20代男性キャラクターへの初挑戦に少し戸惑いも
──三森さんは第1話に続いて第2話にも出演されました。今回は少彦名に加えて新たに坂本又八郎を演じられましたが、どういうキャラクターをイメージして収録に臨まれましたか?
江戸っ子っぽい、少し威勢のいい感じを出そうと思っていました。私も家族も全員東京出身の江戸っ子なので、その勢いを出せたらなと。ただ私は20代の男性を初めて演じたので、少し戸惑いもありました。
──多くのキャラクターを演じられている三森さんなので意外です。確かに男性キャラクターでも子供の役ばかりですね。
そうなんですよ。「毎度!浦安鉄筋家族」の大沢木小鉄とか「フューチャーカード バディファイト」の如月暁は男の子なので、今回は20代の男性と聞いて途端にハードルが高く感じました。それはもう男性の声優さんじゃないと出せない声なんじゃないかとも思いますけど(笑)、又八郎は少彦名が転生した姿なので私が演じさせていただきました。
──収録を見学して、しっかり元気な棟梁の声だったと感じました。あと三森さんは“道後”の発音にも気を付けられていましたね。道後(↑)と道後(↓)のどちらが正しいのか。
「道後の湯」というところですね。収録前に、水樹さんに「道後(↑)の湯なんですか?」と聞いたら、水樹さんが「いや、地元の人はみんな道後(↓)としか言わないかな」とおっしゃっていて。それを聞いていたのに本番で道後(↑)と間違えちゃいました(笑)。
──地元の人がいると心強いですね。三森さんは本作の発表会で2019年5月に道後温泉に行かれていましたが、印象に残っていることはありますか?
街並みがすごくきれいでした。勝手に古い街をイメージしていたんですけど、歴史情緒がありながらもきちんと整備されていて、すっきりとした街で観光しやすそうだと感じました。
──残念ながらお風呂には入れなかったんですよね。
はい。飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)の中は見させていただいたんですけど、バタバタしていて入れませんでした。また行きたいですね。
──そんな三森さんには酷かもしれませんが、最後に道後温泉に行きたくなるような一句を五・七・五でください。
えー! なんだろうな……「道後の湯」、「神話の湯」……。
──無茶振りしてすみません。
「道後の湯 神話の世界 浸かりたい」でどうでしょう? 難しい!
- 三森すずこ(ミモリスズコ)
- 6月28日生まれ、東京都出身。ミュージカル女優として活動した後、2010年アニメ「探偵オペラ ミルキィホームズ」や「神様はじめました」「ラブライブ!」など人気作で主要キャラクターを担当。アーティストとして2013年にソロデビューを果たす。2019年にはブロードウェイミュージカル「ウェスト・サイド・ストーリー」でアニータ役を務め、本格的なミュージカルにも復帰した。
今回の火の鳥は新たな感情が芽生えたのでは
──前回、水樹さんは火の鳥というキャラクターについて「抑揚を付けたり感情を込めすぎたりするとイメージから離れるので演じるのが難しい」とおっしゃっていました。今回も同様に感じましたか?
前回のアフレコから間を空けずに演じさせていただけたこともあって、スッと役の中に入ることができました。今回は火の鳥のどんな思いが込められているか……しっかり解釈し、それを短いセリフの中にどう組み込んでいくかがポイントでした。
──今回の火の鳥の思いをどう考えられますか?
限られた命を生きるからこその全力さに触れ、長い時を生きる火の鳥には、これまでに体感したことない感情が芽生えたんじゃないでしょうか。自分にもまだ知らないことがあることを知った喜びもあったのではないかと感じたので、第1話で演じたときよりも前向きな音色を声に乗せようと思ったんです。ただ火の鳥は超越した存在なので、そうした感情も出しすぎず、あくまでスパイス程度で入れられたら……と。
──それをたった二言の中で表すのは大変そうです。
難しかったです(笑)。
──第2話では、水樹さんにとって伊予観光大使の先輩である友近さんがナレーションとマドンナを担当されます。これまで共演したことはありますか?
愛媛県関連のイベントや歌番組でご一緒させていただいたこともあります。本当に多才な方で、テレビを観ていた印象から朗らかなイメージが強かったのですが、実際にお会いして、芸に対して、とてもストイックな方という印象に変わりました。
──第2話では正岡子規や夏目漱石といった愛媛に縁の深い人物が登場しました。彼らが知己で、一緒に道後温泉に入ったという話はご存じでしたか?
なんとなく知っていたくらいです。台本を読んで、きちんと知りたくなり、おふたりのことや道後温泉本館が建てられた経緯を勉強し直して第2話の収録に臨みました。実は私いろんな建築を見るのが好きなので、本館の建設にまつわるエピソードには心躍りましたし、子規と漱石という真逆な性格の2人が松山で一緒に過ごした52日間も、とてもドラマチックなもので……。歴史に刻まれた時間を、アニメを通じて触れられたことがうれしかったです。
──最後に、道後温泉に行きたくなるような一句を五・七・五でお願いします。
えー!! どうしようかな……「いるだけで 心も体も ほぐされる」。
──ありがとうございます。松山の学校では何かと俳句を作らされる習慣がありますが、水樹さんの育った新居浜でもそうでした?
新居浜の学校でもよく俳句を作ってました! 松山のように大きな大会などはないですけど、小学校の頃から俳句や標語を作って応募するという機会がありました。
──その経験が活かされた一句、いただきました。
いえ、なんか普通のことを言っただけみたいになっちゃってすみません!(笑)
- 水樹奈々(ミズキナナ)
- 1980年1月21日生まれ、愛媛県出身。1997年に声優としてデビューし、「魔法少女リリカルなのは」「ハートキャッチプリキュア!」「NARUTO -ナルト-」といったアニメ作品で人気を集める。2020年、歌手デビュー20周年イヤーに突入した。
道後温泉自体も周りの町並みも好き
──「火の鳥“道後温泉編“」というアニメプロジェクトを知った際の印象を教えてください。
ワクワクしました。
──「火の鳥“道後温泉編“」第2話の内容について、どんな印象を持たれましたか?
勉強になりました!
──「火の鳥」の原作、もしくは手塚治虫作品を読まれていたら、印象を教えてください。
夢があるからなんかやる気が出る。
──過去に道後にある旅館で仲居をされ、本作の発表会でも「自分の家の風呂のようなもの」とおっしゃっていた道後温泉に、最近は行かれていますか?
行ってます。道後温泉ももちろんなんですが、周りの街並みも好きです。タイムスリップした感と現代アートの融合が好きです。
──道後という街の一番の魅力を教えてください。
山、海、空港、繁華街が近い!
──道後温泉に行きたくなるような一句をお願いします。
「桶の音 早朝響く 湯の屋代」。
- 友近(トモチカ)
- 1973年8月2日生まれ、愛媛県出身。2000年にNSC大阪校に23期生として入学し、後に吉本興業に所属。細かい人物描写で、さまざまなキャラクターになりきる芸風で人気を集める一方、女優としても活躍。2019年には映画「嘘八百」で日本批評家大賞助演女優賞を受賞した。