コミックナタリー PowerPush - 映画「銀の匙 Silver Spoon」
荒川弘が太鼓判、原作ファンも大納得!大ヒット農業青春マンガ、完全実写化
(c)2014映画「銀の匙 Silver Spoon」製作委員会 (c)荒川弘/小学館
へんにお涙頂戴にはしないでほしい
──実写映画化にあたり、荒川先生から制作サイドにアドバイスやリクエストはなさいましたか。
えーっと……へんにお涙頂戴にはしないでくださいとは言いました。映画の大きな要素として、駒場家の離農があるんですけれど。そういう出来事って、農業の現場にいた人間と、外側から見ている方たちとでは受け取り方が違っていて。外から見るとより悲惨に見えて、傷口に触れるような感じに描かれてしまうのではないかと。
──実際よりも悲惨に感じてしまうというのはあるかもしれません。
ええ。最初に見せていただいた脚本がそんな感じだったので、「もっとあっけらかんとしてていいです」という話をしました。
──原作でも、駒場が「離農なんてめずらしくもねぇ」と語っていましたね。
確かに重々しい雰囲気ではあるんですけどね。必要以上にビクビクと怖がった脚本じゃなくていいですよと。
──なるほど。ほかにはありますか。
あと、実際の農場を撮影に使うということで、疫病には本当に気を遣ってくださいとお願いしました。
農業高校の不純異性交遊って
──吉田恵輔監督ともお会いになられたかと思うんですが、どんな話をされましたか。
最初にお会いしたときに「ここだけは譲れないという部分はありますか」と聞かれまして。先ほどの家畜の防疫の話や、あとは現地の人の協力を得て、ルールを守ってやっていただければ大丈夫ですとお伝えしました。
──実際の農家の方に迷惑がかからないようにということですね。
はい。「それさえ守っていただければ、あとは好きにやってくださっていいです」と。
──ほかにはどんな会話をされたんでしょう。
そうですね……「農業高校の不純異性交遊はどうなっているんですか」と尋ねられました。
──実際どうなんでしょうか。
普通にありますね(笑)。あと寮生活についてもかなり興味を持たれていて、「やはり抑圧されているんでしょうか」と。
──映画の寮で、ここからは女子、みたいになってるのがリアリティありましたね。そんな子供がいっぱい集まったら何やかんやあるんでしょうし。
子供たちの青春だから、惚れた腫れた、というのは普通にあるんですよね。
──そういう部分は、普通の学生と変わらない?
ええ。逆にお互いがお互いを監視している状態ですから、あまり変なこともできないんですよ。学校でカップルができて「一緒に帰ろう」ってなっても、結局みんな寮に帰るしかないから。
──敷地内でデートが終了してしまうんですね。
はい。「あいつら付き合いだしたぞ」ってバレバレです(笑)。
- 映画「銀の匙 Silver Spoon」3月7日(金)より全国東宝系にて公開中
- 進学校に通いながらも受験に失敗し、「寮があるから」という理由だけで逃げるように大蝦夷農業高校【通称:エゾノー】に入学した八軒勇吾(中島健人)。将来の目標や夢を抱く同級生のアキ(広瀬アリス)や駒場(市川知宏)に劣等感を感じつつ、農業高校の生活に悪戦苦闘の日々。しかし北海道の雄大な自然とニワトリ、豚、牛、馬、そして個性豊かな仲間たちに囲まれた常識を覆す農業高校の生活の中で、八軒は悩み戸惑いながらも次第に自分なりの答えを見つけ始める。
「やれば出来るって…無理な事なんかないって」。
そんなまじめで正直な八軒に新たな難題が立ちはだかる…。
- 出演:中島健人、広瀬アリス、市川知宏、黒木華、上島竜兵、吹石一恵、西田尚美、吹越満、哀川翔、竹内力、石橋蓮司、中村獅童
- 原作:荒川弘「銀の匙 Silver Spoon」(小学館「週刊少年サンデー」連載)
- 主題歌:ゆず「ひだまり」(セーニャ・アンド・カンパニー)
- 監督:吉田恵輔
- 企画・プロデュース:平野隆
- エグゼクティブプロデューサー:田代秀樹
- 脚本:吉田恵輔、高田亮
- 音楽:羽毛田丈史
もうすぐ春がくる。
エゾノーの寮を巣立つ日が近づいてきた…
疲れた体を引きずって泥のように眠ったベッド…
実習と部活で空になった胃袋を満たしてくれた食堂…
良いことも嫌なことも分かち合った仲間たち…
そして、大豊作な思い出の数々…
八軒勇吾のエゾノーので一年は、濃厚な味がした。
冬編…クライマックス!!
荒川弘(あらかわひろむ)
1973年5月8日北海道生まれの女性。1999年月刊少年ガンガン(スクウェア・エニックス)にて「STRAY DOG」でデビュー。同誌での初連載「鋼の錬金術師」が雑誌の看板になるほどの大ヒットとなり、2003年にはアニメ化、その後も映画、ゲームなど多メディア展開が行われた。第49回(平成15年度)小学館漫画賞少年向け部門を受賞。2011年には、週刊少年サンデー(小学館)にて初の週刊連載作品「銀の匙 Silver Spoon」を開始した。自画像として牛を使用するのは、実家が牧場経営なことと、丑年生まれで牡牛座であることに由来する。
(c)荒川弘/小学館