コミックナタリー Power Push - 「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」
自分を信じることしか方法のない少年たち 長井龍雪監督×シリーズ構成・岡田麿里 対談
慌てて書き直したカルタの最期(岡田)
長井 カルタのデザインも、「まさかこう来るとは!」みたいな気持ちになりました。見た瞬間に、これでもう決まりましたね。
岡田 カルタは、最初に監督が考えていたストーリーには出てきてなかったんですよ。シナリオも結構進んだところで、「こういう役割の人物がほしいな」って、あとから生まれたキャラクターだったんです。だから正直……。
長井 短い期間でキャラを立てられるかなって、ちょっと不安はありましたよね。
岡田 そうなんです。だけどまだ覚えてるんですけど、ある日打ち合わせに来たときに、監督が「これ見ろよ!」って伊藤さんから上がってきたカルタの絵を見せてくれて。「あ、これだったらイケる!」って、あのときはすごく安心しましたね。
──実際にものすごくキャラが立っていたと思います。
長井 立ってましたよね。もちろん(井上)喜久子さんの声の力もすごかったですし。喜久子さんならではのいいお芝居でした。
──敵キャラでありながらコメディ要素も担っていて、泣かせるところはちゃんと泣かせる、魅力の詰まったキャラクターだなと感じました。
岡田 あの最後のシーンは、シナリオ提出の日の早朝に急遽思いついた話だったんですよ。
長井 俺もシナリオを読んで「あ、死ぬんだ!?」ってビックリしたんです。もともとカルタが亡くなることは想定していたんですけど、だんだんカルタのキャラが立ちすぎて、殺せない雰囲気にもなっていたところだったので。
岡田 監督も危惧していた部分だと思うんですけど、物語の終盤ということもあり、この先でカルタが亡くなる展開を描こうとすると、もともと決定していたほかのキャラクターの死と、タイミングが同時になってしまう。それだとカルタのことをちゃんと描いてあげられなくなるので、それはかわいそうだなと思っていたんです。そのときに、亡くなるんだったらガエリオのところで最期を迎えてほしい、というせめてもの思いからあのシーンが浮かんで、早朝に慌てて書き直したんです。
長井 「殺せないかもしれない」とも思っていたんですけど、カルタとして納得のいく最期でした。
彼らなりに精一杯生きている(長井)
──もうすぐ始まる第2期について、見どころなど教えていただけますか。
長井 キャラクターの人間ドラマもですが、サンライズさんのメカアクションのカッコよさも、もちろん見どころだと思うのでぜひ注目して観ていただければと。個人的には、第1期第19話で寺岡巌さんに大きい戦闘シーンのコンテを担当していただいたときは、本当にコンテからアクションシーンがよくて、その映像を観られることがすごく楽しみだったんですよ。「ガンダムビルドファイターズトライ」で監督を務めた綿田慎也さんにも演出に入っていただいたんですが、そんなベテラン2人にフィルムを作ってもらえて観ることができたのが、僕はとてもうれしかったです。
──思わずファン目線に(笑)。
長井 第2期では新しいモビルスーツも増えますし、第1期にも増してカッコいいアクションシーンを観せていけると思うので、どうか楽しみにしていただければと思います。
──モビルスーツに加え、新キャラクターもたくさん登場しますね。
岡田 第1期では「なんで?」「どうして?」と疑問を持つことで、その状況を説明してくれる“なぜなにくん ”がいないよねと、監督と話していたんです。
長井 主人公の三日月がまったく説明しない子ですからね。
岡田 第2期ということで、新たにイチからスタートするにあたり、その役割を鉄華団の新メンバーである、ハッシュ、ザック、デインには担ってもらっています。
長井 ギャラルホルン側のキャラクターが増えたのは、これから“対ギャラルホルン”という展開が濃くなっていくこともあるので、たくさん登場してもらいました。
──「阿頼耶識と三日月が嫌い」というハッシュを始め、新キャラクターの設定を見ているだけで、どんな物語が展開されていくのか非常に気になります。
長井 どうなっていくんでしょうか……!
岡田 お楽しみに……!
──わかりました(笑)。それでは最後に、放送を楽しみにしている読者へメッセージをいただけますか。
岡田 「オルフェンズ」は群像劇なので、キャラクター1人ひとりの出番は少ないかもしれないですが、みんな付き合いが長くなってきた子たちなので、彼らに対しての思い入れはスタッフそれぞれにもありますし、その思いは声優さんたちからも感じます。そして、これまで観てくださっていた方からも。第2期から観ていただく方々にも、この子たちのことをそこにいる人のように、友達のように思っていただけたらいいな、と思っています。
長井 テーマ性を深く考えている話ではなく、ただキャラクターのあるべき姿を描いていくような作品なので、みなさんも彼らの進む道を一緒に追いかけていただけたらと。彼らなりに精一杯生きているので、皆さんにも応援してもらえたらうれしいです。
- 「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第2期」
2016年10月2日(日)より毎週日曜17:00~
MBS/TBS系列全国28局ネット
キャスト
- 三日月・オーガス:河西健吾
- オルガ・イツカ:細谷佳正
- ユージン・セブンスターク:梅原裕一郎
- 昭弘・アルトランド:内匠靖明
- ノルバ・シノ:村田太志
- クーデリア・藍那・バーンスタイン:寺崎裕香
- アトラ・ミクスタ:金元寿子
- ハッシュ・ミディ:逢坂良太
- ザック・ロウ:古川慎
- デイン・ウハイ:木村昴
- ラディーチェ・リロト:深川和征
- ククビータ・ウーグ:斉藤貴美子
- マクギリス・ファリド:櫻井孝宏
- ラスタル・エリオン:大川透
- イオク・クジャン:島崎信長
- ジュリエッタ・ジュリス:M・A・O
- 石動・カミーチェ:前野智昭
- ほか
©創通・サンライズ・MBS
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長井龍雪(ナガイタツユキ)
1976年生まれ、新潟県出身。アニメーション監督、演出家。主な代表作に「とらドラ!」「とある科学の超電磁砲」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」など。
岡田麿里(オカダマリ)
1976年生まれ、埼玉県出身。脚本家。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」「花咲くいろは」「LUPIN the Third -峰不二子という女-」など、数々の作品でシリーズ構成や脚本を務める。