コミックナタリー Power Push - 相田裕「GUNSLINGER GIRL」
連載10周年を目前に、少女たちの戦いはついにクライマックスへ――
相田 裕 インタビュー
この巻をクライマックスと呼んでいいと思います
──「GUNSLINGER GIRL」14巻を拝読しましたが、物語はいよいよ佳境というかクライマックスを迎えていて、読み終えたあと、疲れてグッタリしたほどでした(笑)。
ここ数巻は、単行本が出るたび「続きが読みたい。でも読んでいて辛い」みたいな読者の方の反応があったりして、重い展開が続いていますね。それだけに、それでも読まずにいられない、ページをめくらずにはいられない面白さを出さなきゃっていう、プレッシャーを感じています。
──確かに、ページをめくるのを止められない引き込まれ方をしました。これが「ガンスリ」という物語のクライマックスと捉えていいんでしょうか?
そうですね。「ガンスリ」はジャンとジョゼ、クローチェ兄弟の物語がメインストーリーになっていますが、13巻から今回の14巻にかけては、彼らを含めて登場人物たちのドラマに重大な転機が訪れます。物語のクライマックスと呼んでもいいのではないでしょうか。
──連載開始が2002年の7月ですから、来年は10周年という節目でもあります。
気がつけば相当長い連載期間になりましたね。いつまでも面白い連載が続いていけたら、それはマンガ家にとってひとつの理想だと思うんですけど、今は物語を完結に向けて執筆を進めているところです。
──これまで描かれてきた因縁がついに決着するわけですね。原発での戦いは当初から想定されていたのでしょうか。
こんなにスケールの大きい話になるとは、自分でも思っていなかったです(笑)。「物語の結末はこういう感じにしよう」という色々なパターンを考えながら連載を描きはじめましたけど、そのストーリー展開を、こういう舞台で展開させることになると思いさえしなかったというか。連載初期の頃なら、描こうとして上手くいかないとかじゃなくて、そもそも描こうとしなかっただろうと思うんですよ。最初から諦めちゃって。
──画力がアップしたおかげで話も広がりを見せたということですか。
両方ですよね。「こういうストーリーにしたいから、それに必要なこういう技術を身につける」っていう作用もあれば、「技術がこのくらい高まったからこういうのも描けそうだ」ってストーリーに影響を与える部分もあって、お互いが引っ張りあう感じでここまで来たと思います。
あらすじ
公益法人社会福祉公社——障害者支援のための首相府主催事業を表向きとするこの組織の実態は、瀕死の少女たちに機械の体を与え、「条件付け」を施し、その少女たちを使って政府に敵対する勢力を秘密裏に排除する諜報機関だった。
生きることと引き換えに「義体」となった少女たち。
「条件付け」により、義体になる以前の記憶が封印された少女たちにとって、担当官の命令に従い、銃を持ち戦うことが何よりも幸せなのだった……。
架空のイタリアを舞台にした、少女と銃、そして周囲の人間が織り成す群像劇。
相田裕(あいだゆう)
2002年、月刊コミック電撃大王7月号(アスキー・メディアワークス)より「GUNSLINGER GIRL」を連載開始。現在までにコミックス1~13巻が刊行。最新14巻は12月17日発売。