「BAD END」の歌詞は、
ジオルドのちょっと強引なところが垣間見える(蒼井)
──そして蒼井さんが歌うエンディングテーマのタイトルが、「BAD END」という(笑)。
KATSU 「乙女のルートはひとつじゃない!」で始まって「BAD END」で終わるって、そのコメディ感、まさにこの作品ですよね。タイトル見たとき震えましたもん。
蒼井 アニメの制作チームからは「エンディングテーマだからといって、ミディアムテンポやバラードにはしなくていいですよ」とおっしゃっていただいて。だったらエンディングっぽくない、「BAD END」というタイトルだからこその激しさを表現したいなと。歌詞は、ジオルドのちょっと強引なところが垣間見えるようなものになりました。
atsuko 最初に「BAD END」を聴いたのが、「はめふら」の打ち上げの会場で流れているのを聴いた時なんですけど、「キー高くない!?」「歌うの大変じゃない!?」って。
蒼井 そこは挑戦でしたね。でも去年いろいろなお仕事や経験を通してすごく喉が鍛えられたこともあり、なんとか思い通りに歌うことができましたね。
atsuko そのあと改めてちゃんと聴かせてもらって、さっきもおっしゃってたちょっと強引な悪い感じが、「これはもうたまんないな!」と思いました。サビの最後のところ、すごくカッコいいなと思って。
蒼井 ありがとうございます。そこの吐き捨てるような歌い方も、挑戦の一つでした。そういう「挑戦していいんだな」「歌い方を1つに決める必要ってないんだな」っていう気持ちを、作品からもらった気がしますね。フレーズによっていろんな引き出しから歌い方を持ってきて、パズルのようにはめていくような作業が、すごく楽しく感じました。
KATSU 僕の持論なんですけど、アニソンってオープニングよりエンディングのほうが作るのが難しいんですよ。オープニングって始まって賑やかしたら役目が80%終わってるんですが、エンディングはうまく作品を締めくくりつつ、次の話までの1週間のブランクを埋めなきゃいけないっていう重責があるんです。翔ちゃんの「BAD END」は、オープニングから始まったものをちゃんと締めてくれるエンディングで、これホントに打ち合わせしてないじゃないですか。
蒼井 そうですね。
KATSU オープニングとエンディングの間にある“作品”を見せるための曲がアニソンだと思うんですが、オープニングとエンディングを違う人が作っていたり、さらには違うレコード会社だったりして、統率が取れないままのこともあって。その中でこうやって統率が取れているアニメって、僕は売れると思ってるんです。みんなの見ている方向が一緒だってことだから。
atsuko 確かに作品に合わせたからこそ、私も「乙女」とか「ごきげんよう」とか普段使わないような言葉も使えたし、翔太くんの「BAD END」も、ジオルドがあったからこそこういう曲に仕上がったんだと思うので。
蒼井 そのとおりだと思います。
KATSU こうやって2つの主題歌が1つになるっていうのは、アニソンの形として素晴らしいですよ。「BAD END」は半分僕の曲だと思ってますもん。
atsuko なんでだよ!
蒼井 あはは!(笑)
たぶんこの作品、皆さん泣くと思います(蒼井)
──今日はせっかくの対談ということで、ぜひ聞きたかったお話があるんですが、2018年の「KING SUPER LIVE 2018」でangelaさん、蒼井さん、宮野真守さん、内田雄馬さんという4人で「革命デュアリズム」を歌ってらっしゃいましたよね。しかもatsukoさんと蒼井さんが一緒に女声パートを担当されていて。
蒼井 そうです、そうです。最初にメンバーを聞いたときに、「angelaさんです」って言われて、「やった! じゃあ、あともう1人女性がいらっしゃるのかな?」と思ったら、「内田雄馬さん、宮野真守さんです」って。「と、いうことは……!?」と思いましたね(笑)。atsuko姐さんと同じパートを歌えるっていうのはすごくワクワクして鳥肌が立ちましたし、映像を観返すたびに「ああ、楽しかったなあ」って思います。でも女性キーはやっぱり大変でした。
atsuko そう!? 全然そんな感じしなかったよ。
蒼井 やっぱり本番中はアドレナリンが出てるんですよ。でも歌い終わった後、少し脳のチャンネルがおかしくなりました(笑)。
atsuko 私、人と一緒に歌うの好きなんですよね。普段は1人で歌うじゃないですか。だから人がいると、ものすごく安心感があるんですよ。
蒼井 うんうん。一瞬でひとつになった感じがしましたね。
atsuko リハーサルのときは自分の立ち位置から誰も動いてなかったのに、本番では宮野さんが先陣を切って翔太くんに絡んでたよね(笑)。「これで私も行けるぞ!」って思った。
蒼井 みんな熱い人たちだから、ノッてくると動きたくなっちゃうんですよね。リハーサルのときも本当はみんな「動きたいな」ってうずうずしてたと思うんですよ。そしたら宮野さんが飛び込んできて。
KATSU 一番最初に動いたマモちゃんもすごいけど、それを受け止めた翔ちゃんもすごかったよね。
atsuko 「来ましたね?」みたいな顔で受け止めてたよね(笑)。
KATSU ぶっつけ本番であの動きができるのは、やっぱりみんなエリートなんだなって。水樹奈々ちゃんを筆頭に、キンクリのみんなは本当にストイックで、自分で自分を越えていくんです。そういう大スターばかりに囲まれているので、自然と自分もがんばらないとってなりますし、「歌だけ歌ってていいのかな」っていう危機感は、ここ10年ぐらい常に持っていますね。
──angelaさんの多彩な音楽性だったり、先ほど蒼井さんがおっしゃっていたatsukoさんのいろんな歌い方だったりも、そういう環境で育ったからこそ身に付いたものなのかもしれませんね。
atsuko そうですね、本当に。歌手やバンドだけのレーベルで育ってたら、こうなってなかったと思います。声優さんたちがなんでもできるから、音楽だけじゃなく、プラス何かができないと生き残れないなって思いはずっとあって。変な話ですけど、歌や楽曲で人の心が掴めないのなら、何か面白い話とかふざけたことをしてでも、記憶に残りたい。そういう吹っ切れ方はありますね。
KATSU サバイバル術みたいなね(笑)。
atsuko 「なんだったんだ、あいつ」っていう存在になりたいです(笑)。
──いつか今回のオープニングとエンディングが一緒に生で聴けるような機会があったらうれしいです。最後に蒼井さんから、読者にメッセージをお願いできますでしょうか。
蒼井 アフレコもとても楽しかったですし、完成したアニメもすごくテンポのいいものに仕上がっていると思います。それだけじゃなくて、たぶんこの作品、皆さん泣くと思います。オープニングからエンディングまで、楽しんでもらえたらうれしいです。
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