コミックナタリー Power Push - 「響け!ユーフォニアム2」監督・石原立也×原作者・武田綾乃対談
「働いたら負け」の時代に見せたかった、努力することの美しさ 全国大会に向けてラストスパート、北宇治ファイトォォー!
吹奏楽部の部員たちがコンクールに向けて練習に励み、熱い思いをぶつけ合う「響け!ユーフォニアム」。武田綾乃による原作小説は宝島社より刊行されており、テレビアニメも第2期が10月より放送中だ。
いよいよ物語がラストスパートへと入るタイミングで、コミックナタリーでは原作者・武田と石原立也監督の対談を企画。これまでのエピソードを振り返ってもらうとともに、最終回まで残り4話となる物語の見どころを語ってもらった。
取材・文 / はるのおと
なりゆきでユーフォニアム担当になったが、コンクールメンバーを選ぶオーディション、そして挫折を経験し「上手くなりたい」と思うようになる。入学当初はぎこちなかった麗奈とも今では親友同士で、互いに影響を与えあう存在に。
久美子のクラスメイト。吹奏楽の強豪中学校出身で、自分の演奏技術には自信を持っている。ハッキリとモノを言う性格で、しっかり者。「チューバくん」が好きでグッズを集めている。
キラキラとドロドロが混じり合ってできた「ユーフォニアム」
──まずアニメと原作、それぞれの第一印象を教えてください。
石原 アニメ化が決定した後に原作を読ませていただいたので、まず「吹奏楽をアニメで描くのは大変そうだな」というのが第一(笑)。内容としては、とても青春小説してますよね。高校生だからってハツラツさやさわやかさだけを前面に出しているわけではなく、影の部分もあって面白いと思いました。
武田 ありがとうございます。
石原 僕は高校生の頃からアニメーション作りの真似事をしていたのですが、夏休みに学校に忍び込んでアニメを作っていて。夜、あまりに暑いんでグラウンドに出て、みんなで大の字に寝転がったり、流れ星を見たり。絵に描いたような青春をしていたんです。
一同 (笑)。
石原 それでも当時は、「今、俺たち青春してるぜー!」なんて思うこともなく、あくまで歳を取った今だから思うもので。結局、青春ってそういうものなのかな、と。そんなことを思わされました。
武田 原作の1巻を書くときに、もちろん青春小説のつもりで書いていましたけど、ドロドロとキラキラを混ぜたものにしたくって。アニメ化が決まったときは、そんなドロドロやキャラクターのぶつかり合いがどう思われるか少し不安もありましたが、皆さん意外と受け入れてくださってありがたかったです。
石原 でも、武田さんはまだお若いじゃないですか。高校生だったのも数年前ですよね? それでも「青春って後になってから気付くもんだ」と思われます?
武田 私は学生時代からそう思っていました。周りから「今が美しい」とか「青春じゃん!」みたいなことを言われるのが嫌だったんです。その思いはずっとありますね。
石原 僕はアニメ2期1話の花火大会で、久美子が「今、すごく仲のいい友達ともいつか離れ離れになっちゃう」と感じるシーンが好きで。「こいつとはずっと一緒かもしれない」と思っていた人も、その後は音沙汰がなくなるとか普通じゃないですか。そういう切なさも、青春にはありますよね。
武田 私は学生時代からそういう意識が強くて。中学の卒業式でも「今、この子たちと別れたらきっともう疎遠になるだろうな」と感じていました。「響け!ユーフォニアム」は、そういった部分を強く打ち出して書いた作品でもあります。
──武田先生はアニメ1話を観てどんな感想を?
武田 原作の1巻が出た頃はアニメ化なんて全く考えていなかったので、絵が付いて音が付いて動くというだけで「わー!」っと感動して。きっちりと演奏していて、もう圧倒されたし、すごく感激したのを憶えてます。
──しかも地元の京都アニメーションさんが制作という。
武田 はい。「涼宮ハルヒの憂鬱」や「けいおん!」も学生のときにみんなで読んだり観たりしていましたし、大学に行くときの通学路で普通に京アニさんも見ていたので(笑)、とにかく驚きました。
次のページ » 原作1巻に散りばめられていた伏線は伏線ではなかった
TOKYO MX1:水曜24:00~24:30
ABC朝日放送:水曜26:14~26:44
KBS京都:木曜25:30~26:00
テレビ愛知:水曜26:05~26:35
tsk:水曜25:00~25:30
BS11:木曜24:00~24:30
AT-X:金曜22:00~22:30
- Blu-ray / DVD「響け!ユーフォニアム2」1巻 / 2016年12月21日発売 / ポニーキャニオン
- 「響け!ユーフォニアム2」1巻
- Blu-ray Disc 7020円 / PCXE-50711
- DVD 6156円 / PCBE-55531
第1回「まなつのファンファーレ」(本編48分)
初回特典
- キャラクターデザイン池田晶子描き下ろし三方背特製 ケース/デジパック仕様
- 16Pスペシャルブックレット:パート日誌(低音パート)、キャラクター紹介、第1回解説、楽器設定、小物 設定、美術設定、スタッフコメント【石原立也(監督)】
- キャラクターデザイン池田晶子描き下ろしイラストカード(中川夏紀)
映像特典
- 未放送ショートムービー「花火大会キッスへようこそ!」
- WEB版予告映像
- ノンテロップOP/ED
- PV/CM集
音声特典
- キャストコメンタリー(黒沢ともよ×朝井彩加×豊田萌絵×安済知佳)
- スタッフコメンタリー(石原立也×池田晶子×山田尚子)
その他
- 日本語字幕
- 2017年3月12日開催スペシャルイベントチケット優先販売申込券(2017年2月6日申込締め切り)
舞台は北宇治高校吹奏楽部。高校に入り、クラスメイトの葉月からの熱烈なアプローチを受けて吹奏楽部に入った久美子。
久美子の高校の吹奏楽部は、5年前までは関西大会の常連で、過去に全国大会に出場したこともある強豪校だったが、顧問である山岡が他校へと移ってからは関西大会にすら進めていない。
再度の顧問交代を機に、再び高みを目指す部員たちの青春と奮闘、幼い人間関係の深化を、小気味よい演奏シーンとともに描いた、スウィング・青春小説!
石原立也(イシハラタツヤ)
アニメーション監督・演出家。京都アニメーション所属。監督作に「中二病でも恋がしたい!」「無彩限のファントム・ワールド」などがある。
武田綾乃(タケダアヤノ)
1992年、京都府生まれ。2013年、第8回日本ラブストーリー大賞隠し玉作品「今日、きみと息をする。」でデビュー。2作目の「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」がアニメ化され話題に。ほかの著書に「響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 前編・後編」、ユーフォシリーズのファンブック「響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌」(いずれも宝島社文庫)などがある。最新刊は「石黒くんに春は来ない」(イースト・プレス)。