赤血球、白血球、血小板……人間の身体の中で働く細胞たちの日常と知られざる闘いを描く体内細胞擬人化マンガ「はたらく細胞」。TVアニメ第1期が2018年に放送され、現在第2期「はたらく細胞!!」が放送中だ。
コミックナタリーでは、第1期から同作のファンであり、アニメ好きとしても知られる日向坂46の小坂菜緒にインタビューを実施。「はたらく細胞」との出会いや作品の魅力、そして彼女自身のアニメとの向き合い方について語ってもらった。
取材・文 / 増田桃子 撮影 / ヨシダヤスシ
勉強しながら楽しめるなんて最高のアニメです!
──小坂さんはご自身のブログなどで「はたらく細胞」がお好きだとおっしゃっていましたね。まずは作品との出会いからお聞きしてもいいでしょうか。
初めて出会ったのはアニメの第1期が放送されていた時期です。たまたまテレビのチャンネルを変えていたら目に留まったのがきっかけで。私はもともと生物や科学の授業が好きなので、「細胞」とか「白血球」「赤血球」という言葉が耳に入って、すごく興味をそそられたんです。
──まずは作品のテーマに惹かれたんですね。
はい。もちろんアニメとしてもとても楽しく観ているんですけど、楽しいと情報ってこんなにスッと頭に入ってくることにビックリしました。細胞の名前もたくさん覚えましたし、勉強しながら楽しめるなんて最高のアニメだなと思いました。
──確かに(笑)。小坂さんは現在高校生ですが、実際に「はたらく細胞」を観ていて授業で役に立ったこともありますか?
かなりあります! それこそ白血球、赤血球、血小板っていう言葉やその役割がアニメを観ていたおかげで自然と頭に入っていたので、授業で出てきたときに「ああ、それ知ってる!」ってなりました。細胞が身体の中でどんな働きをしているかも、アニメの映像やキャラクターの動きが頭に残っているので、授業で説明を聞いていてもとても理解しやすかったです。
──なるほど、リアルな学生さんの意見ですね。ただ教科書を読んでいるだけではなかなか頭に入ってこないですよね。
はい。それに描写がとてもわかりやすいんですよね。第1期の花粉症のエピソードがとても印象に残っているんです。くしゃみをロケットで表現していたり、鼻詰まりで地殻変動したり、涙で大洪水が起きたりと、小さなお子さんが見てもわかるように描かれていて、すごいなと思いました。医療系の分野に進まないとなかなか知る機会のない知識も出てきますし、ちょっと専門的なことも気軽に知れるアニメだと思います。
──ちなみに「はたらく細胞」で扱ってほしい病気や症状はありますか?
そうですね……。私はこの活動を始めた頃に、もう高校生だったんですけど水疱瘡にかかっちゃったんですよ。水疱瘡もウイルスの感染で起こる病気だと思うんですけど、一体どこからどう感染したのかとか、どうやって治っていくのかすごく気になって……。「はたらく細胞」で見てみたいですね。
あんなにかわいい小さい子たちが一生懸命がんばって
──「はたらく細胞」にはさまざまな細胞が登場しますが、特に好きな細胞を3つ挙げるとしたら?
やっぱりまずは血小板ですね。もうすごくかわいらしくて。赤血球や白血球が「カワイイカワイイ」って愛でたくなる気持ちがすごくわかるなと思います。あの子たちが一生懸命にがんばって凝固因子とかGP1bを運んだり、フィブリンを集めたりしているのを見ていると……もう、すごくかわいい(笑)。
──(笑)。傷を塞ぐというかなり大変な仕事を担ってますからね。
あんなにかわいい小さい子たちが一生懸命がんばっているからこそ、余計に血小板の働きが重要なんだというのが伝わってくるなって思いました。
──確かに、血小板が子供として描かれていることでより伝わりますよね。ではあと2人は?
あとは樹状細胞と、うーん、そうですね……B細胞かな。
──へえ。血小板は割と人気キャラですが、樹状細胞とB細胞が挙がってくるのは珍しい気がします。
そうですよね(笑)。樹状細胞は免疫細胞の中でも、抗原情報をほかの免疫細胞たちに伝達したり、免疫系を活性化させるっていうちょっと特別な役割というか……司令塔みたいな働きをしているじゃないですか。活躍するシーンが多いわけではないですけど、裏方の仕事ってカッコいいなと思います。あとずっと樹の幹のところで暮らしてる感じもすごくかわいらしくて好きです。
──ではB細胞は?
B細胞は明るくてやんちゃな感じの性格が好きです。抗体ができたとき一発で撃退しちゃうところも見ていて楽しいですし。あと一緒に動いてる記憶細胞とのコンビも好きで。
──細かいところまでチェックされてますね(笑)。女の子には白血球やキラーT細胞とか人気があるかなと思ってたんですけど。
あ、でも白血球の4989も好きです。メインで出ている1146じゃなくて、準レギュラーみたいな感じの白血球、何人かいるじゃないですか。
──ああ、いますね。4989というと、白血球の仲間の中でも割とよくしゃべる子ですね。
そうです、そうです。ちょっと飄々とした明るい感じの子です。白血球の1146は戦うときは激しいですけど、普段はほんわかしているところがあるので、4989が1146にさり気なくツッコミを入れる感じも好きです。
──なるほど。メインキャラクターよりも、脇にいるちょっと個性的なキャラがお好きなんですね。
そうかもしれません(笑)。
乳酸菌のすごさと大切さを改めて実感しました
──1月からはTVアニメの第2期も放送中ですが、久しぶりにご覧になっていかがでしょうか?
やっぱり面白いです。第1期は基本的に赤血球を中心にしたお話が多かったじゃないですか。赤血球がいろんな事件というか、病気に巻き込まれるエピソードがメインだったと思うんですけど、第2期は割と白血球が軸となっているお話が多いなって思いました。
──確かに、「悪玉菌」や「サイトカイン」、「がん細胞」など白血球が活躍するお話が多いですね。特に印象に残ってるエピソードはありますか?
乳酸菌のエピソードですね。一般細胞くんと乳酸菌との交流のお話かと思ったら、そこに白血球たちとがん細胞のお話が絡んできて、だんだん内容がつながっていくのが観ていてすごくワクワクしました。それに乳酸菌のすごさと大切さを改めて実感しました(笑)。乳酸菌が体にいいって話はよく聞きますけど、大事な場面でめちゃくちゃ活躍しているんだなって。
──確かに(笑)。
あと「獲得免疫」のエピソードも面白かったです。おたふくかぜのお話で、記憶細胞が勝手に暴走するところでほんと笑いました(笑)。「とうとう予知能力まで身につけてしまった……」って大騒ぎするんですけど、ただ過去に起きた出来事を忘れていただけっていう(笑)。
──記憶細胞も出番は多くないですけど、パンチの効いたキャラクターですよね(笑)。
はい(笑)。でも個性的でけっこう好きなキャラクターですね。キャラクターで言うと、がん細胞のエピソードに出てくる制御性T細胞には驚きました。第1期ではほとんど出てこなかったキャラだなと思いながら観ていたんですけど、がん細胞が自己から発生した細胞だと認識して異物とは認めず、メモリーT細胞ががん細胞を攻撃しないよう防御するシーンを観たときは、展開としてもハラハラしましたし、がんの恐ろしさが伝わってきました。
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