1巻では中学生だったヒナも、9巻で高校生になり、最終話ではなんと専門学生に。ここではそんなヒナの“成長”にフォーカスし、「ヒナまつり」の物語を振り返っていく。
「超能力少女現る!」(第1話)
新田といるのは楽しい
ヤクザ・芦川組の若手ホープ、新田の部屋に突然現れた楕円形の物体。その中から出てきた少女・ヒナは、強力な念動力を使って新田を脅し、彼の家に住み着くことに。ヒナの知っている大人と違い、新田は自分にあれこれ命令をしてこない。「新田といるのは楽しい」。そう感じたヒナは、新田のために力を使うことを決意する。ヒナが好物のイクラと出会ったり、ヒナの暴走で新田が“組随一の武闘派”の称号を手に入れてしまったり、これからの物語の軸となる要素が第1話からたっぷりと詰まっている。なお新田の武勇伝については、後ろのページで特集している。
「大人の世界」(第2話)
がんばったら、いいことがある
「力を使うな」という新田の言いつけを守っていたためエネルギーが発散できず、力を暴走させてしまったヒナ。困った新田は、建設業者に頼むはずだった土地開発の仕事をヒナにやらせることを思いつき、“丸儲け”だと喜ぶ。だが新田のその表情は、ヒナの嫌いな大人のそれだった。へそを曲げるヒナに、新田は「大人の社会ではな、労働にはそれに見合った報酬を得るんだ」と特上イクラ丼をご馳走。ヒナも「これで私も大人の女」と、すっかり機嫌を取り戻す。
「今夜はサタデーナイトフィーバーなんだよ」(第4話)
言わなきゃ伝わらないのよ
ヒナにかまってばかりいたせいで「女遊びを断った」と噂になってしまった新田は、ヒナを留守番させ、毎晩遊び歩くように。そんな新田を追いかけて街に出たヒナは、新田がよく行くバー“Little Song”のバーテン・詩子から、自分の気持ちをちゃんと相手に伝えることの大切さを教わる。ようやく新田と再会したヒナは、「私も新田とキャバクラに行ってみたい」と胸の内を明かし……。なおヒナのクラスメイト・瞳が、流されるままバーテンとしてデビューしてしまったのもこの回。彼女の躍進については、後半のページで取り上げる。
「超能力勝負はこうやんだよ」(第6話)
一緒に遊ぼう
暴走族を一夜にして壊滅させた少女・アンズ。ヒナと同じような力を持つ彼女は、ヒナを“処分”するため彼女を探しているという。戦いは避けられない──そう感じた新田は、2人が派手に暴れないように、「あっち向いてホイ」でのバトルを提案。勝負がついた後、ヒナは自分を殺しに来たアンズに、「一緒に遊ぼう」と声をかけるのだった。少女たちがゲームに夢中になっている間、気を利かせてアンズの服を洗濯してやる新田。しかしこれが原因で、アンズが持っていた“帰るための道具”が壊れてしまい、彼女はしばらくホームレス生活を続けることに。
「勘当ロックンロールフィーバー」(第9話)
新田の所に戻りたいな
新田を喜ばせようと始めた家の掃除で、大失敗してしまったヒナ。結果的に勘当された彼女は、どうすれば新田が許してくれるのかを一生懸命考え、割ってしまった壺の代わりに新しい壺を買って返そうと思いつく。路上ライブでお金を稼いでいるバンドマンにヒントを得たヒナは、超能力を使った手品で投げ銭をゲット。さらにはバンドマンと意気投合し、バンドの一員として派手なパフォーマンスまで披露する。しかし目標額を集めたヒナは、あっさりバンドを脱退。手に入れた壺を抱え、新田のもとへ急ぐのだった。ロックとイリュージョンの融合“ロックージョン”に目覚めたこのバンドは、このあともストーリーに意外な絡みを見せてくる。その模様は後半で取り上げる。
「新田さんのお父さんはダンディー」(第12話)
空気を読むこともできます
新田の実家からかかってきた電話を、ヒナがとってしまった。新田は自分たちの関係を説明するため、ヒナを連れて実家を訪れる。ヒナは逮捕されたアニキの子なんだと、適当な嘘を並べて場を乗り切ろうとする新田だったが、だんだんと酔いが回り、ついにボロを出してしまった。急に“事件のショックでエビチリのことしか覚えていない”というキテレツな設定を振られたヒナは、エビチリがなんなのかもわからないのに、空気を読んで話を合わせようと努力する。その姿を見て、ヒナの成長を感じとった新田は感動し、「ヒナは俺の娘だ!」と高らかに宣言。死んだ父親にも新田家の一員としてヒナを紹介する。
「チーン」(第37話)
新田をお祝いしてあげたい
新田が若頭に出世した。お祝いをしてあげたら喜ぶんじゃないか、そしてお礼をくれるんじゃないかと言われたヒナは、そのためには何をしたらいいかを知り合いに聞いて回る。ケーキ、写真、花、サプライズ……どうせなら全部やってしまえと思い至った彼女は、新田のために全力を尽くすが?