コミックナタリー Power Push - マーガレットコミックス特集 あの頃も、これからも!一生少女マンガ宣言 第16回 八田鮎子「オオカミ少女と黒王子」
キャラクターをコントロールしない
佐田くんのワンマンショーになっている!?
──エリカちゃんは描いていていかがですか。描きやすい女の子ですか?
難しいですね。最初は見栄っ張りで嘘つきで、というキャラに決めていたんですけど、嘘つきキャラを描くのは難しくて。人って、嘘をつきたくてついてるわけじゃないですよね。ピンチに陥ったから、ついてしまうだけ。だから嘘つきっていうキャラは最初のほうだけなんですけど(笑)。
──むしろ、すごく素直でいい子ですよね。あと、髪型がしょっちゅう変わりますね。ヘアアレンジが楽しいです。
別マ読者の女子はおしゃれなので、なるべく毎回変えるようにしています。自分が描いていて飽きないようにというのもありますね。でも、ストーリーの核になるような、山場のシーンでは髪は下ろすようにしてるんですよ。
──そうなんですか! なぜでしょう。
なんでですかねえ。エリカって感じがするからなんですかね。
──一番エリカらしい髪型で。
あと、どうでもいいことなんですけど、神谷くんはふだんは横分けなんですけど、焦ると前髪が出てくるんですよ(笑)。そういうちょっとした裏設定があります。
──かわいい裏設定ですね。
気付いている人いるのかなあ。うちの姉だけは気付いていましたね。トーンを貼ってもらってますから。
──いつもはない前髪にトーンを貼りながら気付くと(笑)。いろいろな男子が出てきますが、八田先生は健くんが理想のタイプだとおっしゃっていましたね。
はい。頼りになるというか、男っぽいところが好きですね。
──いまいち恋にはニブいようですが。
そこがダメなところですねえ(笑)。色気がなさすぎてがっかりします。何かが足りないんです。
──でも、八田先生だけは万能の神として、健くんの足りない部分を埋めることができる立場にいるわけですが……。
いえいえ、無理です。キャラにはもう、何もできないですね。キャラは……いじれない。付け加えられない。最初の頃はできたと思うんですが、今はもうできないです。
──キャラがそれぞれの人生を歩んでいる。
そうですね。話の都合上でキャラをいじると、つまらなくなるんじゃないかと思います。
──じゃあ健くんの恋はまだ遠いんですね。読者から人気があるのは誰なんでしょう。
うーん……佐田くんと「その他」って感じなんじゃないですかね(笑)。佐田くんのワンマンショーだと思います。
──当て馬のほうが人気が出るような作品もありますが、八田先生の場合はやはりヒーローがバーンといくようなものにしよう、と?
いえいえ、たまたま佐田くんがよく出来過ぎてしまって、誰も敵わなくなっちゃったかなと。ちょっと強すぎたのかもしれません。
──かわいいところもたくさんありますが……でもそこも含めてキャラとして最強かもしれないですね。
そうそう、そうなんです。だから周りが添え物みたいに見えてしまう。私はみんなのことが好きなんですけどね。
小3の頃から職業としてマンガ家を意識していた
──八田先生は「オオカミ少女と黒王子」の前に、短編集を6冊も出していて、作品数がとても多いですよね。ネームに8カ月かかったりすることもあったけれど、「根性はある」ので大丈夫だった、と単行本でも書いていらっしゃいました。やはりマンガを描くには根性がないとダメでしょうか。
ダメだと思います。あと私はほかにやることがなかったので。マンガを途中でやめる方がいるとしたら、その方はほかにやりたいこととかやれることがあるからだと思うんですよ。ほかに道がある人。私は本当に何もないので……絵しか描けないです。
──小6のときから投稿していらしたんですよね。7巻に当時の作品が収録されていましたが、ものすごくクオリティが高くてびっくりしました。コマ割りもしっかりされていて。小6であれくらい描けるということは、もっと前からマンガを描いていたということですよね。
小3くらいから描いていましたね。
──マンガ家になると決めて?
はい。絵が好きだったので。でもみんなそうだと思うんですけど。絵が描けるとまずマンガ家になりたいと思って、ストーリーが描けなくて諦めて……みたいな(笑)。私も最初は全然ストーリーが作れなかったです。
──小学生の頃はどんなマンガを読んでいましたか?
「幽☆遊☆白書」「美少女戦士セーラームーン」、あと「ドラゴンボール」とか。流行っているものを読んでいましたね。
──少年マンガを読みつつ、少女マンガ家になりたいと思っていたのでしょうか。
少年マンガは描けないかなと。アクションシーンとか「勝ち負け」とか、そういうものを描くのは私には無理だと思いました。
──小学生の頃から自分の適性を考えていたのがすごいですね。職業としてマンガ家をやるぞというのを早くから決意していた。
そうですね。少女マンガのほうが私に向いているのではないかと。もちろん少女マンガもたくさん読んでいて、好きでしたよ。少女フレンド(講談社)で描いていたかわちゆかり先生の「ないしょのカウント」とか。あと、一番影響を受けているのは栗原まもる先生だと思います。「素肌の放課後」とか「…青春中!」とか、大好きでした。お話も笑って読んでいましたが、絵がとにかく大好きで。私の土台はあの方だと思います。神です(笑)。それもあって最初は別冊フレンド(講談社)に投稿したりしていました。
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- 「オオカミ少女と黒王子」実写映画化決定!2016年5月ロードショー
©八田鮎子/集英社 ©2016 映画「オオカミ少女と黒王子」製作委員会
八田鮎子(ハッタアユコ)
2002年、別冊マーガレット(集英社)にて「ずっと君の王子様」でデビュー。その後、「ひよこロマンチカ★」「オーダーは僕でよろしいですか?」「ボクの世界 キミのリアル」「悪い子の味方」「キミを中心に世界はまわる」「ぐるぐるめぐる」と6作の短編集を刊行。2011年に「オオカミ少女と黒王子」の連載を開始し、2014年にTVアニメ化。2016年5月には実写映画も公開される。
2016年1月22日更新