コミックナタリー Power Push - 「思い、思われ、ふり、ふられ」特集、咲坂伊緒×井上苑子対談
“正反対な2人のヒロイン”描く最新作を、現役女子高生シンガーと大解剖
理央には一番肩入れして描いちゃう
──男子のメインキャラ2人も女子と同じく正反対の性格ですよね。面食いな理央と、まだ恋愛に興味のない和臣。
井上 私がこの中にいたら理央を好きになると思います。面と向かって話すのを恥ずかしがってる由奈ちゃんの顔を触って「なんでいつも下向いちゃうの?」って聞くじゃないですか。あれって天然でやってるんですか。
咲坂 天然ですね。
井上 あんなことされたら絶対勘違いしちゃいますよ! 乾くんのほうはこれからカッコよくなっていくんだろうなって気はします。なんだか今は……。
咲坂 空気ですよね(笑)。この人を描くのが一番難しいんですよ。話の流れ上、まだ出せない設定とかもあるんですけど、正直何を考えているのか私が理解していない部分もあって。その時々で彼が考えているような気持ちに私が追いつけていない。
井上 そういう気持ちの部分って、最初から決めて描いているわけではないんですか。
咲坂 決めてるはずなんですけどね。描いてくうちに「こういう設定にしたからって、本当にこの子はこういう気持ちになるのか」みたいな疑問も出てきちゃって。今は割と泳がせてますね。あと和臣は外見も描きにくいんです。「アオハライド」の田中先生に似ちゃう。
井上 あっ、それちょっと思いました!(笑)
咲坂 「お前、またいる」ってなっちゃって(笑)。理央は「昔話の王子様っぽい」って劇中でも言われている通り、王子様みたいなビジュアルなんですけど、和臣はそれと対比させる形で無頓着な感じにしたんです。あんまりちゃんとしてない、ボサボサな感じが出ればいいなって。でもその感じで描くと田中先生にたどり着いちゃうんですよね。逆に理央は描きやすいですし、最初からめちゃくちゃ肩入れしてます。
井上 えっ、なんでですか?
咲坂 1巻の最後で出てきますけど、色々と抱えているものがあるじゃないですか。飄々としているように見えても、裏ではつらいんだろうなんだなって思っちゃうんです。
恋愛経験豊富な子を嫌がるのはなんでなんだろう
井上 この4人の中で最初にできあがったのは朱里ちゃんなんですか。
咲坂 そうですね。それと対比する形で由奈も出てきて。朱里タイプの読者さんも、由奈タイプの読者さんもどっちも楽しめればいいなって。
──以前のインタビュー(参照:マーガレットコミックス特集 ~あの頃も、これからも!一生少女マンガ宣言~ 第2回 咲坂伊緒インタビュー)で、ダブル主人公という設定で描くというのは難しいとおっしゃっていましたが、1巻分を描き終えてみていかがですか?
咲坂 変わらず、難しいですね。均等に出そうとするとエピソードが薄くなったり、話が進まなくなったりするんです。この2人がお話に対して作用し合ってればいいんですけど、必ずしもそういうわけではないので。とりあえず「ここはこっちのターン」みたいな感じで出していけばいいかなっていうのは、担当さんと話しています。
井上 「ふり、ふら」を描くきっかけみたいなものはあったんですか。
咲坂 マンガのキャラクターで恋愛に積極的な子って、割と読者に嫌がられるじゃないですか。「一途なほうがいい」って。それが理解できないんです。例えば二股をかけているとかならわかるけど、1回1回別れて付き合っているのに、そういう子が敬遠されるのはなんだろうって。確かに私自身もそういう子を見ていて気分がいいわけではないんですよ。それはどうしてかっていう部分から考えた形ですね。「一途の何が偉いのか」っていうのをみんなに尋ねても誰も、明確な答えを教えてくれないんですよ。
──では描いていく中で答えを探していく。
咲坂 答えは出ないような気もしますけどね。それぞれの中にあるものなのかなって。
「ふり、ふら」はタイトルから内容を想像しやすい
井上 タイトルが「アオハライド」とか「ストロボ・エッジ」みたいに、単語じゃなくなったのは理由があるんですか?
咲坂 これまでとは変えたいから、カタカナはやめようと思ってたんです。詩的なものか、みんな知ってるフレーズにしようって。担当さんに「そろそろ教えて下さい」って言われるギリギリまで考えてましたね。口に出しちゃうとすごいポエミーな(笑)タイトルとかも候補にありました。
井上 すごくわかりやすいタイトルですよね。「アオハライド」とか「ストロボ・エッジ」ってタイトルだけだと、どういうお話かわからないじゃないですか。でも「思い、思われ、ふり、ふられ」って言われると、恋愛でいろいろあるのかなって想像できる。素敵だと思います。私、ただなんでも褒める人みたいな感じになってますね(笑)。
──でもそれくらいファンだというのが伝わってきます。
井上 そうです! もともとは一読者だったので今日はお会いできて本当にうれしかったですし、周りの友達もみんな、先生の作品が大好きなので死ぬほど自慢します。「咲坂先生? 知っとるで」って(笑)。Twitterにこの対談のことを書ける日が来るのが待ち遠しいです!
咲坂 LINEとか私の時代にはなかったツールなので、違いはあって当たり前なんですけど、いまの女子高生の子も、告白方法で迷ったりするっていうのを聞けたのはすごい収穫でした。ありがとうございました。
次のページ » あなたのRTで結果が決まる!理央と和臣、どっち派?イケメン対決
ひょんなことから出会ったタイプの違う女子ふたり。恋愛の経験もスタンスも全然違う朱里・由奈が高1になり、相談&応援しあい、されあいながらそれぞれの恋愛に乗り出していく──!
「思い、思われ、ふり、ふられ」はセンターカラーで登場。1巻の続きが掲載されている。表紙および巻頭は、10月31日に実写映画の公開も控えた河原和音原作によるアルコ「俺物語!!」。このほか、渡辺カナ「ハンキー・ドリー」が新連載としてスタートした。
自由奔放なモテ男の理央と、明るく無邪気な和臣。異なる魅力を持つ2人が、支持率をTwitterのRT数で競う。別冊マーガレット(集英社)の公式アカウントから流れる「理央推し」「和臣推し」のツイートを選んで、応援する側をリツイートしよう。特設サイトではRT状況をリアルタイムでお届け。
特設サイトはこちらから!
(投票受付はスマートフォンからのみ)
咲坂伊緒(サキサカイオ)
6月8日生まれ。B型。東京都出身。「サクラ、チル」でデビュー。代表作に、2007年から2010年まで別冊マーガレット(集英社)にて連載された「ストロボ・エッジ」および、同誌にて2011年から2015年まで連載された「アオハライド」。「アオハライド」は2014年7月にTVアニメ化、同年12月には実写映画化を果たしたほか、「ストロボ・エッジ」も2015年に実写映画化された。このほか2013年公開の劇場アニメーション「ハル」ではキャラクター原案も務めている。2015年6月発売の別冊マーガレット7月号より「思い、思われ、ふり、ふられ」を連載中。
井上苑子(イノウエソノコ)
1997年12月11日生まれ。兵庫県出身。11歳から大阪の心斎橋で路上ライブを始め、手売りでCDを1万枚売り上げる。2015年7月にミニアルバム「#17」でメジャーデビュー。リード曲の「大切な君へ」はLINE MUSICで250万再生、YouTubeでも150万再生を突破。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015」にも出演したほか、9月には主演映画「私たちのハァハァ」が公開された。また動画配信サービス・ツイキャスでも活動しており、累計視聴者数は200万人を超える。11月4日にはメジャー1stシングル「だいすき。」をリリース。