キリルにとってダグはヒーローだし、
ダグにとってキリルはヒーロー
──ダグとキリルのバディ関係については、どのような印象をお持ちですか。
三上 第5話でエスペランサの情報を引き出そうと必死になるダグに、キリルが頭突きをして「飲み込まれてんじゃねえよ!」というところは、監督にも「ダグにキリルが必要だという一端が見えてくる場面」だと聞いていて。そこから、ダグが過去に失った情報屋の相棒を描く第7話ではキリルにどこか救われたような部分があり、距離も縮まって。囚われのダグを救出する第9話では「お前は俺のヒーローだ」とまで言いますからね。
天﨑 そのシーンは僕も印象深いです。言われたキリルを思うと、すごくうれしくなりました。(本編の最終話となる)第13話でキリルが「ダグがヒーローなら俺はあいつのサイドキックだ!」と言うところも、僕はものすごく大好きなんです。それまでずっと「ヒーローになりたい」と言い続けて、ダグにも「相棒だろ?」と言っていたキリルが、「ダグのサイドキックだ!」というふうに思えたのは、それまでダグと過ごしてきた中でキリルにも少しずつ変化があったからなんだろうなと。それを選ぶキリルのことを素敵に思いました。
古田 キリルにとってダグはヒーローだし、ダグにとってキリルはヒーローなんですよね。補完関係というよりは、2人で一緒にいることでより育っていく。例えばディーナとケイにしても、どちらかというとディーナをフォローするケイちゃん、という関係値がある。ダグとキリルはそれとも少し違うし、そういうそれぞれのバディの面白さはあったように思います。
三上 SEVEN-Oを見ても、三者三様のバディ観がありますよね。
鈴木 意外とダグとキリルはぶつかり合うことがなかったんですよね。そんな関係性の中でどうバディを形成していくかというのは、楽しい作業でした。個人的に好きなのは12・13話でダグとキリルが作戦を企むところ。けっこう重たい内容ではあるんだけど、ダグはキリルにちょっとした嘘をつくというか、いたずらをしていて。
三上 いじわるですよね(笑)。「ミラ……! どうして……!」って驚いているキリルの横で「プププ」って笑っているし。
鈴木 キリルはやりすぎて嘘くさいお芝居になってしまいそうなところから、あえて素のリアクションをもらったという(笑)。でもそれもお互いに信頼関係があったからこそ成り立ったんだと思います。それを踏まえての「サイドキックだ!」につながっていくんだろうと。その前にディーナやマックスがダグ像を語っていますけど、キリルもピンチを助けてもらって何かを感じたんじゃないでしょうか。普段は何を考えているかわからないけど、やるときはやってくれる男だと思ったんでしょうね。
──そんなバディの掛け合いを演じてみて、三上さん、天﨑さんはいかがでしたか?
三上 ダグとしてはキリルというか、天﨑くんの反応を引き出すところが多かったんですが、ダグのやったことに「ええっ!?」っていい反応が返ってくると、やっぱり楽しかったですね。
天﨑 僕としてはいかに三上さんの、ダグの言葉を聞くかっていうところを大事にしていました。もちろんダグだけではないんですが、いかに相手の言葉を聞いて、考えすぎず、脊髄反射的なものでキリルとしての新鮮な反応を出すことができるか。僕個人の話になりますが、そういったところはこの作品を通して成長させていただいたと思っています。
ダグとキリルを演じた2人を
古田、鈴木はどう見たか
──ちなみに、キャストはオーディションで決定したというお話でしたが、改めて三上さん、天﨑さんに決められた理由や実際にアフレコが始まっての印象を古田監督、鈴木さんにお伺いできればと思います。
鈴木 キリルは(オーディション用の)原稿だけで見ると、どこか少年マンガの主人公然としているセリフも多いから、どちらかというとそっちのほうに振って演じられる方も多かったんです。天﨑さんはそれをもう少しフラットに演じて、キリルのかわいさも出してくれていた印象でした。
古田 セリフだけ見ると、どうしてもカッコよくやり過ぎてしまうんですよね。ただそこまで行き過ぎると、やっぱりキリルではないのかなという話はしていました。
鈴木 あと、オーディションのセリフの中に「ドントスィンクフィールソーグッド」もありましたよね。あれもけっこう決め手になったと思います。
天﨑 ああ、そうだったんですか!
鈴木 あのセリフはミスリード的な面もあるので、あまり決めすぎた感じで言ってほしくなかったんですよね。そこに関してはスタッフの間でもけっこうこだわりがありました。
古田 ダグは30代くらいを想定していたので、実年齢として30代くらいの方に演じてもらうのかどうかというのはオーディションの前から話し合っていて。少し落ち着いたトーンの方に演じていただきたいという方向性に落ち着いて、選考させていただきましたね。僕、本当に「SHERLOCK」が好きすぎて何度も観まくっていたので(三上はベネディクト・カンバーバッチ演じるシャーロック・ホームズの吹き替えを担当)、最初は「ああ、シャーロックだ!」って興奮していたところはありました(笑)。
三上 あはは(笑)。
鈴木 三上さんとたくさんお会いする機会があったわけではないんですが、思っていた以上にスタンスとしてダグに近い方なのかなとは感じていて。渋くてキリっとした印象があるけど、実際にお話しさせていただくとのほほんとしたところもあって(笑)。そういった部分が似ていらっしゃるのかなと思っていました。そんな三上さんのお芝居を通じて、よりダグのことを理解することができたと思います。
古田 天﨑さんは、体ごと使って一生懸命に演じる後ろ姿を見て「ああ、本当にキリルにしか見えないな」と思っていましたね。「早く飲み会を開いて、天﨑くんの緊張をほぐしてあげたい!」と(笑)。
天﨑 あはは(笑)。そうですよね、最初はガッチガチでしたもんね……(笑)。実際、収録後に飲み会を開いてくださった後から、僕自身ものすごくアフレコ現場の居心地がよくなったんです。それまでは肩に力が入りすぎていた部分があったんですけど、力まず一生懸命取り組めるようになりました。なのでその機会をいただけてすごくありがたかったです。
SEVEN-O女性捜査員のキャストから
三上&天﨑へサプライズメッセージ
──ここからはSEVEN-Oの女性捜査員であるディーナ、ケイ、マックス、ユリとそのキャストの皆さんについてもお伺いしていきたいんですが……実は、早見さん、安済さん、大地さん、種﨑さんには事前にアンケートにお答えいただきまして。三上さん、天﨑さんへのメッセージを預かっています。
三上 へえ!
天﨑 うわー! 気になります!
鈴木 お手紙っぽいので、じゃあ、いい感じのBGMとともに……。
三上 チャンチャンチャン……♪
古田 あははは(笑)。
──ではまず、ディーナ役の早見沙織さんからのメッセージです。
三上・天﨑 (笑)。
もし質問できるのであれば、最後まで録って改めて振り返って、お二人がお互いに感じるお互いのキャラらしい部分や、一番バディらしさを感じたシーンを伺いたいです。
──ということでしたが……早見さんからは質問がありました。1つ目は「お二人がお互いに感じるお互いのキャラらしい部分」について。
天﨑 「ダブデカ」では三上さんと2人でイベントに立たせていただく機会が何度かあったんですけど、三上さんはサービス精神がものすごくある方なので、僕が想定していなかったことをアドリブでやられることも多くて(笑)。それを見て「わわっ! 三上さん! ……じゃあ僕も!」ってなる感じが、意外とダグとキリルにも近いのかなと。キリルも意外とダグに振り回されている……っていう言い方はちょっとおかしいかもしれないですが(笑)、思わずこちらの素のリアクションが出ちゃうところは、ダグとキリルにも起こりえそうな感じがしました。
三上 そうですね、天﨑くんを困らせたくなっちゃうところはあるかもしれないですね(笑)。その「うわわ!」っていうリアクションが、「キリルだな」と思います(笑)。
鈴木 それこそ12・13話の作戦のところと同じですね。キリルのリアクションを見てダグは笑ってますから(笑)。
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早見さんの声は、
ぶっきらぼうな言葉でも上品さが残っている
早見沙織から三上哲&天﨑滉平へ
回を追えば追うほど、お二人がまさにダグ&キリルに見えていました。天﨑さんがマイクの前でたくさん動くのと対照的に、三上さんがすっとお立ちになってセリフを読まれるのも、キリルとダグだなあと思っていました。また休憩中に、お二人でひっそりお話されているのにもダグ&キリルを感じました。