コミックナタリー Power Push - たらちねジョン「グッドナイト、アイラブユー」
神経質で小心者の男子が初の海外にびくびく カルチャーショックと心の成長描く旅ドラマ
たらちねジョン「グッドナイト、アイラブユー」の1巻が発売された。母の遺書に従う形で、ロンドンへ向かうことになった大学生・遠藤大空が、初の海外旅行に四苦八苦しながら家族の問題や未熟な自分と向き合い、精神的に成長していく様を描いたヒューマンドラマだ。
主人公は1巻の時点でロンドンのほかパリも訪れており、以降もブリュッセル、アムステルダムと次々に国を移動していく。この展開に沿って舞台を変えていくストーリーを描くため、各国を旅行してきたという作者をコミックナタリーでは取材。マンガに登場する都市の特徴や旅行の裏話を語ってもらうと同時に、その思い出を絵で描き下ろしてもらった。
取材・文 / 増田桃子
幼い頃に父と兄が家からいなくなり、母親と2人暮らしをしてきた大学生・大空。その母が病気で亡くなり、遺書で大空へと託した願いは、ロンドンに住む友人へ“自分の死を伝える”ことだった。不安を抱えながら、初の海外へと飛び出す大空。母の知り合いに母の死を伝えるという目的の旅は、いつしか彼が知らなかった家族の真実を知り、それらと向き合う旅へと変化していく。
母の遺書に導かれて、主人公・大空の訪れる国が次々と変わっていく「グッドナイト、アイラブユー」。ここでは第7話までに登場するロンドン(イギリス)、パリ(フランス)、ブリュッセル(ベルギー)、アムステルダム(オランダ)から、自分にピッタリの旅行先が見つけられる診断チャートを用意してみた。各都市の主な特徴や、そこで大空が取った行動も診断結果とともに紹介していく。
日本からは飛行機で約12時間半。世界最大規模の博物館である大英博物館や、街を象徴する時計塔ビッグ・ベンなど、歴史的な伝統的建造物が多数存在する一方、近代的なビルも混在する。ナイトクラブ発祥の地でもある。
物語の中で大空は、母親の友人の娘のエリーと夜遊びへと繰り出す。本場のナイトクラビングを体験し泥酔する中で、家族への不満や自身が置かれた状況への不安や悲しみを吐露する。
エッフェル塔、凱旋門など、海外に詳しくない人でもわかる大定番スポットを有する花の都。綺麗な街並みに立ち並ぶショップでは、ファッションや雑貨など何もかもがおしゃれに感じてしまうほど。ロンドンからは高速列車のユーロスターで約2時間弱南下。
大空は、ひょんなことからロンドンのあとパリへと移動することになり、兄の家に泊まらせてもらう。そこで兄から、予想外の“恋人”を紹介される。
高速鉄道のタリスで、パリからは1時間半ほど北上して到着するベルギーの首都。中心部にある大広場グラン=プラスは「世界でもっとも美しい広場」として世界遺産に登録されている。スイーツ好きにはチョコレート、ワッフル、辛党にはフライドポテトとビールと、食欲も満たす。
大空はパリからアムステルダムに行く途中、咄嗟に途中下車してしまい、偶然ブリュッセルの地を踏むことに。グラン=プラスの美しさに圧倒された大空は、時間が経つのも忘れ景色に見入ってしまう。
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一人で、母を看取った。「私の死を、ロンドンの友人に伝えて」そう書かれた遺書に従い、大学3年生の夏、大空は久しぶりに再会した兄と共にイギリスへ渡ることになった。
初めて訪れた異国の地で、母の若き日、兄の秘密、そして“家族”の真実に出逢うとは知らずに……。
新鋭・たらちねジョンが鮮やかに描き出す、ファミリールーツジャーニー待望の第1巻。
執筆陣
秋山シノ、oimo、川床たろ、佐倉チカ、たらちねジョン、中条亮、藤谷陽子、雪広うたこ、武蔵野ぜん子
たらちねジョン
1月20日生まれ。別名義にたらつみジョンがあり、BABY(ふゅーじょんぷろだくと)などでも活躍している。COMIC it vol.1より、初の少女マンガ「グッドナイト、アイラブユー」を連載開始。