「劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編 Paladin; Agateram」|アルトリアが“ぶっ刺さってる”川村壱馬(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)よすぎてマジで知らなきゃよかった…TYPE-MOON愛を語る

スマートフォン向けRPG「Fate/Grand Order」初の劇場アニメとして前後編で制作された「劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-」。アクションとしても、群像劇としても、人間ドラマとしても見応え十分の後編がついに封切られた。

コミックナタリーでは、TYPE-MOONファンである川村壱馬(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)にインタビューを実施。「昔から知ってらっしゃる方からしたら全然新米」と謙遜するも、「真月譚 月姫」やアニメ「Fate」シリーズとの出会いから、「劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-」の見どころまでじっくりと語ってくれた。アルトリアへの思いの深さが滲み出るトークに注目だ。なお映画のストーリー本編に関する内容も含まれているので、鑑賞前にネタバレを見たくない方はご注意を。

取材・文 / 増田桃子 撮影 / 曽我美芽

「我が最後にして最高の、忠節の騎士よ」にグッと来た

──まずは劇場版「Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-」をご覧になった感想から聞かせてください。

川村壱馬

率直にとても楽しませてもらいました。僕が「Fate」シリーズと出会ったのは2年前ぐらいで、「FGO」に関しては正直言ってそれほど詳しくなくて。ゲームも一応プレイしているんですが、まだメインストーリーに追いつけていないんですよ。だから今回の映画は、ほぼゼロに等しい状態だったんですが、最後まで夢中で観ました。これまで僕が観てきた「Fate」シリーズに共通して言えるのですが、情報量も多くてストーリーも複雑じゃないですか。一度観ただけではすべてを理解しきれない深みがあるのが、「Fate」の面白さだし惹き込まれる部分だと思っていて。特に後編は完成前の映像を観させていただいたこともあるので、早く映画館で完成した映像を観たいです。

──本作はベディヴィエールを主人公に据え、彼の目線で物語が描かれました。ベディヴィエールについてはどう感じましたか。

本当に忠誠心が強い騎士なんだろうなと思います。純粋で心がまっすぐというか、ベディヴィエール自身は罪悪感や後悔、贖罪の思いがあったと思うんですが、客観的に見ているとそこまで背負わなくてもいいのにって感じてしまう部分もあって。ただ僕なりにベディヴィエールの思いを汲み取るとしたら、アーサー王に死んでほしくないという気持ちがつらい結果を招いてしまったので、複雑な心情や葛藤を感じながらの旅路だったんだろうなと思います。彼の気持ちを考えると苦しくなりますけど、だからこそ最後の「我が最後にして最高の、忠節の騎士よ」という獅子王からの言葉にはグッと来ましたね。やっとベディヴィエールが報われた気がして。

──ベディヴィエールを含む円卓の騎士たちは、それぞれが自分なりの忠誠心を持って行動していると思うのですが、川村さんは共感できる部分はありますか?

うーん、どうだろう。めちゃくちゃ共感できるキャラクターがいる、というわけではないですが、僕も間違ってることは間違っていると言いたくなってしまうタイプなので、ベディヴィエールの気持ちはなんとなく理解できます。さすがに王を倒しに行くところまではいかないにせよ、信頼した人に対する愛情みたいなのはけっこう強いタイプだと思うので……。もし自分がこういう世界観を生きていたら、ベディヴィエールのような行動を取っているかもしれないですね。その人のことを大事に思うからこそ、間違ってることは間違ってると言える人間でいたいです。

マシュとランスロットのバトルシーンは胸アツ

──前編・後編それぞれ、特に印象に残ってるシーンやセリフはありますか?

前編ではまずガウェインが難民を一方的に虐殺していくシーンが衝撃的でしたね。「ちょっと待って待って!」って(笑)。その後、ルシュドのお母さんが殺されたシーンもつらかったですし。あとラストでアーラシュが「流星一条(ステラ)」を撃つシーンもとても印象に残っています。

──確かにあのシーンは感動的でした。後編はいかがでしょう。

後編はマシュとランスロットのバトルシーンが好きですね。まさかの展開で胸アツでした。マシュとランスロットの関係は予想外で驚かされたのと、びっくりしながらもマシュの気迫にはシンプルに感動しましたし、マシュこんなに強かったんだなって思いました(笑)。それにマシュがランスロットを「お父さん」って呼んだときに「その呼び方は心臓に悪い」って言う、ランスロットのギャップがちょっとかわいくて。全体的にシリアスなストーリーの中、あの親子の戦いはよかったですね。

──後編は特にいろんな組み合わせのバトルシーンが見どころかと思います。マシュとランスロットもそうですし、ガウェイン対ランスロット、ベディヴィエール対ガウェイン、ハサン対トリスタンなど多くの戦いが描かれていますね。

そうですね。バトルシーンで言うと、三蔵とモードレッドもめっちゃ感動的でした。それぞれいろんな理由や思いを持って戦っていますが、散り際としては一番切ないラストだったなと。

──あの2人のバトルはゲームには登場しない、劇場版オリジナルシーンだそうで。

へー! そうなんですね。最後に三蔵がモードレッドを膝枕するシーンは、「これ、絶対やばいやつだ」と思いながら観てました。劇場で観たら泣いちゃいそう、マジで(笑)。

アルトリアがもろにぶっ刺さりまして(笑)

──川村さんはご自身のSNSなどでも「Fate」シリーズがお好きだと公言されてますよね。「Fate」シリーズとの出会いについてお伺いしたいのですが、何がきっかけだったのでしょうか。

川村壱馬

きっかけは、先輩であるGENERATIONSの佐野玲於さんに薦められたことからですね。玲於さんとはよくマンガやアニメの話をする機会があるのですが、当時、玲於さんが「『Fate』が好き」「すごく面白いよ」っておっしゃっていて。僕もタイトルは以前から聞いたことがあって、ずっと気になっている作品ではあったんですが、正直どこから観ればいいのかわからなくて。そしたら玲於さんが「こういう時系列で観るといいよ」って順番をまとめているサイトを教えてくださって(笑)。それを参考にしながら観始めました。

──確かに、「Fate」シリーズを途中から追いかけるのはハードルが高いですよね。最初は何からご覧になったんでしょうか。

最初はアニメ「Fate/stay night」(※)を観たんですが、アルトリアがもろにぶっ刺さりまして(笑)。ドンピシャにハマりました。

※2006年に放送された、スタジオディーン制作のTVアニメ。

──(笑)。アルトリアのどんな部分に惹かれたのでしょう。

なんて説明したらいいんだろう……。一番はかわいいかわいいしてないところですかね。騎士としての高潔な感じがあって凛々しくて、でもちょっとしたことで素が出たときにはかわいらしさがあって……。褒められたら急に照れたりとか、ちょっと大食いだったりするのもたまらないですよね。「いっぱい食べてくれ!」ってなります(笑)。

──本当にお好きなんですね(笑)。

はい(笑)。あとアルトリアの声優の川澄(綾子)さんの声もめちゃくちゃ好きで、それも含めてアルトリアが好きなんですけど……。あ、もちろんアルトリアだけじゃなくて「stay night」自体が本当に面白くて。昔の作品だからといって、今の作品に劣るかといったら、まったくそんなことないですし。自分の中で今まで観たことがないような新しいものと出会えたというか、知ってよかったみたいな気持ちになりましたね。だから僕の中では「stay night」が原点であり最高傑作。まあ最初に観たっていう補正もあるでしょうし、アルトリアがぶっ刺さっちゃったっていうのも大きいんですけど(笑)。

──アルトリアへの愛がすごい(笑)。

去年「FGO」でキャスターのアルトリアが実装されたとき、がんばったのですがご縁がなくて……(笑)。

──(笑)。では「stay night」の次は?

次は「Unlimited Blade Works」です。急に映像がめちゃくちゃきれいになってビックリしました。

──「stay night」と「Unlimited Blade Works」では放送された年月が10年ぐらい空いていますから、やはり映像の進化はすごいですよね。「Unlimited Blade Works」はいわゆる“凛ルート”ですが、そこで凛が好きとはならずにやっぱりセイバーがいいなと?

そうですね……(笑)。でもやっぱり作品を観ているときは凛にもドキドキしました。あー、セイバーはそういう立ち位置になるんだなと思いつつ、観ていた記憶があります。その次は「Fate/Zero」ですね。

──素晴らしい順番ですね(笑)。「Zero」は「Fate/stay night」の10年前という設定なので、物語の時系列でいうと「Zero」のほうが古い作品になりますが。

でも時系列が先だからこそ、「Zero」を先に観なくてよかったなと思いました。「stay night」と「Unlimited Blade Works」って主軸は同じで、ヒロインのルートが違うっていうパターンでしたが、その2シリーズとはガラッと世界観が違っていて。10年前の切嗣が出てきたり、サーヴァントも全然変わってるので新鮮な感覚で楽しめました。

──特に好きな陣営はありますか?

ランサーが好きでしたね。いろいろと大変な陣営でしたけど(笑)。あとライダー陣営のでかいライダー……イスカンダルか。イスカンダルとウェイバーのやり取りも面白かったです。あー、「Zero」ももう1回観ないとな……。

──では「Zero」の次は?

「Fate/Apocrypha」を観ました。サーヴァントが7対7で戦うんですよね、赤陣営と黒陣営で。どっちもカッコよくて、どっちを応援していいかわからなかったです(笑)。その後は「Fate/stay night [Heaven's Feel]」ですね。ただ第三章がちょうどコロナ禍だったこともあって映画館に観に行くことができず……。あれこそ映画館で観たいと思ってたんですけど、叶わずでした。

劇場版「『Fate/stay night [Heaven's Feel]』III.spring song」ビデオリマスター版を、特別な意味を持つ“春”に上映する企画の告知ビジュアル。

──「『Fate/stay night [Heaven's Feel]』III.spring song」は、ちょうど3月末から4月にかけて映画館で特別上映をやってるんですよ。「Heaven's Feel」のヒロインの名前が桜であることと、物語にとって特別な意味を持つ春に上映しよう、ということで。

え、そうなんですか? まだ観れるんですかね。

──もしかしたらちょうど終わった頃かもしれませんが……。(この取材は4月上旬に行われた。)

うわ、マジか。行きたいな……上映してる映画館探してみようかな……。