コミックナタリー Power Push - 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ 暁の蜂起」
“同期”の2人が思う、シャアという存在
柿原くんの活躍にジェラシーを感じていた(前野)
──そういえば柿原さんと前野さんは専門学校で同じクラスだったんですよね。
柿原・前野 そうですね。
──ガルマからシャアに対するライバル意識のようなものって、当時のおふたりにもあったのかな……と思ったのですが。
柿原 うーん、声質が全然違うからあまりなかったですね。授業で振られる役とかも違いましたし。
前野 声質がかぶらないからね。でも柿原くんは卒業してからすぐに活躍されてたんですけど、僕は卒業後も5年くらい仕事がなくて。そういうときにも柿原くんの活躍は耳にしていたので、ジェラシーは感じていましたね。「カッキーすげえな、くそー」って。
柿原 そうだったの!?(笑)
前野 まあ対抗意識を燃やしてもしょうがないんですけど、同期として活躍されていることにもちろん羨ましさはありました。でも子供の頃から知っている「ガンダム」で、しかもファーストガンダムの礎となった「THE ORIGIN」という作品で、10代の頃から同じ学校で学んでいた柿原くんと共演できたのは不思議な感覚ですね。しかも彼はガルマで、僕はシャアに仮面を渡すリノという、お互いがシャアにとって重要な役どころ。そんなキャラクター同士で「ガンダム」の歴史に携われたっていうのは不思議な気持ちです。
柿原 「THE ORIGIN」はこれから初めて「ガンダム」を観る若い世代の人たちにとって、シリーズのスタート地点になる作品だと思うんですよ。その作品に2人で関われたっていうのは、僕らにとってもこれからのお芝居の励みになりますし、専門学校の後輩たちにとっての希望にもなれたんじゃないかなと。「一緒の学年でクラスメイトだった柿原さんと前野さんが、10何年後に『ガンダム』で共演してるんだ!」って、そういう未来が自分にも待ち受けているかもしれないって可能性を感じてもらえたら、彼らもより一層夢に向かって邁進できるんじゃないかなと思うので。
前野 そうだね。そうなってたらいいね。
この先何が起こるかはまだわからない
──数多く存在する「ガンダム」シリーズですが、今作ならではの魅力はどういった部分にあると感じていますか?
前野 やっぱり一年戦争につながる物語っていうのが一番だと思いますけど、「THE ORIGIN」はシャアのいろんな魅力に改めて気付かされるシーンばかりなんですよ。今回でいうと、「やっぱりシャアってすごいんだな」「カッチョいいんだな」って思うのと同時に、改めて「シャアは怖いな」と感じさせる場面も多かったので。ファーストガンダムが好きな方にとっては、そういったところも魅力に感じてもらえる部分のひとつかなと思います。
柿原 アムロじゃなく、シャアを主役に描かれているからこそ、今までにない視点で楽しめるしね。
前野 あと「暁の蜂起」に関して言えば、リノというオリジナルキャラクターが加わったことで今後もマンガとは違うお話になっていく可能性も生まれたんじゃないかなと。もしかしたら次回作はマンガ通りじゃないかもしれないという、違った楽しみを示せたのも大きいのかなと思います。安彦さんも「この先何が起こるかはまだわからない」とおっしゃってましたし。
──今後の展開にも期待が膨らみますね。その中でも「暁の蜂起」でお気に入りのシーンがあれば教えていただけると。
前野 いっぱいありすぎるんですよね、お気に入りのシーン。
柿原 ありすぎるなあ……。
前野 リノを演じさせてもらった身として選ぶなら、シャアに「君は特殊車両操縦評価はAだったはずだ」と言われる場面ですかね。特殊車両操縦がAということは、リノもザクレロに乗ってブイブイ言わせられる日が来たんじゃなかろうか……なんて妄想していたりして(笑)。モビルアーマーの先駆けとなったザクレロとかだったら、特殊車両っぽいじゃないですか。時代が時代だったらパイロットとして活躍している可能性もあるなと想像して楽しめる部分も含めて、僕はそのシーンが好きですね。
柿原 すべての台詞とシーンがガルマを作ったひとつのものだと思うので、僕もなかなか選べないんですけど……。劇中にシャアが「赤いな。実にいい色だ」って言う場面があるんですけど、あの台詞って実はマンガにはなくて。アフレコのときに、「たぶんこれも『ガンダム』の歴史上に残る名台詞になるんだろうな」と勝手に思ったんですよね。別にどうってことない言葉なんですよ。どうってことない台詞なんですけど、この「暁の蜂起」っていう作品が、その言葉でより印象付けられたなって思うんですよね。
前野 そこで伏線も張られていますしね。その後に自分が乗る機体の色であるという。
──確かに……!
柿原 そういうことになるんだと思います。それがカッコいいなって。やっぱり「ガンダム」って面白いなって思いましたね。
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- 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ 暁の蜂起」2016年5月21日より2週間限定 / 全国15館の劇場にてイベント上映
スタッフ
- 原作:矢立肇・富野由悠季(「機動戦士ガンダム」より)
- 漫画原作:安彦良和(KADOKAWA「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」より)
- 脚本:隅沢克之
- 監督:今西隆志
- 総監督:安彦良和
- 企画・製作:サンライズ
キャスト
- シャア・アズナブル:池田秀一
- ガルマ・ザビ:柿原徹也
- リノ・フェルナンデス:前野智昭
- デギン・ソド・ザビ:浦山迅
- ギレン・ザビ:銀河万丈
- ドズル・ザビ:三宅健太
- キシリア・ザビ:渡辺明乃
- トレノフ・Y・ミノフスキー:坂東尚樹
- ゼナ・ミア:茅野愛衣
- セイラ・マス:潘めぐみ
- テム・レイ:坂口候一
- アムロ・レイ:古谷徹
- ナレーション:大塚明夫
上映劇場
新宿ピカデリー / シネマサンシャイン池袋 / TOHOシネマズ日本橋 / 横浜ブルク13 / MOVIX柏の葉 / MOVIXさいたま / MOVIX宇都宮 / MOVIX京都 / 福岡中洲大洋 / なんばパークスシネマ / 大阪ステーションシティシネマ / ミッドランドスクエアシネマ / MOVIX三好 / MOVIX仙台 / 札幌シネマフロンティア
- Blu-ray Disc「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ Blu-ray Disc Collector's Edition」2015年11月26日 / バンダイビジュアル
- 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ Blu-ray Disc Collector's Edition」
- 2016年5月28日発売 / 10000円 / バンダイビジュアル / 劇場&バンダイビジュアルクラブ[BVC]限定
- Blu-ray Disc / DVD「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ 」2016年6月10日発売 / バンダイビジュアル
- [Blu-ray Disc] 7344円 / BCXA-0983
- [DVD] 6264円 / BCBA-4690
- Blu-ray Disc / DVD「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅱ」2015年11月26日 / バンダイビジュアル
- [Blu-ray Disc] 7344円 / BCXA-0982
- [DVD]6264円 / BCBA-4689
- Blu-ray Disc / DVD「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅰ」2015年4月24日 / バンダイビジュアル
- [Blu-ray Disc] 7344円 / BCXA-0981
- [DVD] 6264円 / BCBA-4688
柿原徹也(カキハラテツヤ)
Zynchro所属の声優。ドイツ出身、12月24日生まれ。主な出演作に「FAIRY TAIL」(ナツ・ドラグニル役)、「弱虫ペダル」(東堂尽八役)、「機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096」(アンジェロ・ザウパー役)など。
前野智昭(マエノトモアキ)
アーツビジョン所属の声優。茨城県出身、5月26日生まれ。主な出演作に「暁のヨナ」(ハク役)、「青春×機関銃」(松岡正宗役)、「不機嫌なモノノケ庵」(安倍晴齋役)など。
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