大久保篤原作のTVアニメ「炎炎ノ消防隊 弐ノ章」が、MBS、TBS、BS-TBSほかにて7月から放送中だ。人体発火現象と呼ばれる謎の脅威に立ち向かう特殊消防隊の活躍を描いたファンタジー作品のアニメ化第2シリーズで、昨年放送された「壱ノ章」の続編となる。
コミックナタリーでは、同作の熱心なファンであることを公言してやまないEXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBEのパフォーマー・世界にインタビューを実施。作品の魅力についてはもちろん、自身のマンガやアニメとの向き合い方についても存分に語ってもらった。
取材・文 / ナカニシキュウ 撮影 / 曽我美芽
今期のアニメはヤバいです
──世界さんがアニメ好きであることをまだ知らない読者もいると思いますので、まずそのお話から聞かせてください。「人並み以上にマンガやアニメが好きかも」と自覚したのはいつごろでしたか?
小学校低学年くらいです。一人っ子で、母親が働いていたので1人で時間をつぶすことが多くて、自然とマンガやアニメ、ゲームなどに熱中するようになりました。当時からダンスもやっていたのですが、周りのダンス仲間は大学生以上の大人ばかりで、子供は僕1人しかいなくて。それで大人が好むようなマンガも彼らと一緒に読むようになり、クラスのほぼ誰も知らないような作品もたくさん読んでいました。もちろん、学校の友達とメジャーな作品の話で盛り上がったりもしてましたけど。
──当時のメジャー作品というと、例えば「ONE PIECE」とか?
そうですね。あと「NARUTO -ナルト-」とか、アニメでは「ドラゴンボールGT」が放送されてた時代です。クラスの子たちとはその辺りの話を一番してました。ただ、僕は週刊少年マガジン(講談社)と週刊少年ジャンプ(集英社)、週刊少年チャンピオン(秋田書店)を毎週買って読んでいたのですが、そんなふうにマンガ雑誌を熱心に読むような子はほかにいなくて。「はじめの一歩」は今でもずっと大好きですが、当時クラスに読んでいる子はいなかったです。その時期に、周りの人以上にマンガ好きなのかなと自覚しはじめた気がします。
──「はじめの一歩」のほかに、クラスで世界さんだけが読んでいた作品にはどんなものがありました?
いろいろあるんですけど、ありすぎてパッと思いつかないです(笑)。アニメだと「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」かな。ダンサーの先輩たちとよくその話をしていたのですが、クラスでは誰も観てなかったような気がします(笑)。今思えばすごい声優さんがたくさん出ていて、声優という存在を意識するようになったのもその頃だったと思います。「このキャラの声、あのキャラと同じ人なんだ!」みたいな。
──今現在、アニメはどの程度ご覧になってます?
けっこう追いかけてますね。今シーズンだと「炎炎ノ消防隊」はもちろんですけど、「Re:ゼロから始める異世界生活」とか「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」とか、ずっと楽しみにしていた続き物が多いです。4月クールから放送がずれ込んだ作品もたくさんあるので、今期はヤバいです(笑)。もう寝る時間を削って観ています。疲れていても、アニメを観ることで体力も気力も回復するんですよ。アニメからはダンスの動きなどをインスパイアされることも多いですし、大きな活力になっています。
「炎炎」はとにかく音がカッコいい
──「炎炎」との出会いは原作からですか?
そうです。「ソウルイーター」を好きで読んでいたので、普通に「大久保先生の新作だ!」と読み始めたことがきっかけです。去年アニメ化されたときは、観た瞬間に「これヤベえ!」と思いました。
──どのあたりが「ヤベえ」と?
神作画すぎて。あと効果音がすごいんです。特に印象的なのが「壱ノ章」第拾四話で(新門)紅丸が紅月っていう技を繰り出すシーンなのですが、ブゥーンって音が割れるような表現があって。ダンスミュージックのSEとかにも使われそうなサウンド感で、めちゃくちゃカッコいいなと思いました。アニメでもダンスでも、効果音は好きなのでつい注目しちゃいます。「炎炎」はとにかく音がカッコいいです。
──音楽畑の人ならではの視点ですね。ほかにはどんな魅力を感じます?
やっぱり世界観がすごいです。「炎」という1つのモチーフだけで、これだけ多様なドラマを作り出せる発想力は大久保先生ならではといいますか。キャラクターそれぞれの人生が全部炎と絡んでいて、それによって人と人がつながったり、逆に途絶えたりというドラマがある。同じ炎でも、人を導くものにもなれば滅ぼすものにもなるっていう両面がある。シンラの「俺の炎は人を護る炎だ!!!」っていうセリフもありましたよね。
──ちなみに、お好きなキャラは?
それ、やっぱり聞かれますよね(笑)。1人選ぶのは難しいですが……ジョーカーですかね。ああいうダークヒーロー的な感じが、たぶん男の子はみんな好きだと思います。津田健次郎さんの声もいいですよね。マンガを読むときに勝手に脳内で声をあてる人って多いと思うのですが、僕もそれよくやるんです。そのうえで実際にアニメ化されたジョーカーの声を聞いたときは、理想通りすぎて「これだわー!」ってなりました。キャラクターと声優さんがものすごくマッチしているのも魅力だと思います。
──そんなジョーカーの出てくるお気に入りのシーンはありますか?
全部カッコいいんですよね、あの人は(笑)。まだアニメ化されていないところですごく好きなシーンがあるんですが、言っちゃうとネタバレになるので、そのエピソードをアニメで観られる日を楽しみにしておきます。ジョーカーはここぞというときに決めてくれる感じが好きなのですが、そういう意味ではアーサー(・ボイル)も好きです。思い込みで強くも弱くもなるっていう、今までのマンガやアニメにいそうでいなかったキャラだなと。ギャグ要員としての要素も強いですが、いきなり本質を突いてくるあたりなどは、さすが騎士王だなと(笑)。
──では“推し”的な意味合いではいかがでしょう。
推しはハウメアです。
──それはどういった理由で?
シンプルに見た目が好きです(笑)。もちろん釘宮理恵さんの声もいいですし。大久保先生の描く女性キャラって、すごくかわいらしく見えるんです。単に“エロい”とかだけでじゃない魅力があって、どのキャラも闇を抱えたような強い目をしているところがすごくいいなとって思います。ハウメアの目は隠れていますけど(笑)、アイリスにしてもタマキ(環古達)にしても、そういうところが魅力的です。
ウインドミルからヘッドスピンしてトーマス
──主人公のシンラ(森羅日下部)がブレイクダンスを踊っているかのような動きでバトルをするアクションもこの作品の魅力のひとつだと思います。世界さんは、プロのダンサーとしてどう観ていますか?
アニメだと「壱ノ章」第参話のジョーカー戦が最初だったと思うのですが、確かウインドミルからヘッドスピンしてトーマスフレアだったと思います。その3つの技をつなげるのって、けっこう難しいんです。しかもシンラの場合は回転数もスピードもめちゃくちゃあるので、アニメで動くところを観たときは「こんなにうまいんだ!」とびっくりしました。普通にダンサーとして食べていけるレベルです(笑)。
──僕のような素人が観ると「かっけー」だけで終わってしまうんですが、プロ目線でも申し分ないクオリティであると。
もうちょっと記号的というか、1つひとつの技がハッキリと攻撃技に変換される感じなのかなと予想していたんです。でも実際はめちゃくちゃ流動的でスピード感もあって。ダンサー目線的にはとってもアガりました。あと、一般の方は「ブレイクダンス」という言葉を使うことが多いと思うんですが、シンラは「ブレイキン」って言うんです。その単語が出てくるのがすごい。
──ああ、なるほど。わかってる人からしか出てこないワードというか。
はい。ちゃんと調べているんだろうなって。ブレイキンに関してはシンラは僕よりできるんで、自分がBボーイじゃないことが悔やまれます(笑)。
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「お前、トミノに会ったのか?」