猫がいないほうがストレスですから
──描き下ろしマンガの冒頭にも「猫と暮らし20年」とありますけど、昔から猫を飼われているんですね。子供のときからですか。
そうですね。最初に飼ったのは高校生のときだったかな。たまたま母の知人が猫を拾ってきたのをもらって飼い始めたのがきっかけでした。実家を出たときも、やっぱり友達から「猫を拾ったので飼わない?」って言われて、「いただきます」と。友達や知り合いから声をかけてもらって、そのまま受け入れていることが多いです。実家を出てから少しの間、猫がいない生活もしてたんですけど、その期間以外はずっと猫を飼ってます。代替わりはしてますけど。
──今は2匹いらっしゃるんですよね。
はい。母親と一緒に暮らしていたときは母も2匹飼っていたので、私の1匹と合わせて合計3匹いたこともありました。人間の数以上は増やさないほうがいいって話も聞くんですが、やっぱり2匹以上は常にいてほしいですね。複数いたほうが猫も楽しいかなと思いますし、それに数が増えればその分かわいさも倍ですからね。
──猫と生活するうえで気を使っていることはありますか?
うーん、気を使うってことは特にないですね。アロマが嫌いらしいって話を聞いたので、それからはあまり置かないようにしているぐらいでしょうか。もうそばにいてくれればそれでいいというか、猫がいないほうがストレスですからね。
──抜け毛の季節とかはけっこう大変だと聞きますが……。
ああ、確かに毛問題はありますね。でもそれすらあんまり考えなくなりました。もう黒い服なんか買わなきゃいいし、シャカシャカした素材だけ着てればいいんですよ(笑)。
──(笑)。では猫のいたずらで困ったことはないですか。
以前、猫の脚にうんこが付いた状態で原稿の上を歩かれたことがあって(笑)。そのときは焦りましたね。その該当部分を切り取ってチーズみたいに穴だらけの状態になった原稿があります。あと、なんか下の話ばっかりなんですけど、布団にすごいおしっこするんですよね(笑)。
──猫は割と砂でちゃんとするイメージがありますが、わざとでしょうか。
わざとだと思います(笑)。現場を見かけると脱兎のように逃げていくので、やっちゃいけないことはわかってるんですよ。普段はちゃんと砂でするんですけど、1回やったところは「よし」って思うらしくて。羽根布団とかもお気に入りですね。気持ちいいんだと思います(笑)。
──それはペットカメラでは防げないですもんね……。
声をかけたところで、おしっこを止めることはできないですからね(笑)。でも最近は怒りすらしなくなりましたね。はいはい、やったのかいと。
人間が見てないときですら、こんなにかわいいんだ
──猫と暮らしていて、どんなところが一番かわいいと思いますか?
もう全部過ぎて……。私、担当さんから「こざきさんは、猫好きのレベルが違う」って言われて、“猫かわいがり師”っていう称号を与えられてまして(笑)。
──猫をかわいがるプロですね(笑)。でも猫ってそんな簡単にはかわいがらせてくれないですよね? 抱っこしようとしてもすぐ嫌がって逃げてしまうというか。
それは種類というか、個体差があるかもしれないですね。うちの子はけっこうかわいがらせてくれるほうだと思います。以前は噛み癖があって、嫌なことをされると腕に穴が空くぐらい噛み付いてきたんですけど、もうだいぶ大人なので最近はあんまり噛んでくれなくなりました。
──それはかわいがらせてくれてないのでは……。
……そうかもしれないですね。でも我慢ができないんです。腕を差し出すから抱かせてほしい。本当に「どんなときでもかわいくて偉いね」と思います。今回、ペットカメラを使ってみて改めて思いましたけど、人間が見てないときですら、こんなにかわいいんだと思って。これは本物だなと。かわいさに抜かりがないですよ。もう生きているだけで偉いですからね、猫は。
──なぜそこまで猫に惹きつけられるんでしょうか。
なんでですかね、前世で何かあったんでしょうかね(笑)。
──「かわいさ」はすごく伝わってきたんですけど、それ以外に猫のいいところってどこだと思いますか?
無理をしないところがいいですね。嫌なら嫌で逃げるじゃないですか。我慢しないというか。こっちも「無理をさせているんじゃないか」みたいな心配をしなくていいので。気を使われている感がなくて信用できるんでしょうね、正直で。
──なるほど。ちなみに猫以外の動物で飼ってみたい動物はいますか?
大きい犬を飼いたいなとは思うんですけど、場所もないし、散歩とかなかなか世話が大変ですから、我慢してます。いっそのこと犬みたいなでかい猫を飼おうかなと思って。6キロぐらいある、メインクーンとか。
──どうして大きい猫を?
だってあんなにかわいいものが大きいって素晴らしいことじゃないですか。ただでさえかわいいのにさらに大きいなんて。かわいいの体積が大きいってことですよ。幸せも2倍ですよ。
「あさひなぐ」の連載が終わったら猫マンガ家としてやっていこうかな
──勝手なイメージなんですが、マンガ家さんは動物を飼われてる方が多い印象があって。特に猫率が高い気がするのですが、マンガ家と猫の相性がいいのかなと。
相性というか、やっぱりずっと家にこもっている仕事なので、常に一緒にいられるのはいいなと思います。うちの子たちはずっと仕事場にいてくれるので、アシスタントさんとか、みんなの心をなごませてますね。いつも原稿台の上に乗ってるんですけど、原稿台に来るたびにアシスタントさんがふわっと触っていくので「なんか痴漢みたいだね」とか言いながら、癒やされてます(笑)。
──猫の存在がお仕事に生かされることってありますか。
今のところはまったくないですね(笑)。だから猫マンガの仕事来ないかなって思ってます。
──猫マンガを描いてみたい気持ちはあるんですね。
ありますよ。ずっと猫を描いていられるなんて、幸せしかないじゃないですか。でも最近、猫関連のお仕事をいただくことが増えてきて。この間もNHKの番組「もふもふモフモフ」に出させてもらいましたし、ダ・ヴィンチ3月号(KADOKAWA)の猫特集にもエッセイマンガを寄稿したばかりで。「あさひなぐ」の連載が終わったら猫マンガ家として細々とやっていけないかなと……どんな猫でもかわいいところを見つけてかわいがる自信があるので(笑)。
──「あさひなぐ」は最新29巻が2月28日頃に発売されます。本編では絶賛インターハイ中だと思いますが。
そうですね。個人戦が始まって、インターハイ3日目に突入するので、連載的には最後の1日、個人戦と団体戦の決勝トーナメントを残すのみ、という状況です。
──お話全体を通して終盤の展開になるのでしょうか。
もう終盤も終盤ですね。今すぐ終わるってわけではないですけど、やることは決まっていて結末に向かって進んでます。ぜひ、読んでほしいですね。
──猫好きの人にも。
はい。猫は出てこないですけど、すごく猫が好きな人が描いているマンガなので(笑)。
──今回、この記事公開日が猫の日の2月22日なんですが、こざきさんのお誕生日なんだとか。すごい偶然ですよね、こんなに猫が好きな人が猫の日に生まれるなんて。
もはや気持ち悪いですよね(笑)。実は「あさひなぐ」実写化の情報解禁日も2月22日だったんですよ。乃木坂46のコンサートで発表になったんですけど。
──2017年のバースデーライブ「5th YEAR BIRTHDAY LIVE」でしたね(参照:「あさひなぐ」西野七瀬で映画化&齋藤飛鳥で舞台化決定、乃木坂46とタッグ)。
乃木坂46がデビューしたのも2月22日なんですよね。今回の記事も2月22日にアップされると聞いて、もう猫との縁が深すぎて……。やっぱり前世で猫に命を救われたのかもしれない(笑)。
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こざき亜衣のペットカメラ体験マンガ