コミックナタリー Power Push - 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ 暁の蜂起」
“同期”の2人が思う、シャアという存在
忘れもしない、雨の降る木曜日の夜でした(前野)
──おふたりは安彦さんのマンガ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」にどういった印象を持たれていますか?
前野智昭 僕はもともと「機動戦士ガンダム」が好きだったので、「THE ORIGIN」が動き出したときから「どういう話なんだろう」と興味を持って読ませていただいてました。地球連邦軍とサイド3がどういった経緯で対立していくようになったのか、それまであまり明かされていなかったので詳細を知ることができて新鮮な気持ちでしたね。
柿原徹也 安彦さんが描く「ガンダム」の世界観っていうのは特別ですよね。懐かしい絵柄だったりもするんだけど、その中にも今の時代に通ずるものがあったり、新しい表現方法があったりする。初めて読んだときはすごく引きこまれて、どんどん読み進めていきました。僕自身も「THE ORIGIN」のファンの1人ですね。
──柿原さん、前野さんはおふたりともオーディションを受けられてこの役に決まったのでしょうか。
前野 恐らくテープか何かで僕の声を聴いていただいて……という水面下でのオーディションはあったと思うんですが、僕の場合は何も知らされずに、突然マネージャーから「決まりました」と連絡がありました。
──あ、そうだったんですね。
前野 忘れもしない、雨の降る木曜日の夜でした。
柿原 なんかすごい悲しいシチュエーションじゃん!(笑)
前野 ふふふ(笑)。「前野さん、『THE ORIGIN』の出演が決まりましたよ」って突然に。「どうやらシャアの仮面に関係するキャラクターらしいです」「収録は2年後です」と言われて、「おお、随分先の話だな」と。もちろん好きな作品だったのでうれしさはあったんですが、アフレコまでの期間が長かったので、最初は「まあなんとかなるだろう」と気楽な気持ちで考えていて。収録は昨年の12月に行われたんですが、その日が近づくにつれて徐々に緊張していきましたね。
“最強の坊や”を演じてやろうと思いました(柿原)
──柿原さんはオーディションを受けられたと公式サイトでのインタビューでも答えていましたが、ガルマ役に決まったときはどんなお気持ちでしたか。
柿原 俺はどうしてもシャア・アズナブル、そして(池田)秀一さんのそばから離れられないんだなって感じましたね。
──柿原さんは、「機動戦士ガンダムUC」で“赤い彗星の再来”ことフル・フロンタルを慕うアンジェロ・ザウパー役を務められていますもんね。
柿原 正直ガルマ役のオーディションを受けたときは、「ガンダムUC」でアンジェロを演じているから、池田さんの演じるキャラクターに愛を向けるという意味では近い存在のガルマを、どう演じたらいいか悩みました。ストレートにやってしまうと「アンジェロに近い」と言われてしまう可能性もありますし。だったら自分なりのガルマを表現して、それでダメだったらしょうがないよなという思いで受けたものだったので、決まったときは非常にうれしかったです。
──ガルマは「機動戦士ガンダム」でも人気のキャラクターだったと思います。
柿原 そうですね。僕自身は自分の中にある“柿原ガルマ”を精いっぱい演じることができればいいなと思っていたので、ファーストガンダムでのガルマ像は切り離して考えていました。とにかくこの子に僕の中の最大限の愛情を注いでいけば、ガルマからシャアに対する愛も伝わるんじゃないかと思ったんです。
──柿原さんにとってもガルマはお好きなキャラクターですか?
柿原 こんなに素敵なキャラっていないですよね。これほど面白い役どころもなかなかないと思いますし。「坊やだからさ」という名台詞もガルマから生まれているわけですから。もう“最強の坊や”を演じてやろうと思って挑みました。
リノにとってシャアは希望だった(前野)
──前野さんが演じられたリノは、マンガには登場しないオリジナルキャラクターです。
前野 役に決まった初期の段階では、「シャアに仮面を渡すキャラクターです」くらいの情報しかいただいていなかったので、「いつの時代の話になるんだろう」とかいろいろな妄想をしていましたね。もしかしたら自分もモビルスーツで戦ったりするんだろうか……といったところまで妄想が膨らんでいました。
──実際に演じてみた感想はいかがですか?
前野 リノは基本的に三枚目なキャラクターなんですけど、シャアの素性に疑いを抱く鋭い一面もある。シャアのカリスマ性に従う忠誠心も確かなものだと思いました。演じていて非常に楽しいキャラクターでしたね。オリジナルキャラということもあってすごく自由に演じさせていただいたので、そういった意味では収録もスムーズに進んだ印象があります。
──リノは唯一シャアの正体に感づくという役どころで、自らシャアに接触を図るシーンもしばしば見受けられましたが、リノの目にシャアという存在はどのように映っていたと思いますか?
前野 リノはもともと本物のシャア・アズナブルと友人だったので、自分の知っているシャアとの差に違和感を覚えてからは、カマをかけたりして彼の正体を探っていきます。もともとリノ自身もザビ家にはマイナスな感情を抱いていたので、シャアの正体に気づいていくうちに彼に従う強い忠誠心も生まれ始めて。リノにとってのシャアは、「この人だったらきっとやってくれる」という、希望を感じた人物だったんだと思います。
次のページ » ガルマはシャアにいろいろな感情を教えてもらっている(柿原)
- 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ 暁の蜂起」2016年5月21日より2週間限定 / 全国15館の劇場にてイベント上映
スタッフ
- 原作:矢立肇・富野由悠季(「機動戦士ガンダム」より)
- 漫画原作:安彦良和(KADOKAWA「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」より)
- 脚本:隅沢克之
- 監督:今西隆志
- 総監督:安彦良和
- 企画・製作:サンライズ
キャスト
- シャア・アズナブル:池田秀一
- ガルマ・ザビ:柿原徹也
- リノ・フェルナンデス:前野智昭
- デギン・ソド・ザビ:浦山迅
- ギレン・ザビ:銀河万丈
- ドズル・ザビ:三宅健太
- キシリア・ザビ:渡辺明乃
- トレノフ・Y・ミノフスキー:坂東尚樹
- ゼナ・ミア:茅野愛衣
- セイラ・マス:潘めぐみ
- テム・レイ:坂口候一
- アムロ・レイ:古谷徹
- ナレーション:大塚明夫
上映劇場
新宿ピカデリー / シネマサンシャイン池袋 / TOHOシネマズ日本橋 / 横浜ブルク13 / MOVIX柏の葉 / MOVIXさいたま / MOVIX宇都宮 / MOVIX京都 / 福岡中洲大洋 / なんばパークスシネマ / 大阪ステーションシティシネマ / ミッドランドスクエアシネマ / MOVIX三好 / MOVIX仙台 / 札幌シネマフロンティア
- Blu-ray Disc「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ Blu-ray Disc Collector's Edition」2015年11月26日 / バンダイビジュアル
- 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ Blu-ray Disc Collector's Edition」
- 2016年5月28日発売 / 10000円 / バンダイビジュアル / 劇場&バンダイビジュアルクラブ[BVC]限定
- Blu-ray Disc / DVD「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ 」2016年6月10日発売 / バンダイビジュアル
- [Blu-ray Disc] 7344円 / BCXA-0983
- [DVD] 6264円 / BCBA-4690
- Blu-ray Disc / DVD「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅱ」2015年11月26日 / バンダイビジュアル
- [Blu-ray Disc] 7344円 / BCXA-0982
- [DVD]6264円 / BCBA-4689
- Blu-ray Disc / DVD「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅰ」2015年4月24日 / バンダイビジュアル
- [Blu-ray Disc] 7344円 / BCXA-0981
- [DVD] 6264円 / BCBA-4688
柿原徹也(カキハラテツヤ)
Zynchro所属の声優。ドイツ出身、12月24日生まれ。主な出演作に「FAIRY TAIL」(ナツ・ドラグニル役)、「弱虫ペダル」(東堂尽八役)、「機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096」(アンジェロ・ザウパー役)など。
前野智昭(マエノトモアキ)
アーツビジョン所属の声優。茨城県出身、5月26日生まれ。主な出演作に「暁のヨナ」(ハク役)、「青春×機関銃」(松岡正宗役)、「不機嫌なモノノケ庵」(安倍晴齋役)など。
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