菜緒らしく、変顔の特訓に明け暮れた

──原作は1990年代後半のりぼんで人気を博した作品でしたが、平成生まれの皆さんだと、もともと馴染みはなかったでしょうか？

白石隼也　僕は知らなかったです。

桜田通　僕も。（福原を見ながら）お母さん若いから、ちょうど世代なんじゃない？

福原遥 うーん。私のお母さんは39歳なんですけど、それより少し下の世代の方々が読んでたんだと思う。お友達からたくさん連絡が来たって言ってましたね。「今度遥ちゃんが出るドラマ、あのマンガでしょ？」って。

──まさに今30歳前後の方々が、ドンピシャで読んでいた世代だと思います。では皆さんが作品に触れたのは、ドラマへの出演が決まってからなんですね。

福原　はい。世界観がすごく素敵だなあと思いました。温かくて、ほのぼのした感じが出ていて。実写版でもこの空気感は絶対出したいな、と。

桜田　「グッドモーニング・コール」って、少女マンガの中でも特に女の子向けの作品じゃないですか。僕は少女マンガを読むには読むんですけど、これは普段あまり読まないタイプの作品で。物語の中に悲しいときと楽しいときの高低差が、いい意味で、あまりないというか、読んでて凹んだりしないし、ずっと温かい気持ちで菜緒と上原を見守れる感じが魅力的だな、って思いました。

白石　僕はまったく少女マンガを読んだことがなくて……。正直、キャラクターを見分けるのが最初は大変でしたね。

福原　おじさんみたい（笑）。

一同　あははは（笑）。

白石　でもギャグマンガみたいな要素もあって、すごく読みやすかったです。

──ちょくちょく挟まれる3頭身のギャグ顔は、この作品の特徴のひとつですよね。

福原　そう、コメディタッチなので、菜緒らしさをどう出せばいいかはマンガを読んで結構研究しました。監督にも「表情をもっとオーバーにして」って言われて、鏡の前で口を大きく開く特訓をしたり。

桜田　あれは努力の賜物だったのか。

──確かに「福原さんのこんな顔、見ていいのか!?」というシーンが多かったです。特に第3話で、坂道を転がってくる大量のミカンを受け止めようとするときの豪快な変顔には笑ってしまいました。

福原　あれヤバいですよね（笑）。あんな顔映していいのかってくらい。（森絵梨佳演じる）ゆりりんは、その横でかわいい顔してるのに。

桜田　その横で、軽く白目になりながら跳んでる菜緒。素晴らしかったよ。

福原　ありがとう（笑）。顔のバリエーションを増やすためにいろいろ研究したんですよ。同じ驚くシーンでも毎回少しずつ変えてたりするので、そこは観てほしいです！

“キャー部隊”がいるんです

──桜田さんの演じる大地は、ドラマ版オリジナルのキャラクターです。菜緒の幼馴染みで上原くんと並ぶ学園の御三家イケメン、そして菜緒と上原くんの間に入って三角関係に火花を散らす役どころでした。

桜田　根本的に「菜緒のことが大好きで大事」っていうところを持っていればブレない役だったので、オリジナルキャラと言っても難しさはそんなになかったです。イケメンっていう設定はどうにも難しかったですけど……とはいえ結果的に、大ちゃんはそんなに御三家感がなかったんですけどね。

福原　上原くんは毎度毎度、廊下を歩くだけで女子からキャーって声が上がるのに……。

桜田　そう、このドラマには「キャー部隊」がいるんです。1話なんて上原くんが登場するとき、女子がモーゼの十戒の海のように割れてたじゃないですか。それ見たときに、俺にもそういうシーンがあるのかなって思ってたら、2、3人が常に「キャアッ」って声挙げてくれてたくらいだった（笑）。

福原　監督さんが変わるごとに、“キャー度”が変わっちゃうんですよ。大ちゃん、後々誰からもキャーって言われなくなってるところもあったよね。

桜田　そう。いったい俺の御三家設定はどこいったんだ、って（笑）。最後まで俺を褒めてくれたのはまりなだけだった。もうホントに優しい奴だな、と思いました。

福原　あはは（笑）。

──同じくイケメン御三家・上原くん役の白石さんは、どう役作りをしていきましたか？ 成績優秀、スポーツ万能で、まさに女子の理想の男の子像を体現する存在ですが……。

白石　いやもう、僕はそもそもそんなイケメンじゃないので……。

福原　いやいやいやいや。

桜田　やいやいやいやい。

福原　（笑）。

白石　だからもう、嫌でしたね。こんなイケメンの役、初めてで。

桜田　まあプレッシャーにはなるよね。

白石　そんなに特殊な役ではないんですけど、上原はスポーツ万能なので、ソフトボールとかサッカーのシーンのために一応練習しましたよ。僕の車の中には今でも、練習で使ったボールがあります。

福原　サッカーのシーン、撮影中ずっと（桜田と）2人で見てたよ。第7話の、振り向きざまにさりげなく蹴ってロングシュート決めるところ。

白石　OK出るまでに、14回蹴ったんですよ。

桜田　最後の1回で完璧に決まったんだよね。すごかった。

福原　現場、大盛り上がり。エキストラさんもみんな「オーッ」って漏らしてたもん！

桜田　しかもサッカーのスパイクじゃなくてローファーで蹴ってるんだもんね。クッションがないから、硬い球を裸足で蹴ってるようなもの。みんなに「大丈夫？」って心配されても普通に歩いてたけど、パッと見たら結構足が赤くなってて。「ス、スター！」って思った。

福原　ホントに……カッコよかった！