2004年版に比べて今回のアニメはほっとする
──小村さんは「火の鳥“道後温泉編”」第1話から参加されていますが、このプロジェクトを知った際にどう感じましたか?
「火の鳥は本当に道後温泉にいたのかなあ」なんて思って、興味が湧きました。あと道後温泉にもぜひ行ってみたいなと。
──一度も行かれたことはない?
うん、行った人の話はよく聞くんですけどね(笑)。みんな「普通の温泉だと思っていくと溺れるよ」って。浴槽がとっても深いみたいで、背の低い人は溺れそうだったとか。だからアニメの第2話で漱石が泳いでいたけど、泳げるほど深いんですよ。
──小村さんは第2話ではその漱石を叱る猿田彦として出演しますが、2004年のTVアニメ「火の鳥」でも猿田彦を演じられていました。
そう、僕が2004年のアニメでやったのは猿田彦や猿田博士、我王と重たい役ばかりだった。命がけで追い詰めたり追い詰められたり、みたいな。だから今回のアニメは子供から大人まで温泉に浸かって観られるような内容なのでほっとしますね。手塚先生が猿田博士に託された思いが柔らかく表現されているというか。今後、彼と火の鳥との関わりが見えてくると面白いかなと期待しています。
──水樹奈々さんが演じる火の鳥はどう感じますか?
とても透明感があって神々しくて、さすがですね。もったいないので、もっと長いドラマで聞いてみたいくらい(笑)。
──小村さんは過去に舞台「火の鳥」の演出と脚本もされていました。「火の鳥」という作品にどういう印象をお持ちですか?
「火の鳥」には永遠の命や命の尊さという要素がありますが、テーマが大きいおかげで1本の舞台にするのがすごく難しい。ただ「羽衣編」を読んだときに「これなら舞台にできるな」と思ったんです。あの話は生きた時間の長さではなく、生きてる間に生きがいを見つけられるかどうかというテーマなので、舞台化させてもらいました。やっぱり「火の鳥」はスケールが大きいという印象が強いです。
──確かに。それでは最後に道後温泉に行きたくなるような一句を五・七・五でお願いします。
なるほどね……「火の鳥を 探して行き着く 道後の湯」かな。
- 小村哲生(コムラテツオ)
- 7月31日生まれ。1974年に映画「野球狂の詩」で俳優デビューし、1980年代後半から声優活動を開始する。声優としての出演作は「赤ずきんチャチャ」(オッスくん、シンちゃん、大魔王役)、おじゃる丸(エンマ大王役)など。
声優って世の中で一番すごい仕事をしてるんじゃ
いやー、今回は難しかった!
──(笑)。第1話で演じた大国主に加えて、今回は新たに伊佐庭如矢(道後湯之町初代町長)の声をあてられましたが、前回以上に大変でしたか。
まず絵を見てセリフをしゃべること自体が難しいことだとは、前回ひしひしと感じたんです。それが今回はさらに全然違うキャラクターになって。しかも大国主は自分と全然違うキャラクターだったのでなりきることができるけど、伊佐庭町長は年齢設定が自分と近いのでどういうテンションでしゃべればいいのか悩んでしまい……難しかったです。
──収録ではナチュラルな演技を求められてましたね。
はい。伊佐庭町長はちょっと落ち着いたキャラクターなのでぐっと噛み締めてしゃべらなきゃいけなかったんですけど……汗かいちゃいました。たまにこういう刺激になる仕事があるといいですね。2019年で芸能生活25周年を迎えて、これまで俳優、歌手、ナレーション、リポーターなどいろんなお仕事をさせてもらいましたが、声優だけはあまり経験がなくって。この仕事を通じて勉強中です。
──でもキャラクターがこける仕草に「ズコー」とアドリブを入れたりするところとか、ミキシングルームでは好評でしたよ。
それで誤魔化すしかなかっただけです!(笑)
──前回も共演した三森さんが坂本又八郎に声をあてられているときは「坂本さん、こんな声してたんだ」とつぶやかれていましたね。
すごいよね、少彦名と又八郎でまったく別の声になってるもん。違う人が演じているのかと思いました。声優さんって、たぶん世の中で一番すごい仕事をしてるんじゃないでしょうか。
──でも第1話の配信時には、つるのさんの演技も周りのキャストさんから好評でした。
僕は全然自信がなくて「大丈夫かなあ」と思いながらスタジオから帰ったんです。でもいざ配信されたら、Twitterで三森さんや水樹さんのファンと思われる耳の肥えた方々からも「これ、つるのじゃん!」と言っていただけて。皆さんの編集のおかげですけど、足を引っ張ってなくてよかったです。
──前回インタビューさせていただいた際に「道後温泉にまだプライベートで行ったことがないから家族と行きたい」とおっしゃっていましたね。
まだ行けていないんですけど、今日ちょうど、番組で共演している南原(清隆)さんが正月に道後温泉に行くという話を聞いたんですよ。だから僕も行きたいなと。
──では、まだプライベートでは訪れてないんですね。家族以外で一緒に訪ねてみたい方はいますか?
芸能界の友達とか? うーん、1人でゆっくりしたいです(笑)。
──最後に、道後温泉に行きたくなるような一句を五・七・五でお願いします。
道後温泉って街の中にあるのがいいんですよね。だから「我が町の 漂う湯気は 道後の湯」とか? 身近にあるお湯っていう感じで。
- つるの剛士(ツルノタケシ)
- 1975年生まれ、福岡県出身の歌手、俳優、タレント。当初は役者としてデビューし、1997年の「ウルトラマンダイナ」主演で知名度を高める。2009年にソロアーティストとしての活動をスタートさせた。
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三森すずこ・水樹奈々・友近インタビュー