少し演じただけなのに汗びっしょり、声優さんってすごい
──つるのさんにとって、アフレコは2017年のTVアニメ「モンスターハンター ストーリーズ RIDE ON」以来ですよね。
そうです! 以前に「モンハン」や「サザエさん」に出演した際はほぼ自分の素の声そのままだったのでそんなに困んなかったんですけど。でも今回は大国主というキャラクターを演じたので、一言二言しゃべっただけなのにもう汗びっしょりですよ……!(笑)
──普段のつるのさんの声とは全然違っていて驚きました。
はっはっは(笑)。いやあ、難しかったですねえ。大国主は恰幅がいいキャラクターだったので、「(自分の素の声ではなく)ちゃんと声を作ったほうがいいかな」なんて思いながら収録に臨んだんですけど。今日は三森(すずこ)さんが一緒にいてくれたので、小さくてかわいらしい少彦名役の対比としてどんなふうに演じればいいかわかりやすかったです。
──三森さんの演技の印象はいかがでした?
とにかく「声優さん、すごいなあ……」って。僕なんかは全然慣れてないので、まずどこに台本を置いてマイクに向かえばいいのかすらもわからないっていう感じで。今年で芸能生活25周年になるんですけど、こういう刺激的なこともあるんだなとうれしくなっちゃいました。ナレーションともまた全然別ですからね。これから少しアニメの観方が変わってくるなって思います。
──ここからは「火の鳥」について伺います。アフレコ前、つるのさんの叔父さんが「火の鳥 黎明編」が掲載されていたCOM(虫プロ商事)の編集者だったとスタッフ陣に話されていました。今回のオファーはその縁があってのものなのでしょうか?
全然そんなことなくて! だからその話をしたら皆さんびっくりされるんです。叔父さんは手塚プロダクションで描いてもいたので、うちに原画がいっぱいあるんですよ。手塚先生風のタッチで。でもそんなことは誰も知らなかったと思います。昔からプライベートで付き合いのあった手塚るみ子さんにはその話をしたことがあったんですけど、先日Twitterでやり取りしたら忘れられていましたし(笑)。
イラストレーターの叔父が大昔、虫プロ出身ということもあり、更なる御縁を感じ感慨無量です。今日は、るみ子さんもいらっしゃるかと思ってましたが、またの機会お会いできる日を楽しみにしております!
— つるの剛士 (@takeshi_tsuruno) 2018年12月9日
──不思議な縁があるんですね。ちなみに「火の鳥」はもともと読まれていましたか?
10代か20代の頃に一度読みましたけど、正直、当時はよくわかんなかったです。ただ、うちの奥さんがマンガ好きで、手塚作品がうちにいっぱいあるんですよ。もちろん「火の鳥」も全巻。この歳になって初めてわかることもたくさんあると思うので、改めて読んでみようかなと思います。
──今回その「火の鳥」と道後温泉がコラボレーションしますが、つるのさんは何度か道後温泉に行かれたことがあるとか。
はい。僕はいろんな温泉地にロケで行かせてもらってるんですけど、街から離れたところにあるほかの多くの温泉地と違って、道後温泉は街中にドーンとあるのが独特ですよね。だから本当に街の皆さんに慣れ親しまれていて、シンボルの1つになっているっていうイメージがあります。ただ、実際に温泉に入ったことは一度もないんですよ。
──では2018年12月に道後温泉で行われたこのプロジェクトの会見に参加されたときも、入れなかったんですね。
そうなんです。だから次はプライベートで家族と一緒に温泉に入りに行きたいですね。これまで入れなかったのは、次のために取っておいたということで!
──(笑)。では最後に、このプロジェクトへの意気込みを教えてください。
道後温泉のこれまでの歴史を振り返り、これから新しい歴史を作っていくための「道後REBORNプロジェクト」に携われることは光栄なことです。世界各国からいろんな人が集まってくる場所だし、このアニメ「火の鳥“道後温泉編”」も多くの人に観られると思います。大役の大国主が僕なんておこがましいし、まだ余裕はないですけど、少しでもプロジェクトに貢献できるようがんばりたいです!
- つるの剛士(ツルノタケシ)
- 1975年生まれ、福岡県出身の男性シンガー、俳優、タレント。当初は役者としてデビューし、1997年の「ウルトラマンダイナ」主演で知名度を高める。2009年にはソロアーティストとしての活動がスタート。アーティスト活動10周年を迎えることを記念し、4月17日にベストアルバム「つるの剛士 ベスト」をリリースする。
一緒に道後温泉に行きたいのは橘田いずみちゃん
──アフレコはいかがでしたか?
少彦名というキャラクターのデザインを最初に見たとき、男の子なのか女の子なのかわからないけど、すごく愛着が湧きそうなキャラクターだと思っていました。今日実際に演じてみて、大柄な大国主の対比がすごくコミカルで楽しかったです。
──その大国主役のつるのさんの声優としての印象はいかがでしたか?
演技が大国主のイラストとマッチしていて。「うわあ! すごーい!」って思いました。
──本当に、声優が本業のような演技でしたよね。
つるの (インタビュー部屋の外から)やーめーてー!
あはは(笑)。つるのさんがいろんなパターンを録られていたとき、「これもいいな、これもいい」と心の中でひとり音響監督していたくらいです。
──では三森監督が太鼓判を押したということで。それと水樹さんとは歌手としての共演はありますが、声優としての共演は珍しいですよね。
そうなんです。最近は音楽番組で2回ご一緒させてもらいましたが、声優としてはすごく前に水樹さんが主演したアニメに出させてもらったとき以来です。そのときの私はただ泣き叫ぶ女の子のキャラクター役だったので、水樹さんは本当に遠いというか、私から話しかけるなんてとてもできない存在で。そんな憧れの存在だったので、火の鳥を水樹奈々さんが演じられると聞いて、神々しい感じがぴったりだと思いました。
──2人とも声優として第一線で活躍されているので意外でしたし、久々の共演作が「火の鳥」というのも驚きでした。ところでもともと「火の鳥」は読まれてましたか?
はい。学校の図書室にずらっと並んでいたのもあって、隣の席の友達がいつも真剣に読んでいて、一緒に読んでいました。小学校低学年ぐらいの頃なので、何編だったかの記憶も曖昧なんですけど。
──小学生にとって「火の鳥」は少し理解するのが難しいかもしれませんね。
確かに。でも最近少し読み返したときに、人間の本質的なことが描かれていてすごく深い内容だと感じたので、改めてチャレンジしたいと思います。
──今回のプロジェクトはその「火の鳥」と道後温泉によるコラボレーションとなります。三森さんは道後温泉を訪ねたことは?
実は行ったことがないんです。でも今回関わらせてもらうことになってぐっと身近に感じていて、ふと道後温泉のことを検索したりして。これをきっかけに自分の興味が広がるかもしれないと思い、ワクワクしました。
──道後温泉は女子旅で行きたい温泉地として人気が高い場所です。声優仲間で一緒に行きたい人はいますか?
同じ事務所で、ミルキィホームズでずっと一緒だった橘田いずみちゃんでしょうか。一緒にお風呂に入るって、やっぱ心を許した友達じゃないと、みたいなところがあるじゃないですか。橘田さんとは小樽の温泉にも行ったことがあるし、家に泊まりに行ったときも、一緒にお風呂に入るくらい仲良しなので、道後温泉にも行きたいですね。美肌効果を狙って(笑)。
──ありがとうございます。最後に今回収録されたアニメの注目ポイントを教えてください。
手塚治虫作品らしい、キャラクターのかわいらしさやコミカルさですね。少彦名もどこかポチョっとしていて丸っこくてかわいいいですし。あと、この作品を観ることで道後温泉の成り立ちなどを楽しく自然に知ることができるので、たくさんの人に観てほしいです。
- 三森すずこ(ミモリスズコ)
- 東京都生まれの声優、ボーカリスト。ミュージカル女優として活動したのち、2010年アニメ「探偵オペラ ミルキィホームズ」のシャーロック・シェリンフォード役で声優デビュー。以来同シリーズや「神様はじめました」「ラブライブ!」など人気作で主要キャラクターを演じる。アーティストとしては、「ミルキィホームズ」の出演声優からなる同名ユニット、「ラブライブ!」の劇中ユニットμ’sの一員として活躍。2013年にソロデビューし、2月にはミニアルバム「holiday mode」が発売された。
2019年12月16日更新