チラリズムとモロリズム、それぞれの良さ
──クールさんが「韋駄天」の作画をするうえで心がけていることを教えてください。
クール教信者 韋駄天たちの表情にこだわっています。韋駄天は思念体であるからこそ、より感情的な部分を強調したい。なので感情が強く出るところは力を入れたいと思っていて。あと、エロいところをがんばりたいです。
──天原さんは「異種族レビュアーズ」「33歳独身女騎士隊長。」などで下ネタコメディの印象がありますし、クールさんも「チチチチ」をはじめとした作品やpixivの投稿一覧を見てるとエロい巨乳おねショタ好きなのが伝わってきます。おふたりの商業作品から入った読者は、「韋駄天」が熱いバトルアクションでびっくりするかもしれませんね。
天原 「韋駄天」は新都社版を私が再構成してるんですが、「エロ、こんなに少なかったっけ……?」って驚いてるんですよ。
──1巻最終話でシスターがゾブル帝国の軍人に襲われるシーンは、新都社版よりエロさがパワーアップした描写になっていました。
クール教信者 凄惨な描写なので、あれで引いちゃってる読者もいるなと感じております!
天原 ネームだとかなり隠し気味な描写だったんですが(笑)。
クール教信者 天原さんはチラリズムの美学を持っているんですが、私はモロリズムなんですねえ。
天原 あはは(笑)。基本的に私は直接描写は避けつつ、隠し気味にエロを多く入れるんですが、作画担当の方たちはみんな直接行きます。「異種族レビュアーズ」のアニメも絵コンテを見せていただいたんですが、かなりモロリズムでした。
クール教信者 「異種族」の牛娘のエピソードは、場合によっては使わせてもらいますよ!
──チラリズムとモロリズムの良さをそれぞれ教えてもらえますか?
天原 私はことに至るまでの過程が楽しければ、そのあとのエロ描写は描いても描かなくてもいいかな……みたいな。例えば「異種族」だと風俗店のプレイ描写はレビューという形にしたり。
クール教信者 私は普通に抜けるもの見て抜きたいってだけなんですよね。
更新が止まった新都社版「韋駄天」の続きはヤングアニマル版で読める
──「韋駄天」のストーリーは、新都社版とヤングアニマル版で変わったりするのでしょうか?
天原 当時のネットネタや時事ネタ、パロディの部分は変わりますが、大まかには何も変わらないと思います。新都社版のままだと3話はずっとハヤトがギュードをボコボコ殴ってるだけで終わってしまうので演出を減らして無理やり3話で決着をつけた、みたいな細かい変更はありますが。
──新都社版は2016年から更新が止まっています。ヤングアニマル版でその続きが読めると期待しても?
天原 展開が追いついたら続きを描く以外の選択肢がありませんので、ぜひ続きを描かせるべく読者の皆さんには応援をお願いしたいです!
──続きが読めるのはファンもうれしいでしょうね。新都社版の更新が止まった理由はなんだったんですか?
天原 単純に、その時期に商業スカウトが来て1年くらいネームのボツで足踏みしていたんです。それで「韋駄天」のほうまで手が回らなくて。
──そうだったんですね。「韋駄天」のストーリーは最後まで決まっているんですか?
天原 更新が止まっているエピソードから数話は決まっていますが、そこから先はまったくの空白ですね(笑)。次のページで何が起こるか自分でもよくわからず進めていることが多いライブ型です。役割が完全に決まっているキャラ、大体決まっているキャラ、ノリ任せに動くキャラの3パターンでストーリーを動かすんですが、ノリ任せのキャラが妙な方向によく行ってしまって。
──例えば?
天原 イースリイ対ピサラ戦、ブランディが母ちゃんするところ、ミクが無双するあたりは全部キャラが作者の予定を無視して勝手に動いた結果です。ピサラの変化も予定外でしたし、ブランディがあんなことしなければこのマンガはとっくに終わってたはずですし、ミクもただのエロい調教師でしかなかったはずなんです、本来は! ここはヤングアニマル版で発表するのが楽しみなエピソードでもあります。
クール教信者 ピサラのシーンはがんばらせていただきます!
──ちょっとエロいですもんね(笑)。「韋駄天」の制作方法についても教えてください。天原さんが新都社版をもとにネームを再構成して、クールさんが作画という流れですか?
天原 それでだいたい合ってます。ヤングアニマル向けに1話20ページ前後になるように再構成するのがメインです。
クール教信者 渡されたネームに対して、私がさらにアレンジを加えることもあります。基本的に渡されたネームはそのままやるんですが、コマ割りやキャラの向きをちょこちょこ変えたり。
天原 私のコマ割りはそんなええものではないので、どんじゃか変えてしまっていいです(笑)。
クール教信者 大胆に変えるのは怖い!
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クール教信者は「超速筆」、天原は「性癖博覧会」