コミックナタリー Power Push - 火の鳥《オリジナル版》復刻大全集
手塚治虫のライフワーク、幻の雑誌連載版がついに初刊行 魅力を解き明かす萩尾望都インタビュー
すべてのエピソードを雑誌連載時の
オリジナルバージョンで刊行
「火の鳥」はこれまで幾度も単行本化されてきたが、「いつの時代にもフィットした形で自作を読者に贈りたい」という手塚の思いから、改編が加えられていることが多かった。今回の刊行は単行本未収録作や未完の作品、短編なども含めて、すべてのエピソードを初出時のバージョンで収録するもの。セリフの修正なども、最小限に留められているという。 全7ユニットで刊行された「鉄腕アトム《オリジナル版》復刻大全集」に続き復刊ドットコムが放つ、更なるビッグプロジェクト。初版完全限定で、再版は予定されていない。
フルサイズ&フルカラーで作品のスケール感を堪能
フルカラーのB5判雑誌サイズで、雑誌掲載版にきわめて忠実なページ割を再現。これまで単行本には収録されてこなかった各話の全扉絵や連載時の記事のほか、エッセイ、イラストなどの貴重な資料も随時収録される予定だ。 また原稿には1コマずつ丹念な手作業によるデジタルリマスタリングを施し、ゴミや汚れ、カラーページの黄ばみや色褪せなどを除去。本来の画像の姿に近づける作業が徹底的に行われている。
ハードカバー、化粧箱入りの本格的仕様
本文の紙質や造本もこだわり抜かれ、長年保存しても劣化しにくい紙に印刷。またハードカバー上製本に化粧ケース付きで、長年手元に置いておくのにふさわしい愛蔵版仕様だ。
まず6月に第1巻(黎明編、7875円)が発売され、以下毎月続巻。発行元の復刊ドットコムで全12巻セットを一括予約すると、豪華な3大特典が用意されている。
- 手塚治虫が「火の鳥」について書いたエッセイを集成したオリジナル小冊子(初期巻数発売時に発送予定)。
- 「火の鳥」の華麗なカラーイラストを集成した豪華オリジナルブックレット(第6巻発売時に発送予定)。
- 「火の鳥」の全エピソードを単行本バージョンで読めるニンテンドーDS用ソフトのセット。オリジナル版と読みくらべて楽しんでみては(シリーズ完結時に発送予定)。
各巻収録内容(予定)
第1回配本:「黎明編」(1967年、COM連載)6月発売予定/7875円(税込)
第2回配本:「未来編」(1967~68年、COM連載)7月発売予定/7875円(税込)
第3回配本:「ヤマト編・宇宙編」(1968~69年、COM連載)8月発売予定/7875円(税込)
第4回配本:「鳳凰編」(1969~70年、COM連載)9月発売予定/8400円(税込)
第5回配本:「復活編・羽衣編」(1970~1971年、COM連載)10月発売予定/8400円(税込)
※COM未完版「望郷編」、短編「休憩」も収録
第6回配本:「望郷編」(1976~1978年、マンガ少年連載)11月発売予定/8400円(税込)
第7回配本:「乱世編(上)」(1978~1979年、マンガ少年連載)12月発売予定/7875円(税込)
※COM未完版「乱世編」も収録
第8回配本:「乱世編(下)」(1979~1980年、マンガ少年連載)2012年1月発売予定/7875円(税込)
第9回配本:「生命編・異形編」(1980~1981年、マンガ少年連載)2012年2月発売予定/7350円(税込)
第10回配本:「太陽編(上)」(1986年、野性時代連載)2012年3月発売予定/8400円(税込)
第11回配本:「太陽編(下)」(1987~88年、野性時代連載)2012年4月発売予定/8400円(税込)
第12回配本:「エジプト編・ギリシャ編・ローマ編」(1956~57年、少女クラブ連載)2012年5月発売予定/9975円(税込)
※漫画少年未完版「黎明編」も収録
全巻セット 予価 9万8700円(税込)
※各巻ごと単品でも購入可能
手塚治虫(てづかおさむ)
1928年11月3日大阪府豊中市生まれ。5歳のとき現兵庫県宝塚市に引越し、少年時代をここで過ごす。1946年、少国民新聞大阪版に掲載された4コマ作品「マアチャンの日記帳」でデビュー。1950年、漫画少年(学童社)にて出世作となる「ジャングル大帝」の連載を開始。以降「火の鳥」「リボンの騎士」といった歴史的ヒット作を連発し、人気マンガ家としての地位を確立した。1963年、自身の設立したアニメスタジオ「虫プロダクション」にて日本初のTVアニメとなる「鉄腕アトム」を制作。現代のマンガ表現における基礎を打ち立てた人物として世界的な知名度を誇り、その偉大な功績から“マンガの神様”と呼ばれ支持されている。1989年2月9日胃癌のため死去、享年60歳。
萩尾望都(はぎおもと)
1949年5月12日福岡県大牟田市生まれ。1969年、なかよし夏休み増刊号(講談社)にて 「ルルとミミ」でデビュー。1975年、「ポーの一族」と「11人いる!」で1975年第21回小学館漫画賞を受賞。1986年 「11人いる!」が劇場版アニメ化、野田秀樹と共同で脚本を書いた「半神」が舞台化、1996年に「イグアナの娘」が管野美穂主演でTVドラマ化されるなど、多くの作品が他メディア展開されている。1980年「スター・レッド」、1983年「銀の三角」、1985年「X+Y」で星雲賞コミック部門を3度受賞。1997年「残酷な神が支配する」で第1回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞、2006年「バルバラ異界」で第27回日本SF大賞受賞と、受賞歴も枚挙に暇がない。