiant Glory-」/ 2016年8月19日発売 / 486円 / 白泉社
- 「アイドリッシュセブンTRIGGER-before The Radiant Glory-」
IDOOLiSH7が目標としている先輩グループのTRIGGERは、クールでセクシーな3人組。小説版で話題となったTRIGGER誕生秘話を、IDOOLiSH7も登場するオリジナルエピソードを加えてコミカライズ。4コママンガ14本や、撮り下ろしカラーピンナップ2ページも収録。
- 小説:都志見文太 キャラクター原案・イラスト:種村有菜 原作:バンダイナムコオンライン「小説 アイドリッシュセブン 流星に祈る」
- 「小説 アイドリッシュセブン 流星に祈る」
- 2015年12月4日発売 / 白泉社
- 800円
- Kindle版 / 752円
個性豊かな7人組アイドルグループIDOOLiSH7。学園祭ライブの成功を誓う「流星に祈る」をはじめ、ライバルグループTRIGGERの結成秘話、MEZZO”の超仲良しぶりの日常レポート、ストーカー出現? メンバー危機一髪の巻などファン必見のオリジナルストーリー全4編を収録。カバー、カラー口絵、本文挿絵、巻末4コマなど、種村有菜の描き下ろしもたっぷり。
スーツ・学ラン・遊園地……マンガオリジナルイベントで、IDOLiSH7&TRIGGERが大暴れ! 描きおろしマンガ(大人組サウナ&子供組ラーメン)も収録!
種村有菜の新連載「アイドリッシュセブン MEZZO”-紫青の霹靂-」がスタート! 表紙は有川浩原作による弓きいろ「図書館戦争 LOVE&WAR 番外編」。
種村有菜(タネムラアリナ)
1996年、りぼんオリジナル6月号(集英社)に掲載された「2番目の恋のかたち」でデビュー。1997年にはりぼんにて「イ・オ・ン」を初連載し、その後「神風怪盗ジャンヌ」が大ヒットを記録する。同作や「満月をさがして」はTVアニメ化もされた。詩的かつ印象的なセリフまわしや、こだわりのある美しい絵は、日本のみならず海外でも人気が高い。2011年にりぼんとの専属契約を終了し、フリーに。メロディ(白泉社)で「31☆アイドリーム」を連載中。